いろいろやってみるにっき

なんとか自分の会社を立ち上げるところまで漕ぎ着けた、てきとーに生きている奴の日記

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2018年から遡って修正し、2015年分まで修正完了。


ちょっと間が開いたけど、超概算見積について書いておくか

こないだこんなツイートが流れてきた。

 

こんなエアリプをしているけど、きちんと補足しておく。

 

まずPMBOKとはこんな本。第6版が出たのか。

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOKガイド 第6版(日本語)

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOKガイド 第6版(日本語)

 

 

本の外観はどうでもいいんだけど、PMBOKはプロジェクトマネジメントを体系立てているので、個人個人の経験則に頼るよりも抜け・漏れが無い。5個のプロセス群と10個の知識エリアに分類されている。

 

見積はプロジェクト・コスト・マネジメントの一つである。プロジェクトのコスト見積方法は様々なものがあるが、大きく以下の3つに分けられる。

  1. 類推見積(Analogous estimating)
  2. 係数見積(Parametric estimating)
  3. ボトムアップ見積(Bottom-up estimating)

 

類推見積は過去のプロジェクトの実績に基づいて見積るもので、一般的に見積の精度は他の見積技法と比べて低くなりがちであるが、プロジェクトの初期段階で見積るのための材料があまり多くない場合に適している。トップダウン見積(Top-down estimating)とも呼ばれる。

 

係数見積は数学的モデルを利用してプロジェクトのコストを見積る。開発現場では主に以下のような技法が使われる。

  • ファンクション・ポイント法
  • COCOMOモデル、COCOMOⅡモデル
  • Putnamモデル

 係数見積の精度は、モデルそのものの信頼性と入力する数値の信頼性によりばらつきが出る。上記にあげたモデルはいずれもソフトウェア開発の現場でよく利用される。

 

ボトムアップ見積は積み上げて見積る方法である。WBSに詳細に展開した個々のアクティビティあるいはワークパッケージ単位でコストを見積もり、それらを集計する。ボトムアップ見積の精度は上にあげた要素の大きさと複雑さに左右されるが、アクティビティが適切に細分化されたものとなっていれば、最も信頼性の高い見積技法と言える。

図解 ABC/ABM(第2版)

図解 ABC/ABM(第2版)

 

 


現場では場合によってこれらの見積技法を使い分ける。過去に類似のプロジェクトが存在していた場合は、類推法をよく使用する。その上で信頼性を高めるため、ボトムアップ技法でクロスチェックを行う。しかし、ボトムアップ技法を使えるタイミングは計画が固まった後となるため、概算見積までの段階では類推法で行うことになる。

 

上記のような技法で見積を行ったあと、精度に応じてリスク係数を掛ける。精度が低いほどリスク係数を大きく取る。PMBOKでは精度の目安として以下の3つをあげている。

  • 超概算見積(Order of magnitude estimates):-50%~+100%
  • 概算見積(Budget estimates):-10%~:+25%
  • 確定見積(Difinitive estimates):-5%~+10%

 

ツイートでは超概算見積なんだから2倍して出さない奴が悪いって書いたけど、これはつまり精度の悪い類推見積しか使えず、倍半分のリスクがある超概算段階で、手元の見積金額をバカ正直に答えるほうがどうかしているという話。

 

あと、調達企業側の都合も考えてみよう。なぜ数字が一人歩きするのか。

調達側の企業は見積能力に自信が無い場合、発注想定先の企業に見積を依頼する。コンペで調達するとしても発注が想定される全ての企業に依頼するわけではなく、一般には親密な先から数社もしくは1社に依頼する。

超概算見積を依頼する場合、調達側企業の側には類推見積をするための類推元が無いということでもある。そこで発注想定先が提示した数字(金額やスケジュール)の意味は大きい。担当者がバカ正直なら発注想定先の提示した数字をそのまま予算取りに使うことは十分想定できる。つまり元ツイートの場合、どっちもバカ正直だったということになるんだろう。調達側の担当者かその上長も、少しは予備費を積んでおけって思う。

 

超概算見積の金額を提示され、稟議を上げて数千万円数億円数十億円という予算が決まり、さてRFPだコンペだとなった時点で、各社の見積回答が予算額を大きく超えていたらどういうことになるのか。極めて単純な話で、再度予算取りをしましょうなんて企業は聞いたことが無い。スケジュール的にも担当者の(上司の)メンツ的にもキツいことになるし。

最も割を食うのは超概算見積を出した企業で、超概算見積の金額でやってくれという要請が来るに決まっているw。「だってその金額で見積回答したじゃん」って言われるわけで、返す言葉が無い。それを「その金額だけが一人歩きして詰められる。そして、仮の要件なんか全て無視」とか被害者ぶっても。

 

そんなわけで、超概算見積の場合は思った金額の2倍で答えても全く問題が無いどころか、「仮の要件なんか全て無視」みたいにRFPに何を盛ってくるのか読めないのであれば、もう少し上に(たとえばさらに倍)積んでもいいくらいである。

もう、クイズダービーの時の巨泉の「倍率ドン!さらに倍!!」はもう覚えていないかw

クイズダービー (1978年) (メディアブックス)

クイズダービー (1978年) (メディアブックス)

 

 

あと、そうやって超概算見積で倍とかさらに倍とか積んで出して、「高い」と返されてもビビる必要は無い。「まあ、まだ要件が確定していないわけですし」と返しておけばいい。「要件が確定しないとなぜ高いんだ?」と聞かれたら「何をやるかよりも何をやらないのかが決まらないと見積精度は上がらないんです」とでも言っておけばいい。精度の話はきちんと書けば冒頭に書いた通り。

 

また、そのような形で「高い」と言われたあと、他社にも超概算見積依頼が出て安い金額で回答され、それで予算化された場合はその低い予算額でコンペや発注が行われるわけだが、その時の被害担当艦はその低い超概算見積回答を行った企業となるわけで、利益が出ない案件で疲弊することはない。

 

あと、安く回答した超概算見積のせいでキツい案件を受注した場合は、客の予算内に収まるように要件を絞り込むしかない。まあ、軟禁されるかもしれないwwでもオレが軟禁された件は金じゃなく客のせいでスケジュールがきつい案件だった。