炎上しているニコニコレンタカーといわき市教育委員会。あれこれやっているうちに出遅れた。出遅れOKのレピュテーションマネジメントの観点で見ていこうと思うが、まずはそれぞれの発生内容から見ていきたい。
- ニコニコレンタカー過剰請求事件
- 赤飯廃棄事件
- ニコニコレンタカーフランチャイズ運営企業のリリース
- いわき市、いわき市教育委員会のリリース
- ニコニコレンタカーのリリース文を読んでみよう
- 赤飯のリリース文を読んでみよう
- 1. 責任の所在が「身内への批判」に終始している
- 2. 「対話内容の羅列」にとどまり、具体的な再発防止策が乏しい
- 3. 「4月からの新体制」への言及が、現職への追い打ちに見える
- 4. クレームを入れた「市民」への配慮と毅然とした態度のバランス
- 5. 文体・フォーマットの問題
- 総評
- まとめ
ニコニコレンタカー過剰請求事件
拡散されたXの投稿によると、投稿主の友人がニコニコレンタカーで車を借りた際、返却時に車体についた「飛び石」による小さなキズを理由に、8万8000円もの支払いを求められたという。
その友人は保険に加入していたものの、キズについて特に店側に申告することなく返却したところ、実費での支払いを求められたと説明していた。
「当該傷は小さいものではありましたが、ガラス内部に進行する可能性があると判断」し、利用者が免責補償に未加入であったことから、修理相当額と修理期間中の休業補償料(20000円)を「預り金」として請求していたと説明した。
赤飯廃棄事件
- 2026年3月11日、震災15年の追悼日に中学校5校で卒業祝いの赤飯約2100食を用意した。
- 保護者1人から「震災の日に赤飯は不適切」との電話が入り、教育委員会に報告された。
- 服部樹理教育長が即座に提供中止を判断し、缶詰パンに切り替えた。
- 赤飯はすでに配送済みで再利用できず、赤飯約2100食はそのまま廃棄された。
- 献立は事前周知されており、事後的な一件のクレームで覆された形となった。
- 内田広之市長は「判断ミス」「門出を祝う機会だった」と教育委員会を厳しく批判した。
- 服部教育長は「追悼の日にふさわしくない」と説明しつつ、食品ロスへの配慮不足を認めた。
- 市には約200件の意見が寄せられ、大半が廃棄判断への批判だった。
- ネット上では「1本の電話で2100食廃棄」「食育課出身とは思えない」「過剰自粛の象徴」といった批判が噴出した。
- 服部教育長は文科省食育課出身でありながら、食品ロスを招いた判断の矛盾が強く指摘された。
- 事件前から決まっていたとはいえ、任期途中での文科省復帰に「責任を取らず逃げる」との批判が集中した。
- 教育委員会の意思決定の軽さと説明不足が、保護者の不信感をさらに拡大させた。
ニコニコレンタカーフランチャイズ運営企業のリリース
ニコニコレンタカーの運営形態
ニコニコレンタカーはフランチャイズ形態のビジネスを展開しており、実際に過剰な請求をした企業とフランチャイズ運営企業は別法人である。
レンタス社のリリース
いわき市、いわき市教育委員会のリリース
いわき市長のリリース
いわき市教育委員会のリリース
ニコニコレンタカーのリリース文を読んでみよう
全文掲載したいが引用要件から外れるので引用はしなかった。上記URLを読んでの問題点は以下の通り。
- 今回の争点は請求が妥当かどうか
- 預り金であり、最終請求額ではないが、「免責補償未加入」を入れたのは悪手
請求は妥当だったが取り下げるというのは非常に印象が悪い。確かにたかだか9万円弱でビジネス全体が揺らぐのは得策ではない。すでに拡散してからの対応になったのは、フランチャイザー(本部)、フランチャイジー(加盟店)が分かれていて対応が後手になりがちというのもわかる。
でも、このリリース文では本部が「免責補償未加入」と入れた結果、客側に落ち度があったと読ませてしまう。その上で「妥当だったが取り下げる」では、なにか行き違いがあったらSNSで騒ぐことを推奨しているようなもの。この先のビジネスを考えた場合、みんなが忘れるまで擦られかなり売上に影響があるだろう。ニコニコレンタカーという有名ではないけどガソリンスタンドなどでロゴを目にするサービスの場合、みんなが忘れるまで時間が掛かりそう。
なお、前にレンタカーを勝手に売却された事件があったがそれもニコニコレンタカー。その時はレンタカー用の車両が購入ではなくリース車両であった。
過剰な請求が発生しがちなのは、このような金の流れの影響もありそう。ありがちな「ガバナンス強化で~」という一文でこのような構造的な問題を解決するのは難しいだろう。このリリース文ではそこらへんも説明されておらず、将来不安である。今回の発端の加盟店だけでなく、他の全加盟店がその影響を受ける。
なお、レジンを使ったウインドウの修繕の場合、完全に乾燥させて作業することからこの程度の想定休業期間はおかしくない。材料費・作業費は高目かもしれない。額の妥当性は争点ではなく請求が妥当かどうかという点が争点なので、そもそもこの程度で請求するかどうかでいえば、やっぱり過剰かな。本当に修繕するかどうかもわからないので、その点もリリース文で触れていないのは問題。修繕作業プロセスを明示するなどの対策を表明すべきだった。
なんか本部が「どうぞSNSに投稿して」が発端だったっぽいんだけど、一時ソースはまだ見つけていない。
