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消えた3000億円の謎 文科省「マッチングシステム」定員割れ私立大学の連携

ニュースソースがFNNだけで真偽のほどは分からないんだけど。なぜかFNNに2つ記事がある。今日あたり他社からも出る?

 

FNNすぐ消えるからなあ。2023年8月25日 金曜 午前11:30の記事である。

www.fnn.jp

2022年の春に、入学者が定員割れした私立大学は、全国598校中284校に上り全体の47.5%を占め、過去最多となった。

 

この問題をめぐり、文科省は他の大学との連携や統合を検討している大学が、条件の合う大学を見つけるためのマッチングシステムを開発する方針を固めた。

 

私立大学の情報を管理する事業団が、システムの開発を進めるということだ。

 

(中略)

 

少子化が進む中で私立大学は留学生の受け入れや、社会人のリスキリングなどにも対応する必要がある」として大学改革を呼びかけている。

 

こちらは動画付き。YouTubeに置いている動画も消すんだろうか。あと、タイトルと記事から3000億円が消えた。2023年8月25日 金曜 午後0:29の記事である。ざっと見た感じ3000億円以外の文意は同じ。

www.fnn.jp

youtu.be

 

時系列から言えば、2023年8月25日 金曜 午前11:30の記事にあった3000億円が、動画付きの2023年8月25日 金曜 午後0:29の記事では無くなっている。ただ、動画の最後の方で3000億円概算要求の話は出てくる。どっちやねん。

 

<追記>朝日も出てた。金額記載なし。

www.asahi.com

</追記>

 

投資額はともかくとして、そもそも投資する分野がおかしい。おまえ、マッチングシステムって言いたいだけだろ。

 

状況はこれである。

2022年の春に、入学者が定員割れした私立大学は、全国598校中284校に上り全体の47.5%を占め、過去最多となった。

いやいやいやいや、マッチングシステムの前にまず潰せ。

 

知らない人もいるかもしれないけど、日本の私立大学の多く(ほとんど?)には補助金が入っている。公金使って生かしているんだから、許認可権を持ち公金を出す側に潰す選択があってもいい。なぜ維持することが前提となっているのか。

 

例えば動画中には学生募集停止をした恵泉女学園大学が出てくる。不祥事でもなく学科の変更等の改組でもなく学生募集停止するのは、応募数が極めて少なくその学科を維持する学生を集めることができないからである。

 

ということで恵泉女学園補助金を見てみよう。なお、学校法人恵泉女学園の決算なので、大学だけでなく中学校、高等学校、大学、大学大学院が配下にある。

単位は円。各項は左から予算、決算、差異である。

トータル7.1億円入っている。国庫、地方公共団体、東京都のいずれの補助金も予算より増えているのが気になる。学生募集停止があるのに。関係ないけど学園のマーク orz にしか見えないw水を汲んでいるところらしいが。

 

同じ2022年に165億円入っている日本大学と比べると大したこと無さそうに見えるけど、こんな大学が284校あるって考えたら大したことあるって。もちろん恵泉女学園にしても、学校法人の中の一部である大学の中の一部の学科が募集停止であって、全部が不採算というわけでもないんだけど。でも規模感は掴めると思う。

shigeo-t.hatenablog.com

 

ということで、マッチングで延命したり補助金出して延命する前にまず潰す方が先でしょ。少子化なんだから、この先基本的には入学者が増える見込みは薄い。

少子化が進む中で私立大学は留学生の受け入れや、社会人のリスキリングなどにも対応する必要がある」として大学改革を呼びかけている。

これもなんか良いこと言ってそうで良くないよ。

 

まず留学生の受け入れ。競争倍率が高い難易度が高い大学に、他の受験生と同等の条件で受験して入学してくる留学生なら別に気にしない。そういう学生が入ることでより大学の国際的なグレードも上がる。

でも定員割れしそうな大学に、穴埋めで留学生を入れるのはどうだろう。大学に公金からの補助金、留学生に奨学金等の費目で公金。おかしいじゃん。それにその手の留学生、学ぶ気ある?あるなら定員割れするような大学選ばないんじゃないの?

 

社会人のリスキリング?高卒社会人が大学入学→わかる。大卒社会人がリスキリングのために大学入学→定員割れ私立大学に入る?卒業校と同等以上じゃないと選びにくくないか?よほど希少な学科は大学名じゃ決めないけど、今回定員割れ大学の話だよね。

リスキリングで学ぶ内容にもよるけど、資格取得以外だと数か月から2年ぐらいじゃないの?だったら大学じゃなく専門学校とか職業訓練校じゃね?大学が4年制じゃない講座を持つというのもあるけど、それ大学である必要ある?

 

リスキリングって単語、どうもなじめない。キリングを想起する。

 

真偽は分からないながらも、そもそも3000億円という規模がどうかって問題もある。FNN以外も出てから額は評価するとしても、令和4年度科研費2377億円である。どう比べても、死にそうな大学に使う費用が他国との競争力の源泉である科研費より大きかったらバランスがおかしい。それ以外にも、独立行政法人化した国立大学が金無くて困っているのに何やってるの?国立博物館とかがクラウドファンディング募らないと維持できないのに何やってるの?って話でもある。

 

現状の募集数・定員数は過去学生が多かった頃のものである。まず潰す候補を出せ。募集停止して在学生がいなくなったら閉鎖でいいじゃん。そうしないとずっと定員割れしていくことになる。留学生だ社会人だって話がおかしいのは上述の通り。

 

細かい話をすれば地域的に潰したくないというのはありうる。ではその時に首都圏・中京圏・関西圏のように大学が多い地域の大学を優先して潰すのか、地方の大学の学部・学科を潰すのかという取捨選択になる。ここでようやくマッチングじゃね?

