初動で火に油を注ぎ、追加で何度も火の勢いを増させるように動いてきた株式会社ピーシーデポコーポレーション(以下 PCデポ)。発覚以来約1か月、週刊ダイヤモンドの社長インタビューから約半月。
トップページを見ると平時に戻ったかのようである。
社長名のお詫びはトップにバナーで用意された「プレミアムサービス会員様へ」の中にあり、ニュースリリース等を出す最新情報 | インターネットデバイス・ネットワーク総合専門店【PC DEPOT】には無い。最新情報 | インターネットデバイス・ネットワーク総合専門店【PC DEPOT】の最新は、2016.8.31のWeb本店における中古品買い取り・販売再開に関するお知らせ | 【PC DEPOT】である。
社長のお詫び文は画像である。
具体的には何に対しても何もお詫びしていない。報道などでは騒いでいるけど心配するなという文章である。今月に入ってからも様々な問題が浮上しているのに、8月20日付け、約1か月前である。
一方、業績としては相当なダメージがあるようだ。週刊ダイヤモンドのインタビュー記事では、平時0.7%の解約率が1.0%だよと言っている。
契約内容の説明を進める中で、「聞いていなかった」とコース変更や解約を決めた会員は実際に存在します。しかし、その割合は40万人の会員のうち1%以下です。平時でも0.7%前後の解約は起きていて、8月の解約率は1%程度になる見通しです。
しかし、9月12日の東京マーケットワイドでは下記の業績報道が。
問題が出たのは月半ば、半月ほどで10.5%減は相当だな、 #PCデポ pic.twitter.com/NCsgyyzw6U
— shigeo_t (@shigeo_t) 2016年9月11日
東京マーケットワイドは下記。
MXが受信できない地域でも、STOCK VOICE | TVや「エムキャス」テレビをネットで視聴!PC・スマホで無料リアルタイム放送で視聴可能。
半月で前年同月比10.5%減収というのは、この先この問題を早期に収拾しないと企業存続に関わるレベルのダメージである。
株価のほうも年初来安値にチャレンジしている。ヤマダやケーズじゃあるまいし、安値チャレンジはしない会社のはずなのに、株価は安値チャレンジ。
チャートで見ていくと、2013/9にドンと500円台に上げて以来、ほぼ右肩上がりで来たのに、2016年8月真っ青である。
ネットのほうを見てみると、まだまだ火消しどころか新燃料がどんどん出てくる。前のエントリを書いたときには、ネットでは「リースだったら金融業の届け出要」みたいな話だったが、オレが書いた通り割賦販売法違反じゃないのっていう話になってきているし、#PCデポ でBOSEのイヤホン購入価格について直接聞いてみた - Togetterまとめ、
PCデポのWi-Fiキー秘匿、「初心者シャブ漬け商法」「PCサポートの標準化が必要」 - Togetterまとめみたいな話も出ている。
景表法違反での通報も進んでいるようだ。
すでに消費者庁へは景品表示法の件にて報告あげておりますが、消費者契約法に関しても抵触を示す証拠書類がまとまりました。そちらは先ほど公益通報より報告しております。割賦販売法に関しても話題になったBOSEのイヤホン等の契約書も含め、経済産業省へ追加資料として提出しております。
— 灰色のデポの その中の体温の (@haiironotaion) 2016年9月18日
景品表示法の件を消費者庁へ通報したのは9月5日ですが、最近まで証拠書類の提出や細かい質問などへの対応をしておりました。なお、規則とのことで調査の進捗状況は教えて頂けません。すでに景品表示法の件はやり取りを終えておりますので、あとは消費者庁次第となります。
— 灰色のデポの その中の体温の (@haiironotaion) 2016年9月18日
全ては追いきれないが、すでにレピュテーションマネジメントの領域は過ぎ、大きく立て直さなければ会社存続に関わる事態。前の予測通りである。立て直すことができなければ、レピュテーション(世評、評判)などはなんの役にも立たない。
以前にベネッセの情報漏えい問題に乗ってコンピュータ・フォレンジックの基本を書いておく - いろいろやってみるにっきに図示したものを再掲する。金融機関用なのでちょっと関係ないものが混じっているが、リスクの種類でいえば、法的リスク以下が全部当てはまる。
リスクマネジメントの観点でいえば、今回必要なのは、「識別」「評価」「回避」「軽減」である。「転嫁」は今の段階、短期間では難しいだろう。「受容」についてはコンティンジェンシープランは必要だが、今PCデポがやっているような消極的受容は一番まずい。
このまま死の行進を続けるのか、抜本的な改革を行うのか要注視である。従業員、元従業員に対するリーク者探しをしている場合じゃないと思うけど。