大学に進学し、一人暮らしが始まった。
風呂無し、トイレ共同、キッチン付の6畳間だった。大学へは徒歩で行きは20分登山、帰りは15分下山の距離だった。冬場、吹雪の日は遭難するかと思った。
登山・下山と書いたが、途中に大学の敷地である森林地帯があり、たまにキタキツネが出た。地元出身の同級生に「キタキツネはエキノコックスを持っているから近寄るな」と言われていたので見るだけだった。キタキツネ側も我々と遭遇しても、寄ってくるわけでも逃げ出すわけでもなく、「ああ人間ね」みたいな感じだった。多分、地元の人たちも教えてくれた同級生と同じで、近寄ったりしないようにしていたのだろう。
成狐だけでなく仔狐もたまにいた。当時は写真などを撮る機材は持って歩いていなかったので、自分で撮ることができず残念。
3年生に進級するときに横浜で兄と暮らすことになり、それ以来あのあたりには行っていないが、まだキタキツネはいるんだろうか。