ツイートで 学校給食費の徴収状況に関する調査の結果について:文部科学省 が流れてきたのでじっくり見てみた。平成30年7月27日の発表である。
概要
まず 学校給食費の徴収状況に関する調査の結果について(概要):文部科学省 を見てみる。徴収状況は
(1)学校給食費の徴収状況
学校給食費の未納者の割合、未納額の割合とも、24年度と比べ、中学校で微減した。
・未納者の割合 小学校:0.8%[前回0.8%]、中学校:0.9%[前回1.2%]
・未納額の割合 小学校:0.4%[前回0.4%]、中学校:0.5%[前回0.6%]
であり、未納は微減である。今回は平成28年度の調査である。って書いてて気づいたけど、今は平成30年。平成最後の夏である。ちょっと仕事遅くないか?文部科学省。平成28年度だから平成29年3月末に締めても、平成29年度中に発表できる内容だぞこれ。ちなみに現時点で当ブログでは最も「平成」っと書いたエントリとなった。
脱線はさておき会計処理。
(2)学校給食費の会計処理
学校給食費を公会計処理している学校の割合は24年度より約9%増加しているが、その半数以上で、徴収・管理業務を主に学校が行っている。
・公会計 39.7%[前回30.9%]
徴収・管理業務は主に自治体が行っている 17.8%
徴収・管理業務は主に学校が行っている 21.9%
・私会計 60.3%[前回69.1%]
公会計が増えている。約10%が私会計から公会計に移っている。ちょっと調べてみた。千葉市の発表が制度などを分かりやすく説明しているので、少し長いが引用する。
公会計化について
千葉市では、平成30年4月から学校給食費について、小学校・養護・第二養護学校ではこれまでの学校ごとに学校長が管理していた「私会計」制度から、市が給食費を歳入・歳出予算として管理する「公会計」制度へと移行いたします。なお、中学校は、すでに公会計で給食費を取り扱っていましたが、給食費の徴収については、各学校長の権限で実施しておりましたので、今回の公会計移行に伴い、徴収についても市が実施することになります。
公会計を進める理由
公会計を進める理由として、
- 給食費を市の予算とすることで会計のより一層の公正・透明性を確保し、厳正な徴収管理を行うこと。
- 学校ごとの徴収状況に影響されることなく、質の高い給食を提供すること。
- 保護者の口座振替手数料の負担が無くなることや、手続きの負担軽減を図ること。
- 教職員の負担を軽減して子供と向き合う時間を確保すること。
などが、あげられます。
これらの理由から、平成30年4月から給食費の公会計を実施することといたしました。また、教職員の負担軽減を図るため、学校で徴収している教材費など、給食費以外の学校徴収金についても、給食費と一括で徴収することといたしました。
保護者の皆様にお願いしたいこと・知っていただきたいこと
口座振替手続きをお願いします。
学校給食費などを引き落とすための金融機関口座を、市へ登録していただく必要があります。お子さんが通う学校を経由して、口座振替依頼書をお配りさせていただきます。口座振替依頼書がお手元に届きましたら、希望する金融機関窓口でのお手続きをお願いします。
確かに公会計化すれば現場の教職員の手間や負担も減るうえに、口座振替なので未納も減る。
昔、通勤電車内で給食費未納問題を読んで、債権化してファクタリング会社/サービサーに売り払えばいいのにと考えたけど、公会計化も一つの解決手段であることがわかる。
サービサーについては以前ちょっと別件で書いている。
データ
概要だけでなく 学校給食費の徴収状況に関する調査の結果について (PDF:167KB) もあるので個々のデータを見ていく。データを見やすくするために表部分をExcel化した。
例によってダウンロード可能である。1章はこちら。
2章はこちら。
未納の児童生徒がいた学校
いたかいなかったかで見ると、約半数弱の学校に未納の児童生徒がいた。ただ、未納額は全体の0.4%である。0.4%が未納であるために、学校の現場で負担が生じたり公会計化しなければならないという図式。
会計処理
まだまだ私会計=学校で徴収が多いうえ、公会計でも「②徴収・管理業務は主に学校が行っている」が全体の20%強で学校の事務負担が多いことがわかる。これは未納が無くても大変である。
徴収方法(複数回答)
こう見ると金融機関経由が多くなっていて、事務コストも低く未納は発生しにくいように見える。ただしこれは複数回答なので複数の方法が混在しているとなると状況はわかりにくい。
児童生徒毎の未納の主な原因についての学校の認識
「保護者としての責任感や規範意識」が70%弱を占める。
どういうことかというと、
というわけである。ググればたくさん出てくる。義務教育の意味を義務教育で習わなかったか、習ったけれども理解できなかった成人が親になったということなんだろう。
義務教育は、『国民すべてが教育を受ける権利があることにもとづき、学齢にある児童・生徒の就学を親(保護者)に義務づけている普通教育。』なので、第一義には就学させる義務がある親が就学に関する費用を負担するのは当然なのだが。国や都道府県、市町村が親の義務を支援するため、学齢にある児童・生徒の教育を受ける権利を守るために様々な制度で支援するのはまた別の話。
未納者の約70%弱が「義務教育だから払わない」など支払い能力があるのに払わない厄介な親である。これを全体の児童生徒数で見ると0.6%ということになる。0.6%のアタマオカシイ親のせいで給食費未納問題が生じるとも言える。
未納の保護者へ実施した取組
比較を見やすくしようと横に並べたら文字が細かくて見にくいww。すみません、Excel OnlineかExcelデータダウンロードするか元のPDF見てください。
何が言えるかというと、まず払えるのに払わない「保護者としての責任感や規範意識の問題」の場合、法的措置サイコー、天引き有効、自治体が直接徴収も有効ということである。
「保護者の経済的な問題」の場合、天引きは有効ではあるんだけど「◎課題を抱える家庭への支援」も有効なのでちょっとスキームを整理する必要があるかもしれない。そもそも「保護者の経済的な問題」なら、公的な扶助があって実質給食費負担なしでもいいと思う。
まとめ
金額としての0.4%ではなく、未納者0.6%が問題なんだと思う。自治体が直接徴収とか徴収コスト掛け過ぎである。それならやっぱり多少費用を払ってもプロ(ファクタリング会社)にお任せはいいかもしれない。義務教育の「義務」が自分にあるとわからない程度のオツムなら、子供のためにもちょっと社会的に痛い目(督促→差し押さえ)にあって学習したほうがいいかも。
あと今回のデータには無いが、「未納が多いので給食のメニューが貧困化」というのも見たことがある。食育やバランスの取れた食事など、給食本来の役目を果たせなくなるので、学校の教職員は抱え込まずに公会計化などに移行したほうがいいのではないだろうか。例に挙げた千葉市でも「学校ごとの徴収状況に影響されることなく、質の高い給食を提供すること。」としている。