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てきとーに生きている奴の日記

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#ビッグモーター の行政処分文書を読んでみる

損害保険代理店としての登録を取り消すことは既定路線だったので、関東財務局の行政処分の発表資料を読んでいなかった。ド直球の指摘があるという噂なので読んでみる。

 

lfb.mof.go.jp

 

勘違いしてた

引用する。

1)経営管理態勢(ガバナンス)

 株式会社ビッグモーター(以下、「BM」という。)は、株式会社ビーエムホールディングス及び株式会社ビーエムハナテンを子会社として有しているが、両社は役員が社長1名のみであり、本社組織も有していないことから、業務執行の意思決定は実質上BMの取締役会が担うなど、BMが両社を含めたBMグループを運営している。

 こうした中、BMは、会社法に定める取締役会設置会社かつ大会社に区分される株式会社として、会社法の規定に即して定款及び社内規程を策定の上、取締役会が業務執行方針を決定し、代表取締役社長ほか取締役等が業務を執行する経営管理態勢としている。

理解できなくて3度読んだ。「株式会社ビッグモーター(以下、「BM」という。)は、株式会社ビーエムホールディングス及び株式会社ビーエムハナテンを子会社として有しているが、」って書いてある。あーこれは逃げ切れませんわ。

 

普通はホールディングス会社の下に事業会社をぶら下げる。事業会社で何か問題があっても、まずはその事業会社を切ればなんとかなる。だからオレの過去エントリでも当初逃げられるという見解を書いていた。なぜホールディングスという名前の会社を子会社にしているのか知らないけど、ホールディングスの意味分かってなかったのか?名前的におかしいだろとかというのは置いておくけど、これは逃げられませんわ。ハナテンのほうはハナテンを買った経緯があるからまだわかるけど、ホールディングスが子会社なのは意味わからない。

 

ホールディングスを調べればわかるけど、普通は持株会社ですよ。株を持って支配する。だからホールディングスが事業会社の子会社ということには普通はならない。ホールディングス―子会社―孫ホールディングス―ひ孫会社とか、ホールディングス―子ホールディングス―孫会社とかならありうるけど。そんな多重構造にする意味はなんだろう。超巨大企業グループならともかく、ビッグモーターくらいの規模の企業は真っ当ならあまりやらない形態だろう。

 

ビーエムホールディングスは資産管理会社って話だったけど、子会社だったらそのまま資産抱えたまま支援企業に渡すしかないじゃん。なんでこんな面白形態にしたんだろ。創業家丸損じゃん。少なくとも社長退任時に登記必要なんだから、しれっと形を変えておけば良かったのに(いや、倫理的には良くない)。どうせ創業家しか株持ってないんでしょ。

 

ビッグモーター売れば有限責任で終わるじゃんって思ってたけど、そりゃ伊藤忠創業家の関与を無くすことが条件って入れるわ。引用した文にあるように実質創業家支配下であることに変わりないもん。

 

会社じゃないって書かれてる

引用する。

  • 会社法において、取締役会設置会社の取締役は業務執行状況を3か月に1回以上、取締役会に報告することが規定されているにもかかわらず、平成28年10月から令和5年7月までの約7年間、令和2年12月の1回を除き、取締役会が開催された事実は確認できず、会社法等に定める各種の決議も行われていない。
  • 取締役会は、法令等遵守に責任を負う役員の選任、所管部署の設置等の法令等に適合することを確保するための体制を整備していないほか、内部統制の妥当性・有効性等を検証・評価する内部監査部門も設置していないなど、業務の適正を確保するために会社法及び法務省令において規定されている内部統制システムの整備を行っていない。また、会社法や定款の規定に反して、組織再編により登記申請上必要となる場合を除き、決算公告を行っていない。
  • 取締役会は、社内規程において、経営会議等を設置し経営管理全般に関する業務の協議等を行うと規定しているが、これらの会議体は少なくとも令和2年度以降、開催された事実が確認できない。また、社内規程について法令や経営方針等の変化に応じて見直す体制を構築していないため、経営管理等の重要な規程が、平成27年9月以降改定されないまま放置され、形骸化している。

  • 監査役は、会社法において求められる会計監査及び業務監査について、少なくとも令和2年度以降、会計監査を実施しておらず、意見交換等を通じて取締役の職務執行を確認するなどの業務監査も行っていない。

  • 代表取締役社長は、「経営計画書」において、苦情対応について「スピード感をもって苦情対応すること」や「どんな小さな苦情でも社長に報告すること」等を規定しているにもかかわらず、苦情管理担当役員や統括部署の設置、管理規程等の策定等の体制整備を怠っている。このため、受け付けた苦情の全貌が把握できないうえ、苦情管理や対応の状況を確認することができない実態にある。

これはこの規模の企業としてはなかなかである。実質会社じゃないって言っているのと同じである。

 

極めて困難

引用する。

なお、これらのBMグループにおける不適切な事象の根本原因は、(1)で述べた経営管理態勢の重大な欠陥・問題を背景として、自己の収入を増やすあるいは高い給与水準を維持するという「動機」、利益拡大を過度に重視する経営姿勢により、利益を上げるためには不正も許容されるという誤った認識を「正当化」させかねないいびつな組織風土、及び社内外の不正・不備を検知・検証する態勢の機能不全により、不正行為を実行する「機会」が存在したことにあると考えられる。

 したがって、BMグループは、過去の成功体験に基づく利益優先の会社運営やカリスマ的な経営者を前提とした独裁的な個人経営から脱却し、法令等を遵守し、顧客を含めた幅広いステークホルダーの期待に応える会社となるために、経営管理態勢と人材育成を根本から作り直す必要がある。その上で、適切な経営管理態勢と質の高い人材のもと、法令を遵守し、かつ顧客本位の業務運営を徹底的に志向する保険募集管理体制を構築した保険代理店に生まれ変わるべきであるが、一連の保険金不正請求を端緒とする保険会社出向者の引上げにより、体制整備に必要な知識を有する人的リソースを喪失したことに加え、本年11月30日までに全ての保険会社が代理店委託契約を解約する方針であるなど、体制を整備するための保険会社からの支援も期待できず、再建への道筋は極めて困難である。

(太字・下線はオレ)

 

箇条書き部分にも色々書いてあるけど、保険代理店としては完全にアウトである。保険契約時にはみんな面倒だなって思いながら聞いたり読んだりしていると思うけど、重要事項の説明をやらないとか交付しないとか、苦情対応コールセンターを廃止するとかヤベー話しかない。

 

それに太字にして下線を引いた部分の動きなので、もうこれは保険代理店としては復活できませんわ。

 

検討している支援企業として伊藤忠しか残っていないのか、もう1社残っているのかはわかんないけど今のビッグモーターの形のままで使うつもりだったら降りる以外に手は無い。機能別にバラして使うつもりなら別に保険代理店の話はどうでもいいという判断もありうるけど。

 

ほぼ無償で譲渡以外、もうダメかもしれない。それも買ってくれる企業があればだけど。

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