いろいろやってみるにっき

てきとーに生きている奴の日記

古いエントリのサムネイル画像がリンク切れになってたりするけど、チマチマ修正中


流通している温泉卵を糺す

温泉卵/温泉たまごは景表法違反の食品偽装表示ではないのか?産地偽装ではないのか?

 

温泉卵/温泉たまごの名称について強い疑義を抱いている。

 

自宅などで作製する温泉卵/温泉たまごなるものについては、なんの問題もない。全く。

実際に、親子関係をトレーサビリティによって調査していない鶏卵と鶏肉を使用した、親子関係を確認していない親子丼なるものを調理したとして、それは本来の意味の他人丼ではなく他人丼bis、あるいは親子の概念を改訂しているのであれば親子丼bisと呼ぶべき料理かもしれない。ITU-T勧告の命名規則など、知ったことではないかもしれないが。

しかし、それは調理者がどのように命名しても、ごく小さなコミュニティ内に閉じる命名であり、食する者がそれでよければ何の問題もない。

  鶏肉トレーサビリティシステム 導入の手引き - 農林水産省(PDF)

  鶏卵のトレーサビリティ - 農林水産省(PDF)

  もこみち流 他人丼|MOCO'Sキッチン|ZIP!

 

確認のためだけに、流通している温泉たまごを購入してきた。伊勢志摩で今日から行われるイベントと同名のスーパーマーケットにおいて販売されている商品である。

f:id:shigeo-t:20160526034212j:plain

 

f:id:shigeo-t:20160526034440j:plain

たまたま購入した(この一種類しか販売していなかった)商品の調査だが、この企業の所在地の検索結果では、近隣に温泉は存在しないようだ。

 

温泉卵/温泉たまごの作製において、温泉地での作製でもなければ、熱する際に使用する液体も温泉ではなく、もちろん原材料にも温泉は使用されていないではないか。

温泉地での作製であれば、温泉卵/温泉たまごという名称が使える。温泉を使って熱を与えたのであれば、それも温泉卵/温泉たまごと呼称しても問題ないだろう。原材料に温泉が使用されているのであれば、それも温泉卵/温泉たまごと呼ぶべきものである。いや、温泉地で生まれた鶏卵だって、ある意味温泉卵/温泉たまごということが言える。

 

しかし、いずれも満たさない。

 

かつて、温泉で熱することによって、白身は固まりきらず、黄身が半熟という状態の元祖本家本格派温泉卵/温泉たまごができた。この元祖本家本格派温泉卵/温泉たまごと件の温泉卵と呼称されたものを比較した場合、単に作製の結果が類似しているに過ぎない。それが上記の通り自宅など、ごく狭いコミュニティー内で閉じるものであれば、どのような呼称でも構わないが、それが流通に乗った時点で、各種法規に違反するのではないかと考える。

 

産地偽装なのか、食品表示偽装などの景表法違反なのか、消費者としては不当表示の禁止を求める事案ではないだろうか。

  第1部 第1章 第1節 ( 1 )食品表示等問題 | 平成26年版 消費者白書 | 消費者調査 | 消費者庁

  原産地名称保護制度 - Wikipedia

 

ここ日本はEUに加盟していない。そのため、EUが定める厳密な原産地名称保護制度の遵守は求められない。しかし、国家事業として地域ブランドを進めようとしているのに、温泉卵は温泉地で作製されたものでなくてもいいのか?いや、良くない。

www.jpaa.or.jp

また、温泉地での作製ではなく、温泉を使って卵に熱を加えることで「温泉卵」「温泉たまご」なる呼称ができたと考えるならば、卵を熱する際は温泉を使ったものだけ「温泉卵」「温泉たまご」と呼称すべきであろう。H2Oを熱しても温泉にはならない。

  温泉法 - Wikipedia

温泉法には以下のように規定されている。

地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、次に掲げる温度または物質を有するものをいう(第2条第1項)。

  1. 泉源における水温が摂氏25度以上(摂氏25度未満のものは、冷泉または鉱泉と呼ぶ事がある)。
  2. 以下の成分のうち、いずれか1つ以上のものを含む。(含有量は1kg中)
    1. 溶存物質(ガス性のものを除く。) 総量1000mg以上
    2. 遊離炭酸(CO2) 250mg以上
    3. リチウムイオン(Li+) 1mg以上
    4. ストロンチウムイオン(Sr++) 10mg以上
    5. バリウムイオン(Ba++) 5mg以上
    6. フェロ又はフェリイオン(Fe++,Fe+++) 10mg以上
    7. 第一マンガンイオン(Mn++) 10mg以上
    8. 水素イオン(H+) 1mg以上
    9. 臭素イオン(Br-) 5mg以上
    10. 沃素イオン(I-) 1mg以上
    11. フッ素イオン(F-) 2mg以上
    12. ヒ酸水素イオン(HAsO4--) 1.3mg以上
    13. メタ亜ひ酸(HAsO2) 1mg以上
    14. 硫黄(S)[HS-,S2O3--,H2Sに対応するもの] 1mg以上
    15. メタホウ酸(HBO2) 5mg以上
    16. メタけい酸(H2SiO3) 50mg以上
    17. 重炭酸ソーダ(NaHCO3) 340mg以上
    18. ラドン(Rn) 20×10-10Ci以上
    19. ラジウム塩(Raとして) 1億分の1mg以上

 

原材料に温泉を使うということも考えられる。ただし、その場合は含有量が問題になるかもしれない。0.00%、アルコールであればノンアルコール表示が可能な含有量の場合は、これは呼称に使うのは不当と考えられる。

 

商標について調査を行ったが、いわゆる「温泉卵」「温泉たまご」については、卵、卵料理、卵を調理した製品の登録は無かった。類似する商標としては「温鮮たまご」が商願2002-92036で区分29 卵、加工卵で登録されている。「温鮮」という造語を使っており、商標として「温泉卵」「温泉たまご」とは異なり、これも全く問題が無い。

 

以上の考察を行った結果、購入した温泉たまごはスタッフがおいしく頂きました。3つだと多いので1つだけ。

お時間あったら、他のエントリもクリックして頂ければ幸いです。