あらすじ
世界中、EVに向けて動いていると思っているかもしれないけど、そんなに単純じゃないよという話である。
目次
誤認
未来のクルマはEVだと単純に思い込んでいる人間は意外と多そうだ。
あートヨタ死ぬな https://t.co/ql7i1dNSnm
— 変な不動産物件おじさん けん (@ken_sword_ken) 2021年5月24日
トヨタが戦艦ヤマト、今日の平和加工貿易国家、戦争で直接勝てないから経済力で資源収奪するってやり方は戦後日本が始めた。所がアメリカに対策されたりEUドイツ帝国、日本を応用した復興中華帝国が出て行き詰まった結果が今 https://t.co/kbtLKBc3iB
— 変な不動産物件おじさん けん (@ken_sword_ken) 2021年5月24日
トヨタは本当に戦艦大和(水素自動車)で空母(EV)に対抗するつもりなんでしょうか…。勝てばいいですが負けたら名古屋は…。
— 不動産仙人🥕 (@fudosan_sennin) 2021年5月24日
やはりアラ太郎さんも戦艦大和(水素自動車)は劣勢と見てますか?EV陣営のABCD包囲網には勝てないでしょうか?
— 不動産仙人🥕 (@fudosan_sennin) 2021年5月24日
そもそもこのツイートにもあるように水素エンジンの話である。
トヨタの豊田章男社長が「エンジンを廃止すると、100万人の雇用が失われる。トヨタの水素エンジンで日本の雇用を守る」。水素エンジンはほぼCO2を出さない。EVより耐久性があるし、発火しない。
— 加藤清隆(文化人放送局MC) (@jda1BekUDve1ccx) 2021年5月23日
FCV(燃料電池車)の話はしていない。水素エンジン車は水素自動車とは呼ばない。
元の話はこれだろう。
- 100万人の雇用を活かす、自工会会長としてのメッセージ
ただ、そもそもトヨタが水素エンジン車をモータースポーツに投入するのは、単に水素エンジン車を走らせたいからではなく、2050年に実現する必要があるカーボンニュートラル社会へ多様な道を提示するためだ。
トヨタが水素エンジンで行なおうとしていることは、誰もが実用車としては実現できていない難しいチャレンジになる。しかしながらトヨタには世界で初めて量産ハイブリッドを実用化し、世界で初めて量産燃料電池車を実用化してきた開発の歴史がある。
業界トップはこうでなければいけない。自社さえ良ければいいという業界トップはその業界をシュリンクさせかねない。
何を指して戦艦ヤマトなのかわからないが、戦艦ヤマトといえばコレである。宇宙のかなたイスカンダルへ♬(以下略)。地球を救ってしまう。
戦艦大和ならこっちであり文脈は分かる。大鑑巨砲主義だと言いたいのだろう。確かに日本は負けた。
トヨタにはEVはできないのか?
答えは「できる」である。
3種類のハイブリッドシステムの説明であるが、トヨタの多くの車種で採用されているハイブリッドシステムは一番右のシリーズ・パラレル方式である。複雑な機構であるが、エンジンと動力分割機構と左の発電機を外せばEV(BEV:Battery Electric Vehicle)である。エンジンの発電無しなら電池を大きくする必要はあるが。
それにトヨタはEV実際売ってるしな。
で、いつトヨタ死ぬの?
EVになると車作りは他業種からの参入でもできる?
「誰でも」は言い過ぎで他業種からの参入もある意味YES。しかし、自動車を走らせるためにはエンジンやモーターだけではなく、シャーシもボディもサスペンションもブレーキも内装も作れなければならない。エンジンとモーターを比べればモーターの方が参入障壁が低いというだけの話であって、それぞれ部品を買ってきても超高額車(コスト掛けて手組み)とか商用車(安全基準をクリアすればOK)ならイケるかもしれないけど、一般家庭が購入するような車を仕立てるのはかなりハードルが高いだろう。
もう結構台数を作ってきているテスラでさえコレである。
で、いつトヨタ死ぬの?
中国はEVにシフトしたのか?
昨年秋の記事である。
同日に発表されたロードマップによると、35年には新車販売で通常のガソリンエンジン車をすべてHVにすることを目指す。また、EVやプラグインハイブリッド車、燃料電池車などが含まれるNEVについても、新車販売で50%以上占めるようにする。ガソリンエンジン車は市場から排除されることになる。
BEVオンリーとは言わなくなった。インフラの対応が無理であることに気づいたのだろう。内燃機関だけで駆動する自動車は売れないことになるが、ハイブリッド(HV)やプラグインハイブリッド(PHEV)はOKである。EVの中にはBEVもHVもFCVなども全部入っている。トヨタは全方位に張っているので、どれもやってる。仕向け地域によって対応を変えるだけの話だろう。
で、いつトヨタ死ぬの?
EU圏は?