赤飯のリリース文を読んでみよう
全文掲載したいが引用要件から外れるので引用はしなかった。上記URLを読んでの問題点は以下の通り。ニコニコで力尽きたので市長のものはGeminiに読ませる。
市長版
ご提示いただいた「市長メッセージ~給食での赤飯破棄に係る対応について(令和8年3月16日)」の内容を拝読しました。
このリリース(市長メッセージ)は、東日本大震災の命日にあたる時期に、卒業祝いの「赤飯」が「不謹慎だ」という指摘を受けて大量廃棄された問題に対し、市長が教育委員会へ苦言を呈したものです。
広報文としての構成や、リスク管理の観点から見た「問題点・懸念点」をいくつか指摘します。
1. 責任の所在が「身内への批判」に終始している
この文章の最大の特徴は、市長(行政のトップ)が教育委員会(行政組織の一部)を公に批判する形をとっている点です。
問題点: 本来、市役所全体として一つの責任を負うべき事案ですが、この文面では「私は正しい考えを持っていたが、教育現場(教育長ら)が不適切な判断をした」という、身内への責任転嫁や「トカゲの尻尾切り」のような印象を市民に与えるリスクがあります。
改善案: 「市として判断を誤った」という組織全体の反省を示した上で、再発防止策を述べる方が、行政文書としての品格と責任感が伝わります。
2. 「対話内容の羅列」にとどまり、具体的な再発防止策が乏しい
(1)から(6)まで、市長が伝えた「感想」や「哲学」が並んでいますが、組織として今後どう変えるのかという具体性に欠けます。
問題点: 「~と伝えました」「~と考えている」という記述は、あくまで市長個人の主観の表明です。市民が知りたいのは「今後、同様のクレームが入った際に、誰がどのように突っぱねる(あるいは説明する)のか」という運用ルールの変更です。
改善案: 精神論だけでなく、「不当なクレームに対する判断指針の策定」や「多角的な視点での意思決定プロセスの構築」など、実務的な改善に触れるべきです。
3. 「4月からの新体制」への言及が、現職への追い打ちに見える
末尾の「4月から新たな教育長の下で……連携強化を進めて頂きます」という一文について。
問題点: 現職の教育長がまだ在任している時期に、わざわざ「新しい人の下でやり直す」と強調するのは、現職への公開更迭(あるいは強い不信任)に近いニュアンスを含みます。これは組織内の士気を著しく低下させる恐れがあります。
改善案: 特定の人物交代に触れるのではなく、「組織全体で連携を強化する」という表現に留めるのが通例です。
4. クレームを入れた「市民」への配慮と毅然とした態度のバランス
(6)で「指摘した方へ理解を求めることもできた」と述べています。
問題点: 市長が「教育哲学を伝えれば理解を得られたはずだ」と断じるのは、やや楽観的すぎるという見方もできます。現場の職員が「震災の日に赤飯を出すな」という強い言葉に直面した際、どれほどの心理的圧迫があったかへの想像力が欠けている(現場に責任を押し付けすぎている)と受け取られる可能性があります。
5. 文体・フォーマットの問題
問題点: いわゆる「プレスリリース」の形式(背景→事象→対応→問い合わせ先)ではなく、市長の「日記」や「談話」に近い形式です。
改善案: 公式な謝罪と方針発表であれば、事実関係を整理した「報道発表資料」を別途添付し、市長メッセージはその補足として出すのが、公的機関として望ましい形です。
総評
このメッセージは、「市民の怒り(もったいない、生徒がかわいそう)」に市長が寄り添う姿勢を見せることには成功しています。 しかし、組織のリーダーとしては、現場への責任追及が強く出すぎており、**「内輪もめを公開している」**というネガティブな印象を与える危うさも含んでいます。
「現場が悪い」とするのではなく、「市として、過度な配慮やクレームに対して毅然と振る舞える体制を整えられなかったことが課題である」という書き方にするのが、より建設的だったと言えるでしょう。
まあ、やはり組織をどう変えるのかという点で足りないよね。
教育長版
うん、教育行政の長としてはダメだな。なんだこれ。基本的に上記に引用したアゴラが示した指摘通り。意思決定が軽すぎるし、その点の説明がない。ふさわしくないのか?365日毎日誰かが生まれて誰かが亡くなっている。ふさわしいかどうかはその人、個人個人の考えによる。お祝いするための赤飯がふさわしくないなら、それは献立立案時に考え実施すべきことで、当日ではない。
それに当該調理施設だけでは廃棄以外の手は無かったかもしれないが、他の事業者等に目を向ければ保存や消費も可能だったはず。その点の考慮も無く即廃棄が問題に火をつけたわけだが、全く触れていないのはどうしようもない。
まとめ
いわき市の方はまだしばらくは騒がれるだろうが、あくまでいわき市の問題。そもそもいわき市以外には影響はなく、似たような失敗をする教育機関等が出なければ忘れられる話。
一方のニコニコレンタカーは、今回問題を起こした加盟店以外の加盟店も被害者である。いや、これ看板の付け替えでもしないとヤバいかも。加盟店はニコニコレンタカーを脱退して他のフランチャイズに入るか(あるのか?)、レンタカー事業を廃業するか、自営にするか、様子見をする必要があるだろう。運よくこのようなニュースは全然気にしない層存在して借り続けてくれればラッキーだが。



