興味深い。
「はい。最初はいろいろな声があるな、くらいにしか思わなかったのですが、そのうちに状況に応じて、いろいろな声を使い分けていることがわかってきて。あのときも、巣穴に侵入しようとするヘビを見つけた親鳥が、『ジャージャー』って鳴いて。そうしたら、ひなたちが一斉に巣から飛び出して。『あ、ジャージャーって、ヘビの意味か!』 って思った瞬間、鳥肌が立ちました」
オレがシジュウカラを見ても『ジャージャー』って聞いたことが無いのは、近くにヘビがいる時にシジュウカラを見てないからか。
―あ、鳥が作文するって話ですよね? 詳しく聞かせてください。
「シジュウカラには鳴き声を組み合わせて文章を作る力があるんです。例えば、『ピーツピ』と鳴くと、『警戒しろ』という意味で、『ヂヂヂヂ』と鳴くと、『集まれ』という意味。彼らは天敵に襲われたとき、『ピーツピ・ヂヂヂヂ』と鳴き、キョロキョロ警戒しながら、集まってきて、集団で敵を威嚇します。これは、『警戒して、集まれ』という2語文を使っているからなんですね」
―すごい発見ですね。
「僕もびっくりして、本当に文法になっているのか、何度も検証しました。この場合、語順をひっくり返して確かめてみました。シジュウカラは、『警戒して、集まれ』の『ピーツピ・ヂヂヂヂ』の音を聞かせたときは行動したのに対し、順番を逆にして、『ヂヂヂヂ・ピーツピ』と流したら、反応しませんでした。シジュウカラの語順にはちゃんとルールがあって、彼らはそれを文章として理解していることがわかったのです」
シジュウカラって『ツピツピ』鳴いているイメージがあったんだけど、オレは警戒されていたんだ(当然)。
もしかすると将来解明されるのかもしれないけど、シジュウカラと似たような『ツピツピ』って鳴くハクセキレイ、似たような言語を使っているのかもしれない。やっぱり警戒されているのか?オレ。
なお、さすがに木の枝にいることが多いシジュウカラと地面に降りることが多いハクセキレイ、鳴き声のする方向が違うから見間違うことはない。