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ライドシェア 全国21の自治体が事業開始に向けて検討へ

多分数年後、小学校社会科の良い教材になると思う。

 

www3.nhk.or.jp

また、バスやタクシーといった移動手段の確保が難しい過疎地などでは自治体やNPOの管理のもとで、一般のドライバーが有料で送迎できる制度を拡充しています。

 

これを受けて、去年12月に発足した団体で、全国108の市町村長で作る「自治体ライドシェア研究会」が1月31日時点で会員の各自治体に確認したところ、北海道ニセコ町京都府舞鶴市それに熊本県高森町など、21の市や町が事業の開始に向けて検討する考えを示したことが分かりました。

 

そっちの制度「バスやタクシーといった移動手段の確保が難しい過疎地などでは自治体やNPOの管理のもとで、一般のドライバーが有料で送迎できる制度」はすでに書いている。

shigeo-t.hatenablog.com

このPDFに詳しく書かれている。

1.交通空白地有償運送について
道路運送法(昭和26年法律第183号。以下「法」という。)第78条第2号に定める自家用有償旅客運送のうち、道路運送法施行規則(昭和26年運輸省令第75号。以下「施行規則」という。)第49条第1号に定める交通空白地有償運送(以下「交通空白地有償運送」という。)は、バス、タクシー等の公共交通機関によっては地域住民又は観光旅客を含む来訪者に対する十分な輸送サービスが確保できないと認められる場合において、市町村特別区を含む。以下同じ。)又は特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人その他施行規則第48条に掲げる者(以下「特定非営利活動法人等」という。)が、地域住民、観光旅客その他の当該地域を来訪する者の移動に必要な旅客輸送を確保するため、市町村長又は都道府県知事が主宰する施行規則第9条の2に規定する地域公共交通会議(地域協議会の分科会として設置された場合を含む。以下同じ。)、施行規則第4条第2項に規定する協議会又は施行規則第51条の7に規定する運営協議会(運営協議会の分科会として設置された場合を含む。以下同じ。)(以下、これらを総称して「地域公共交通会議等」という。)において調った協議内容に基づき実費の範囲内であり、営利とは認められない範囲の対価によって自家用自動車を使用して運送を行うものをいうものとする。

 

今回検討が伝えられたライドシェアと交通空白地有償運送って、営利(ライドシェア)か非営利(交通空白地有償運送)かくらいの違いだと思う。

 

冒頭に書いた小学校社会科の良い教材になるって話、需要と供給である。需要と供給の話はみんな覚えていると思う。

 

多分大都市以外では供給が足りなくて、ライドシェア自体を制度化しても実効的な解決策にはならないと思う。

交通空白地有償運送において供給が足りていて全国に普及していくような展開であれば、同じライドシェアの検討でも交通空白地有償運送では「営利とは認められない範囲の対価」部分がネックだから「営利OKにしてください」みたいな話になっている。でも現実には交通空白地有償運送の話はどこかに行って、無かったような感じにされてライドシェア検討である。非営利はネックにさえなっていないと見るほうが真っ当な評価では?とすると供給が足りないと見るべきだろう。

 

まず、なぜ過疎地は過疎地なのか。基本的に1つの行政区域で人口が増えるということは、

  1. 流入が多い
  2. 出産による増加

の2点が主な要因である。これらが崩れると人口減少する行政区域である。流出し、出産は無いあるいは少ない。

そのような過疎地の状況を考えると、すでに自動車+運転手を供給する能力に問題がある人口構成であると推察できる地域が多い。高年齢化により運転はやめ、地元の労働人口が少ないのでライドシェアに提供される自動車+運転手も少ない。

 

色々実験してみるのは良いことであるが、マジものの過疎地では問題解消に至らないだろう。記事に名前が出たニセコ町舞鶴市あたりなら成功もありうるけど。成功するための人口構成としては、地元労働人口比率が高く自営業等自由度が高い人の比率が高いことであろう。

 

まず第一に、自動車を所持していて、他人のために運転する時間調整可能な人口が多くないとライドシェアの供給サイドとして成り立たない。

 

自動車を所持していて働いている年齢層が他の市町村で職を得ている場合、休日くらいしか供給サイドにまわらない。休日のみの需要が多い地域であれば需要と供給はバランスするが、多分(記事に出てくるような地域の)需要として多い目的は通院とか買い物で、通院は平日である。このライドシェアの検討に応じて平日の開院日を減らして土日は必ず開院するという形に地域の病院の運営まで変えるのであれば成り立つ。そこまでやる?同様に役所も平日の開庁日減らしてでも土日は必ず開庁するとか。そこまでやる?役所はある程度コントロールできても、公営の病院はともかく公営じゃない病院まではコントロールしにくい。

そこまでやらないと、地元で働いていてある程度自由に対応できる人たちが多くないと供給サイドとして計算できない。

 

あと、自動車を所持していてライドシェアに対応する気がある人たち、一緒に酒盛りしたりしない?「車出して~」「いや、みんな一緒に飲んでるわ~」ではライドシェアにならない。

 

となると、スキー観光などの観光が産業の主力の一つであるニセコや、観光や漁業などが産業の主力である舞鶴はなんとか行けそうな気がする。地元労働人口比率も高そうだし、全員酒飲んでます事態は避けられそう。全ての市町村は記事に出ていないが、他の地域ではどうだろうか。

 

記事には

また、地元のタクシー業界の理解を得るために必要な取り組みもあわせて検討するとしています。

ってあるけど、そもそも供給足りていないんでしょ。自治体なりの仕組みでライドシェアやるなら、うまく組み合わせた仕組みにすればいいんじゃない?盛岡でさえこれだぞ。

www3.nhk.or.jp

 

地域によってはライドシェアなんかより、公営タクシーのほうが良くない?一日16時間から20時間くらいの提供で、対象人口1000人~2000人あたり1台くらい稼働可能な状態で運営するような感じ。開始してみて需給状況で調整。町長村長の公用車を運行することの延長線で。車はNV200あたり。逆に公用車もこれでいい。

あと、水道とか山林や港湾管理などのインフラ系業務でも役所は車持ってるじゃん、それこそタクシーとか当てにならない地域なら。そっちの担当者が車を使わない時に専任の運転手が運転する形態というのもあり。さすがに水道とか山林管理とかの(普通にフルタイムでこなすだけの業務量がある)担当者をタクシー業務にも使うのはまずいけど、ドライバーだけ別途確保して空きの車で公営タクシー業務はありかと。

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