どっちでもいいんだけど、地方の大学を維持するなら地方の大学でも都会の大学でも好きな方に入学できるけど、2~4年生の専門分野は地方の大学で単位取得させる。あるいはその逆で入学するのは地方の大学だけど専門課程は都会の大学で単位取得させるとか。これは単位の制度もそうだし、色々マッチングを考える余地がある。

 

ただしこれにマッチングシステムがいるか?ってなるとそんなもん要らないでしょ。全大学で600校弱だよ。学部・学科まで入れると桁が上がるけど、問題無いところをざっくり削ればExcelでも管理できるレベル。

マッチング先に健全な大学も含めるとやっぱり600校弱まで管理対象増えるけど、今回のFNNの論調ベースだと死にそうな大学同士のマッチングに聞こえる。

 

正しくオーバーカレッジ状態を解消するなら、普通の企業ならこういうこと(下図)じゃん。

定員割れのA,Bをくっつけてトータルの定員を減らし(シェアドサービス化)、それでも定員割れなら健全運営している大学に吸収させる。企業合併ならごく自然な動きである。 

ここにマッチングシステムが必要な理屈が分からない。マッチングシステムって言いたいだけだろ(2回目)。まいっちんぐならわかるけど。

 

マッチングシステムに数億円規模使うよりも確実に安くマッチングさせる方法がある。

 

ビジネスマッチングなんかでもよくやっている、いきなり広い会場にマッチング対象学部・学科の代表者を集めて殺しあ  じゃなかった、名刺交換からやらせる方法である。殺しあってどうする。いや、殺しあいで死んだほうの大学の学部・学科を潰すんでもいいけど(いや、良くない)。

マッチング対象は文科省が選定して、低倍率や定員割れ経験学部・学科を対象とする。大学側の「いやいや、うちはいいです」は無し。「いやいや、うちはいいです」回答なら募集終了即決定。

多分、実績からのフォーキャストで見ればいずれ行き詰まる。早い方がいい。

 

混ざらないものを混ぜるのは定員割れ対策とは話が違うので、カテゴリーごとに分けておくくらいは必要。

あまり理・工・医系で定員割れ話は聞かないし、商みたいな実業とか経みたいに潰しが効く系も定員割れって聞かない。実際、定員割れってほとんど人文系じゃね?それなら、もう少し絞っても全く影響無くないか?

 

もちろんこの殺しあ  じゃなかった名刺交換会、ただ名刺交換するわけじゃなく現況のプレゼンができるように概況資料の準備はしてもらう。名刺と概況資料を交換し、間に検討時間をちょっと置いて申込タイム。その場で決まるような軽い話ではないので、「あとはお二人で」に進む。マッチした学校には文科省から担当を付けて進捗フォローすればいい。もちろん本物のお見合いではなく商談みたいなものなので並行で複数進めて良い。1:1である必要も無い。

この段階は全国単位でやる必要はなく地域ごとの予選を行う。

 

これ地域予選というより、学生生活を考えた時にまずは近い学校の方が単位互換制度をやりやすいという話である。A校で取得した単位はB校でも有効ですっていう制度、リモート受講がありとしても最短でも1年あるいは半期の間その大学に何度か行くわけで、飛行機・船・長距離列車/バスの距離では学生生活が成り立たない。元々入学した大学のそばに住んでいるとすると、せいぜい片道1000円くらいまでが許容範囲だろう。自宅からの通学者もいて、元々入学した大学より遠いところに提携校が存在する場合もあるわけだし。

 

でも、本質的に必要なのは単位互換じゃなくて吸収合併だろうな。在学中の学生の転籍も含め。転籍した時に、元々入学した大学の単位がそのまま有効になるようにするためには単位互換は必須だけど。

A大学のB学部C学科と、O大学のP学部Q学科は基本的に同じだよね、統合できるよねってことになったらどちらかに寄せる。定員数は単純な合算ではなく募集時には減らす。どの程度減らすかは対象年齢の人口動態とか見ながらということになるだろう。

 

地域予選で敗退してマッチングしなかった大学については、全国大会出場である。勝ち進むではなく負け進むである。

 

ここからはバトルロワイアル方式ではなく本当にマッチングである。見合いばb じゃなかった統合コーディネーター(見合い担当者)を各校に付ける。大学同士の話し合いで決まらなかったわけで、何か原因はある。ある程度の見極めで統合をコーディネートして、きちんと吸収合併が決まるまで丁寧にすり合わせを行う必要がある。最悪めんどくさくなったら見捨てて潰しても(募集停止→学生卒業を持って廃止)いいんだけど。

 

専任の統合コーディネーター(見合い担当者)を文科省の外部から10人雇って、報酬1,000万円/年にして5年くらいでカタを付けることにして報酬以外の諸経費入れても10億円あればいける。統合コーディネーターに外部スタッフ各1人付けても15億円から20億円でいける。仮に3000億円が正しいとすれば10億円で1/300、20億円で1/150である。大変リーズナブルな上に進捗管理もできる。

 

マッチングシステムに大枚はたく件、文科省が大学数をキープして天下り先を確保したいっていうための投資なら納得感はある。納得はするけど同意はしない。

shigeo-t.hatenablog.com

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