問題のEU圏である。オレはクリーンディーゼル詐欺がバレた時からEVシフトは読んでた。
一方欧州メーカーは、ハイブリッドは過渡期技術ということで力を入れていない。一足飛びにEV、燃料電池車などを見据えている。
全くハイブリッドをやっていないわけでもないが、ディーゼルよりも高価になるので、トヨタがAQUA/プリウスでやっているように台数を売るという位置付けではない。
実際にBEVの台数は増えているようだ。
ただ、全体の比率でみると過半数はガソリン車である。ディーゼルまで含めればエンジン車は80%を超える。
こうした政策を踏まえ、EUはCO2排出量に関する規制を強化。それまで130gCO2/km以下とされてきた新車(乗用車)の企業別平均CO2排出量を、2021年までに95gCO2/km以下とする新たな目標を設定。段階的に開始され、いよいよ2021年1月から全ての新車乗用車が対象となる。他国との単純比較は難しいが、これは日本の掲げる排ガス122gCO2/km(2020)を大きく上回る厳しい制限であり、達成できなければ1g超過するごとに1台当たり95ユーロという罰金が科せられる。
また、2019年4月、EU理事会は2030年以降の新車に対するCO2排出基準規則をさらに厳格化する改正案を採択。2030年以降の新車について、EUのCO2総排出量の12.8%を占める乗用車は2021年比で平均37.5%削減、2.5%を占める小型商用車を平均31%削減とする。同年6月には、EU理事会が欧州初となるトラックなど大型車に対するCO2排出基準を採択。新基準の下、2025年からは2019年比で平均15%減、2030年から30%減とすることが求められる。こうした厳しい目標を達成するため、各自動車メーカーは販売台数におけるEVの割合を大きく引き上げる必要に迫られることになった。
インフラも整備するようだ。
EVの普及に欠かせないのが急速充電器などのインフラの整備だ。2020年7月、欧州委員会は「欧州グリーンディール」の一環として、分散したエネルギー供給網を見直し、エネルギー効率性の向上を実現する政策をまとめた「エネルギーシステム統合戦略」を発表。EVを普及させるためには、2025年までにEU域内の充電スタンドを100万カ所以上に拡充する必要性があり、そのための資金調達の呼びかけを早期に行うこととした。
この記事には発電・送電の話は出てこない。急激にBEVが増えた時にどうなるのか、大きな社会実験だろう。まあ、EUという考えそのものが大きな社会実験だし。
アメリカは?
ツイートにはABCD包囲網って書かれていたのでアメリカの動向は必要。
覚書に署名した15の州は、カリフォルニア州、コネチカット州、コロラド州、ハワイ州、メイン州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ノースカロライナ州、オレゴン州、ペンシルバニア州、ロードアイランド州、バーモント州、ワシントン州となっている。
署名した州や特別区は、既存のZEVタスクフォースなどを通じて、トラックとバスのためのZEV行動計画を策定し、実施することとなる。基本的にはカリフォルニア州の先進クリーントラック規則の内容を採用し、自らの行政区内の規則を整備する方向へ検討が始まることとなる。
ABCDのAはこんな感じでカリフォルニア州以外はまだまだといった感じ。
その他の国や地域は?
インドはEV化を推進するみたい。長くなったので短くまとめると、アジアの他の国や南米、アフリカ諸国辺りはまだEV化なんて考えてなさそう。電力が無いもんな。産油国が多い中東はどうするんだろ。砂漠でBEVとか想像もしたくないけど。
オーストラリアは水素のようだ。
本題:日本は?
ここまで書いたように自動車メーカーや新規参入組は需要に応じて対応するだけの話である。
問題は上にもちょっと書いたように発電・送電である。
2010年度には62%まで下がった化石燃料依存度、83%まで跳ね上がっている。自給率も8.4%まで下がっている。
各国の比較もある。
日本も中国もアメリカもこのままで推移するとEV化でCO2増えちゃう。カナダやフランス、イタリアあたりはEV化で確実にCO2を減らすことができる。
つまり、ここを改善しないとカーボンニュートラルなんて実現できない。それを踏まえての発言ですよ、これは。トヨタが死ぬとかそういう話ではない。
12月17日、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)がオンラインで記者団の取材に答え、政府が2050年に温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にする目標を打ち出したことに対し、「自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」「日本は火力発電の割合が大きいため、自動車の電動化だけでは二酸化炭素(CO2)の排出削減につながらない」と懸念を示し注目を集めた。
日本自動車工業会の会長としては「自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」は言わざるを得ないが、その前に「日本は火力発電の割合が大きいため、自動車の電動化だけでは二酸化炭素(CO2)の排出削減につながらない」がメインで、政府は温室効果ガス実質ゼロって言う前にやることがあるだろうがクソがである。
ということで、電力インフラをきちんと考え直さない限り、EV化、特にBEV化は無理である。長い。