この記事である。
都内のIT関連企業「アイエンター」は、先月から230人の全社員を対象にテレワークを導入しました。テレワークを導入する多くの企業が悩むのが、社員が自宅で本当に働いているのか、仕事が滞りなく順調に進んでいるのか、働きすぎになっていないか、見えなくなることです。
この企業がテレワークを始める時に導入したのが、パソコンのクリック一つで勤務時間が管理できるシステムです。パソコンのデスクトップ上に、「着席」「退席」というボタンがあり、テレワークを行う社員が業務の開始時と終了時にそれぞれクリックするだけで、自動で日々の勤務時間を管理してくれます。
(中略)
さらに、このシステムでは、社員が「着席」のボタンを押して仕事をしている間の、パソコンの画面がランダムに撮影され、上司に送信される仕組みもあります。いつ画面が撮影されるか社員には分かりません。
勤務時間の管理はまあいい。テレワーク時に規定の就業時間を越えて働いてしまった分を捕捉するという意味なら。残業してたら残業代払わなければいけないし、36協定等守るべき法令もあるし。
問題はスクリーンショットをランダムに撮って上司に送るってところ。それで働きぶりが見えるのかよw。成果物や成果で管理すればいい話で、着席離席の話と合わせて考えると結局は時間でしか見てないってことじゃね?
そもそもテレワーク可能な業務ってことは、成果で管理できる業務のうち自宅等でも作業可能な業務ということ。上司がスクショ見て管理するんなら上司に成果を管理する能力が無いってことになる。コールセンター業務でさえ、きちんとテレワーク対応している企業があるというのに。
通常は「目標のすり合わせ」→「成果と期日の明確化」→「テレワークを含めた裁量のすり合わせ」という順で進める話。緊急事態的にテレワークを導入したとしても、自宅待機ではなくテレワークだというなら簡略化するにしても上司と部下で意思統一ができていなければならない。
それにこの企業はIT関連企業だと書いてある。
アイエンターには、デザイナー/ディレクター/エンジニア/マーケッター/システムコンサルタントが社内にいます。
なんかすごく成果物で管理しやすい業務だし、スクリーンショットなぞにはあまり意味は無い。お遊び用のPCを別に用意すれば作業用PCの画面はいくらでも糊塗できる。
まあ、こういう管理システムも簡単に作れるというのは分かる。弊社でも作れる。でも作って運用するかというと、それはちょっと「仕事できなさそう」としか言いようがない。そもそも通常出社して業務にあたっていても、スケジュールと成果物(と品質や性能など)がセットで管理される職種なわけで、今までどうやって仕事してたんだ?それに北は札幌から南は沖縄まで支店を持ち、ベトナムにも拠点がある。ほんとにどうやって仕事してんの?w工程管理やチケット管理など、計画して追跡していないの?
こんなバカげたシステムをドヤ顔で全国に開陳する企業にお仕事頼みたくねえww
NHKの記事に戻ると、この企業から離れた話も書かれている。
人事評価のシステムを提供する会社「あしたのチーム」の堤雄三取締役は、「今まで物理的に自分の近くにいて、仕事をしているかどうか確認できたが、物理的にそれが見えない中で、社員は自分自身がきちんと認められているか、雇用側は社員がきちんと仕事しているだろうかと、ストレス抱えた企業からの相談が増えている。
ストレスを抱えた企業っていうのもすごいな。人間ならともかく、法人にストレスはないだろというNHKのヘタな文章への突っ込みは置いておくが、一種の裁量労働なんだから事前にすり合わせてきちんと相互にフィードバックするしかないじゃん。近くにいたから確認できたっていうのは多分幻。できていなかったから、いざテレワークで物理的に離れた時に困っている。
コミュニケーション能力っていうのは、ペラペラしゃべることじゃないんだよ。必要な情報をきちんとやりとりする能力なわけで、企業であれば仕組みとしてもきちんと従業員に提供する必要がある。
ってここまで書いて気付いたけど、「ストレスを抱えた企業」にアイエンターさんのテレワーク管理システム(笑)を売り込むためのCMだったと考えれば、納得がいく。他局なら別にどうでもいいけど、CMの無いみなさまのNHKとしては問題だけど。雑誌とかでいえば記事広告とかPRと表記されるからわかりやすいけど、TVでしかも公共放送でやられるとまずいんじゃね?