いろいろやってみるにっき

てきとーに生きている奴の日記

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2018年から遡って修正し、2015年分まで修正完了。


違う

「違かった」「違くて」「違うくて」など変な言い方をよく見かけるようになった。多いなと気づいたのはここ2~3年。もっと前から見掛けたが増えてきた感じがする。PCのMS-IMEだと素直に変換できないんだが、わざわざ打ってるんだろうか。それとも単語登録?「違うくて」なら「違う」って打ってから「くて」を足せばいいけど。

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Android標準のIMEも変換しない。Google 検索アプリを使ったのでサジェスチョンには色々出てるが単語変換の候補には無い。

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一方のiOS、同じくGoogle 検索アプリを使ったのでサジェスチョンにはAndroidと同じものが並んでいるが、なんと変換候補の先頭に「違かった」が来ている。「違くて」も2番目に来ている。

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動詞の「違う」の活用はワ行五段活用なので「違か」「違く」は来ない。

  語幹 未然 連用 終止 連体 仮定 命令
違う ちが ―わ
(―お)
―い
―っ
―う ―う ―え (―え)
接続する主な付属語   ナイ
(ウ)
マス

ソウダ
カラ
ケレド
ヨウダ
ノデ
ノニ
 

 

 ということで、言葉のプロはどう見ているんだろうと調べてみた。

まず1つめ。

言葉の形式には,たとえ規範から外れていても,何らかの規則性が見いだせる場合が多くあります。そこで「違くて」「違かった」「違くない」と同じパターンを持つ語を考えると,形容詞があります。そこから類推すると,「違くて・違かった・違くない」→「違い」という形が想定できます(,参照)。

表: 「ちがくて」の変化のパターンを考える

 

~て

~た

~ない

ちが

動詞

ちが

ちが

ちがない

ちが

ちが

ちがかっ

ちがない

たか

形容詞

たか

たかかっ

たかない

共通語で「違い」は動詞「違う」の連用形で,「違いがある」のように名詞としてもよく使われる形です。「違くて・違かった」等は,「違い」の語尾の「い」を形容詞の語尾として活用させた形と考えることが出来ます。ちなみに「違い」は現在共通語の形容詞としては存在しません。ただ,首都圏などで聞かれる「ちげーよ」という言い方から,既に形容詞の終止形「ちがい」が成立しているとする考え方もあります。「ちげー」は「ちがう」からの変化形とは考えにくく「ちがい」からの変化だろうというわけです。なお,このような「違う」の形容詞型活用は,首都圏では遅くとも1980年代には広まっていたとみられ,早く井上史雄『新しい日本語―《新方言》の分布と変化―』 などに指摘があります。

 

形容詞的な活用かあ。なお、現在日本で一番「ちげーよ」が似合うのはサンドウィッチマンの伊達ちゃんである。

 

そしてやっぱり日本語といえばNHKである。

中学校の国語の授業を思い出してください。「違う」などの動詞は、

違ワない・違ウ・違エば・違ッた・違ッて

というふうに活用します。「違くない」などの形は出てきません。
いっぽう形容詞は、

白クない・白イ・白ケレば・白カッた・白クて

と活用します。

ただし、「違う」は活用の上では動詞でも、何かが動いたり止まったりするものではなく、「同じではない」という状況を説明するときに用いられるものなので、意味の上では形容詞に非常に近いのです(英語のdifferentは形容詞です)。そこで、動詞である「違う」を形容詞ふうに「違い」とし、無理やり活用させたのが「違クない、違カッた、違クて」なのです。

 

(中略)

 

放送では、ことばの変化をあえて先取りする必要はありません。伝統的な形を強くお勧めします。

まあそうでしょうね。

 

千葉大学日本文化論叢, 2011にこんな論文を見つけた(PDF)。論叢という言葉は知らなかった。紀要みたいなもんかな。

引用論文は1995年とか1998年のものだったりするので、オレが思っている以上に「違くて」「違かった」は古くから使われていたことが分かる。一般の人が話したもの、書いたものに触れる機会が多くなったということかもしれない。

  五段活用動詞 [違う] の形容詞型活用

ここまで、 「違う」 の形容詞活用が広く使用されるようになっていることを確認してきた。 では、 なぜ本来動詞であるはずの 「違う」 が形容詞型の活用で用いられるようになったのであろうか。 井上 (1998) では、 「ちがくなった」 という言い方について、 福島県・栃木県では若者に限らず老年層も使用し、 埼玉県・東京都では若者が使用するという調査結果から、 福島県あたりで数十年前に発生して、 北関東を経て、 東京に入ってきたと説明している。 方言として使用されていた言い方であったとしても、 これまで見てきたような普及状況に至ったのには何か原因があるはずである。 本章では、 2つの視点からその原因を考察していく。

 

栃木と言えばU字工事である。

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U字工事の2人が「違かった」って言ってても、栃木なまりなら違和感が無い。そこでチェックしてみたのだが見つけることができなかった。残念。

 

ということで、「違くて」「違かった」などでイラっとしたら「方言?北関東?東北?」って聞いてみることをお勧めする。