本来「間違い」を使うべきところに「間違え」が使われている文を見掛ける。たとえばこのツイート。
この「間違え」「間違い」を解説している文を探してみた。まずこれはそのものずばりである。
「間違い」は自動詞の「間違う」の転成名詞です。
転成名詞とは、名詞ではない別の品詞から作られた名詞です。
例:
・釣る(動詞)→釣り(名詞)
・遠い(形容詞)→遠く(名詞)
・にぎやかだ(形容動詞)→にぎやかさ(名詞)
名詞は、以下のように、格助詞に接続して文節をつくることができます。
・間違い「が」ない。 (?間違え「が」ない。)
・間違い「を」指摘する。 (?間違え「を」指摘する。)
・間違い「に」困惑する。 (?間違え「に」困惑する。)
・間違い「の」多い文章。 (?間違え「の」多い文章。)
ごく普通の言語感覚でとらえてみても、「間違え」という語を使った表現に不自然さを感じるのではないかと思います。
「間違え」という表現が、日本語の言語運用の規範からずれているためです。
こちらは別の観点。
〈間違えやすい日本語? 間違いやすい日本語?〉
本題です。このままではわかりにくいので、こういう時はすこし形を変えてみましょ。「*間違えた日本語/間違った日本語」とすればわかりやすいですね? 後者の方がしっくりきます。「間違えるは、取り違える」、「間違うは、理想と違うこと」。まとめると
・「間違えやすい日本語」とは「似たような言葉をまぜこぜに使ってしまいやすい日本語」
・「間違いやすい日本語」がこの作品に出てくるような「従来の形ではない日本語」
です! だから、どちらが正しい・間違っているということはないんですよね。「間違えやすい日本語」は少ないとはいえ「延いては」と「強いては」がごちゃごちゃになる誤用など、きちんとありますからね。
この場合、冒頭に例示した「間違え」とは話が異なる。
新聞でもミスがあるという例。
ただ、動詞としての「気分」は時ににじみ出るのか、名詞であるべきところが「言い間違え」となるケースも散見されます。例えば下の写真のような見出しが毎日新聞ニュースサイトに載りました。
読者の指摘を受け、「言い間違え」を「言い間違い」に直しました。ご指摘くださった方にこの場を借りて感謝いたします。
まあ、こういうことですよ。