温泉卵/温泉たまごは景表法違反の食品偽装表示ではないのか?産地偽装ではないのか?
温泉卵/温泉たまごの名称について強い疑義を抱いている。
自宅などで作製する温泉卵/温泉たまごなるものについては、なんの問題もない。全く。
実際に、親子関係をトレーサビリティによって調査していない鶏卵と鶏肉を使用した、親子関係を確認していない親子丼なるものを調理したとして、それは本来の意味の他人丼ではなく他人丼bis、あるいは親子の概念を改訂しているのであれば親子丼bisと呼ぶべき料理かもしれない。ITU-T勧告の命名規則など、知ったことではないかもしれないが。
しかし、それは調理者がどのように命名しても、ごく小さなコミュニティ内に閉じる命名であり、食する者がそれでよければ何の問題もない。
鶏肉トレーサビリティシステム 導入の手引き - 農林水産省(PDF)
確認のためだけに、流通している温泉たまごを購入してきた。伊勢志摩で今日から行われるイベントと同名のスーパーマーケットにおいて販売されている商品である。
たまたま購入した(この一種類しか販売していなかった)商品の調査だが、この企業の所在地の検索結果では、近隣に温泉は存在しないようだ。
温泉卵/温泉たまごの作製において、温泉地での作製でもなければ、熱する際に使用する液体も温泉ではなく、もちろん原材料にも温泉は使用されていないではないか。
温泉地での作製であれば、温泉卵/温泉たまごという名称が使える。温泉を使って熱を与えたのであれば、それも温泉卵/温泉たまごと呼称しても問題ないだろう。原材料に温泉が使用されているのであれば、それも温泉卵/温泉たまごと呼ぶべきものである。いや、温泉地で生まれた鶏卵だって、ある意味温泉卵/温泉たまごということが言える。
しかし、いずれも満たさない。
かつて、温泉で熱することによって、白身は固まりきらず、黄身が半熟という状態の元祖本家本格派温泉卵/温泉たまごができた。この元祖本家本格派温泉卵/温泉たまごと件の温泉卵と呼称されたものを比較した場合、単に作製の結果が類似しているに過ぎない。それが上記の通り自宅など、ごく狭いコミュニティー内で閉じるものであれば、どのような呼称でも構わないが、それが流通に乗った時点で、各種法規に違反するのではないかと考える。
産地偽装なのか、食品表示偽装などの景表法違反なのか、消費者としては不当表示の禁止を求める事案ではないだろうか。
第1部 第1章 第1節 ( 1 )食品表示等問題 | 平成26年版 消費者白書 | 消費者調査 | 消費者庁
ここ日本はEUに加盟していない。そのため、EUが定める厳密な原産地名称保護制度の遵守は求められない。しかし、国家事業として地域ブランドを進めようとしているのに、温泉卵は温泉地で作製されたものでなくてもいいのか?いや、良くない。
また、温泉地での作製ではなく、温泉を使って卵に熱を加えることで「温泉卵」「温泉たまご」なる呼称ができたと考えるならば、卵を熱する際は温泉を使ったものだけ「温泉卵」「温泉たまご」と呼称すべきであろう。H2Oを熱しても温泉にはならない。
温泉法には以下のように規定されている。
地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、次に掲げる温度または物質を有するものをいう(第2条第1項)。
- 泉源における水温が摂氏25度以上(摂氏25度未満のものは、冷泉または鉱泉と呼ぶ事がある)。
- 以下の成分のうち、いずれか1つ以上のものを含む。(含有量は1kg中)
- 溶存物質(ガス性のものを除く。) 総量1000mg以上
- 遊離炭酸(CO2) 250mg以上
- リチウムイオン(Li+) 1mg以上
- ストロンチウムイオン(Sr++) 10mg以上
- バリウムイオン(Ba++) 5mg以上
- フェロ又はフェリイオン(Fe++,Fe+++) 10mg以上
- 第一マンガンイオン(Mn++) 10mg以上
- 水素イオン(H+) 1mg以上
- 臭素イオン(Br-) 5mg以上
- 沃素イオン(I-) 1mg以上
- フッ素イオン(F-) 2mg以上
- ヒ酸水素イオン(HAsO4--) 1.3mg以上
- メタ亜ひ酸(HAsO2) 1mg以上
- 総硫黄(S)[HS-,S2O3--,H2Sに対応するもの] 1mg以上
- メタホウ酸(HBO2) 5mg以上
- メタけい酸(H2SiO3) 50mg以上
- 重炭酸ソーダ(NaHCO3) 340mg以上
- ラドン(Rn) 20×10-10Ci以上
- ラジウム塩(Raとして) 1億分の1mg以上
原材料に温泉を使うということも考えられる。ただし、その場合は含有量が問題になるかもしれない。0.00%、アルコールであればノンアルコール表示が可能な含有量の場合は、これは呼称に使うのは不当と考えられる。
商標について調査を行ったが、いわゆる「温泉卵」「温泉たまご」については、卵、卵料理、卵を調理した製品の登録は無かった。類似する商標としては「温鮮たまご」が商願2002-92036で区分29 卵、加工卵で登録されている。「温鮮」という造語を使っており、商標として「温泉卵」「温泉たまご」とは異なり、これも全く問題が無い。
以上の考察を行った結果、購入した温泉たまごはスタッフがおいしく頂きました。3つだと多いので1つだけ。