この問題、あれこれつながっている気がする。ツイートにあるように本当に怖い。なお正確には32,587,500円らしい。税込?税込なら税別では29,625,000円。
この話、いろんな人がつぶさに説明しているんだけど、「それがどうしたんですか?私も高いと思います。」みたいなのがいっぱいいてそれが何より怖い。彼らは何をもって「高い」と判断しているのかというと、労働量や能力への対価とかそういう計算でなく、「だって3000万は大金」みたいな感情なのだ。 https://t.co/898RXtGFSR
— 橙⚡️ (@_0ranssi_) 2021年8月12日
稼働料考えたら適正価格か安いくらいだよ、という説明を「でも3000万は大金だもん」で突破しようとしてくる人間が納得するやり方を考えると、マジメにいらすとやしかないとかそういう話にしかならないんだけど、そういう思考がドライブしない、木の洞みたいな人間がいっぱいいると思うと本当に怖い。
— 橙⚡️ (@_0ranssi_) 2021年8月12日
猛烈にすごいのもいる。
五輪のピクトグラムひとつ500円、10分でできるおじさん、人間性に興味があったので見に行ったら、予想以上の「無敵の人」ぶりに吹いた。 pic.twitter.com/A6H1t9vKEW
— 丹羽薫 (@NIWA_KAORU) 2021年8月12日
このおじさん最初は「どうせ電通は中抜きしてデザイナーには10万ぐらいしか渡ってない」って主張だったのに、1つ60万なら安い方だろって意見が多くなると「そんな高額なのはおかしい」と言い出して、最終的に500円おじさんになりました。https://t.co/VkEYJuphCG
— ぬこ.提督 (@Admiral_nuko) 2021年8月12日
面白いことにお金の面では維新とは親和性高そうなのに、反自公維って名乗っているからそもそも色々分かってないか妄想だけで生きてるんだと思う。
なんで発注側が400万円×4なんだよwそこが金取る公共事業見たことないわwキックバック?なんで孫請に50万円からのデザイナーに10万円なんだよ。そこでいきなりフリーランスのデザイナーなのか?それとも通常の給与に10万円上乗せか?それはデザイナーさんうれしいかも。あと計算してみると3,060万円。3000万円の内訳って書くなら3000万円にしろよ。中抜きって言葉覚えたからって連呼すんな。間違ってるけど。
基本となる「中抜き」の意味は以下の通りです。
(1)中のものを抜き取ること
(2)中間を省略すること
(3)製造業者と需要者の中間にある問屋や小売業などの流通経路を省くこと
ということで、中抜き連呼厨はそもそも言葉を間違って使ってるというところが面白い。彼らの言う中抜きは中間マージン取り過ぎとか中間搾取とかピンはねとか上前をはねるとかが正しい。
中抜き連呼厨は置いておく。本題は「だって3000万は大金」「でも3000万は大金だもん」のほう。仕事上でお金を扱わない人、あるいは働いていない人だとビジネス上のコスト観が無いというのは分かる。分かっていないということが分かってないから怖いんだけど。
このピクトグラムの数と出来栄えからすると全然高くない。色々な計算方法あるけど、バカに分かるように単純に人員コスト一人100万円/月で計算すると30人月。もっと人月単価が高い人たちが動くので10人月から20人月と考えてもいい。これで3Dやアニメーションや平面まで全部やってるんだから破格だよね。2年だったら完全に赤だよね。あと仮試算用の人員コストだから、給与だけでなく税金やら社会保険料やらオフィス費用やら人を雇うのに掛かっている全部乗せた数字ね。
ピクトグラム3000万で2年プロジェクトとか全部社内でやったところで電通で赤じゃねぇの。ガチのデザイナーでチーム組んでるし普通に金残らんのではこれ>RT
— ps20xx(銀ブラ) (@ps20xx) 2021年8月12日
デザインして終わりじゃなくプロジェクトマネジメントや各競技団体との調整、ディレクション、機材費資材費法務その他諸々全部込みだよね。機材は元々持っているかもしれないけど、他の仕事じゃなくこの仕事に使った分として考えると他の仕事で稼ぐお金分の機会費用は掛かったとみなすべきもの。
参考画像①#ピクトグラム #東京2020オリンピック #Tokyo2020 #オリンピック#東京五輪 pic.twitter.com/AEk63O1U13
— カミツキガメ (@gkK3V5INhZycuu5) 2021年8月12日
参考画像②#ピクトグラム #東京2020オリンピック #Tokyo2020 #東京2020#オリンピック#東京五輪 pic.twitter.com/JsGnPa0g9P
— カミツキガメ (@gkK3V5INhZycuu5) 2021年8月12日
前にコスパ厨について書いたけど、今回の「だって3000万は大金」「でも3000万は大金だもん」という奴らと通底する何かがある。
コスパ厨はパフォーマンスの指標が人それぞれ異なることを無視するので、コスパと言いながらコスパについて分かってない。価格が安いということの評価が高い。
原価厨についても書いた。
原価厨が言う原価はほぼ直接材料費しか見ていない。間接材料費も労務費も経費も全部抜け落ちている。そんな奴が試算すればそりゃ話が合うわけがない。
今回の「だって3000万は大金」「でも3000万は大金だもん」はコスパ厨原価厨とも少し違う怖さがある。まず怖いのは評価軸が自分の感覚や感情というところ。何人も動いてリテイク込みで仕事を仕上げて、多くの人が高くないだろと説明したのを見たうえで感覚や感情で高いと決めつけている。
卑近な例でいうと軽自動車200万円、マイバッハ3,000万円だから軽自動車は安いって言うような奴。そこ比較しても意味無いでしょって話。
その軽自動車が200万円で高いか安いか、マイバッハが3,000万円で高いか安いかは全く個別の問題。値札だけ比較しても別用途別ジャンルなので意味が無い。その軽自動車がライバル車と比べて装備が劣るとか安全性に劣るとかなのに値段だけライバル車並み200万円なら高いと考えるのがフツーの人。200万円だから安いとは限らない。妥当なのは150万円くらいかもしれないものを、200万円だから安いという人間が世の中に存在するから怖い。
同じようにマイバッハ3,000万円の方もロールスやベントレーなどライバル車と比較してとか、ブランドエクイティを考えてとかメンテナンス性やメンテナンス拠点がとか、その他諸々で高いか安いかを考える。その結果3,000万円は安いという評価もありうる。自分が払えるかどうかは別の話。
こういう仕事をしたらいくら、こういう物を作ったらいくらという感覚は、仕事する上で培われることが多いのである意味仕方ない。しかも物の場合、大量生産とワンオフでは天と地ほどの費用感の差が出ることもある。今回のピクトグラムの場合は成果物があるけど、専用に作ったワンオフなので費用は掛かるのが当然。
「だって3000万は大金」「でも3000万は大金だもん」って奴らに、分譲マンション1棟100世帯みたいな物件を見せて、1棟3000万高い?安い?って聞いてみたい。地域や内容にもよるけど新築マンション1世帯3000万でも相場より安い可能性はあるけど、「だって3000万は大金」「でも3000万は大金だもん」の奴らは高いって答えるんだろうか?評価軸持ってないのにお気持ち表明されてもな。怖いのはそこ。普通の人はこれは決して高くないんですよって説明されたら一応記憶するものだし、完全に納得しないまでも黙るし、ヒアリングできるプロを捕まえられるならその説明が妥当かどうか検証するもの。
経済活動の邪魔だから感情だけで高いとか言うのやめてくれないかな。
頭上ノコギリ注意(違う)。これだって500円10分じゃできねーよ。