高校の授業料実質無償化についてニュースが出ていたので問題点を指摘したい。なお、この文章では下位校の定義について、人気が下位なのか成績や大学進学率や就職率が下位なのか風紀が下位なのかは言っていない。皆様の尺度で考えて頂きたい。だって都立高校のことを知っているわけじゃないもん。制度がおかしいって話をしたいだけだもん。
～現在の都内高校の授業料～
都内の高校の授業料は、現在、年収910万円未満の世帯年収を目安に
▼都立では、国の支援で無償化されているほか、
▼私立については、都が、国の支援に上乗せして都内にある高校の授業料の平均にあたる47万円余りを上限に助成するなどの支援を行っていますが、都は、所得制限を撤廃して支援策を拡充したい考えです。
ここに「～」を使う奴嫌い。「―」を使えよ。
という話ではなかった。タイトル通り私立については私立平均越えの授業料がバカ高い学校を除けば無償になるということである。
私立高校の授業料って統制価格ではないよね。いわゆる公共料金には該当しないし。勝手に学校法人側で決められるよね。都側である程度の目安を示すとかというのも私立の学校の自主性を削ぐ話だし、難しいところである。毎年目を付けられない程度に値上げしていけば学校法人の経営安泰みたいな補助になるんじゃないの？
そして都民の側も声は記事の中でも二分されている。賛成派。
「共働きなので、所得制限のことを考えずに無償化してもらえるのはうれしい。子どもが進学先を選ぶ幅が広がるし高校のうちに大学の授業料も貯められて家計的にもありがたい」
そりゃありがたいでしょ。
懐疑派。
「所得制限なしの無償化で子どもたちに学びの機会ができることは賛成だが、財源がどこなのかは気になります」
まあそうだよね。財源問題はあるよね。結局税金が上がったら当人は差し引き0にはならないけど少なからず可処分所得削られるでしょ。
落としどころを考えると、都立高校授業料最高値を上限とするくらいが私立高校授業料の助成として適切ではないかと思う。都が都立高校を減らしたいという話なら今回の発表内容も分かるけど、そうでもないなら下位校が死ぬじゃん。だって都立行っても私立行っても掛かる費用が大差ないなら都立下位校よりも私立を選ぶ可能性もある。例えば都立なら普通科選べないけど私立なら選べるとか。
そうなると都立下位校は定員割れするかも。定員割れでも配置人員やその他の運営費用は比例して下がらないんだからただただ赤字幅が増えるだけ。
一方、上にも書いたけど私立高校は目を付けられない程度に値上げして行けば経営安泰。都立の場合は都が運営するから変わった学科を設置するのも色々大変である。役所としてなすべき手続きが多いし議会の議決もいる？一方私立なら申請や許認可が必要な事項の都に対する部分は都立と変わらないかもしれないけど、申請も許認可もいらない変更なら校長OK理事会OKとかですぐに施策を打てる。たとえばかなり校則緩くするとか、リモート三昧にするとか、大学への推薦枠持ってるよアピールとか成績悪くても卒業させるよとか。そして授業料値上げで利益幅向上作戦可能という部分。モラルハザードを招きかねない。
おかしいだろ、この仕組み。怒ったほうがいいぞ都民。もう少しきちんと考えた施策を出せって言った方がいい。
都内のおよそ240の私立高校などが加盟する東京私立中学高等学校協会の近藤彰郎会長は「所得制限を外すことで、保護者の負担を減らすことにつながるので、それ自体はいいことだと思う。制限がなくなることで、選択の自由が広がるのではないか」と話していました。
また、大阪府がまとめた所得制限のない高校授業料の無償化の制度の案では、年間で府が定める「標準授業料」の63万円を超えた場合は、世帯年収に応じ学校側がその分を負担することになっています。
東京私立中学高等学校協会はそう言うだろうね。生徒集めやすくなるし。都立高校分の枠も取りに行くかもしれない。さらにウハウハ。
一方の大阪府案、意味がわかりにくい文章だけど
・私立高校側は好きに授業料を決めていいけど「標準授業料」の63万円を超えても
その分は私立高校側で負担してね＝変な値上げは知らんよ。
ということになる。学校側が負担するのか保護者が負担するのかは制度設計の問題。好きにすればいいけど、これならモラルハザードは起きにくい。
大学等への進学においては奨学金がほとんど奨学金じゃなくて教育ローンである日本において、高校の授業料実質無償化はどういう位置づけなんだろう。高校は義務教育の範囲外だけど進学当たり前ってこと？
無償化って制度設計がすごく難しいと思っているので、バカとか人気取り野郎にやらせない方がいい。あ、野郎じゃねーか都の場合。
