いろいろやってみるにっき

てきとーに生きている奴の日記

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『その道で食べてる人が自身で得た技術を他人に教えたりしているのはどういう気持ちなんだろうか』と問われたら

出遅れたし、ブコメにもTogetterにも短文で優れた答えが並んでいるので、昔話をダラダラ書く。

 

元ネタはこちら。

 

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Togetterはこちら。


オレの答えも、ブコメやツイートをした人たちと同じで教える派なんだけど、その考えを強化したきっかけを書く。 

いや、きっかけになったできごとは以前に書いていた。この出来事によって、ITの分野では特定の人にしかできないことというのは、プロジェクト全体から見るとウィークポイントだということが分かった。当時ペーペーのオレが、顧客を含めて関係各位に叱られながら学んで身に付けている以外、自分の優位性を確保するためにこの仕事を囲い込みたかったリーダーしかできない。誰にも助けてもらえないのはキツい。

 

このころ、会社の経営陣は「スペシャリストを目指せ」的なことを言い出した。オレの入社年度の次からは大量採用だったというのもあるだろう。それまでのように少人数で仕事を回そうとすると、「○○の専門家です」という人間だけでは仕事にならない。でも人数が増えれば話は変わってくる。

しかし、オレは生来ひねくれているので、じゃあゼネラリストを目指そうと考えた。で、他人からどう見えているかは別として、今でもITの分野では専門分野が無い。

 

そんなわけで、自分の下に後輩が付くようになって、どんどん教えることにした。目標は自分がいなくても仕事が廻るレベル。 幸いITの分野、30年近く前でも何から何まで全てを一線級のレベルでできる人はほぼ存在しえない。そこで、そうやってどんどん人に教えては、自分は周囲ではやっている人がいない分野を担当させてもらうことにした。まあ、飽きっぽいっていうのもあるんだけど。

 

教えるときのポイントは、自分が身に付けるために苦労した部分を、どう回避させるかを整理して伝えるところ。つまり、「苦労して覚えろ」ではなく、「しなくていい苦労は回避しろ」。オレが身に付けるために使った時間より、短時間で身に付けさせたい。そのほうが手離れもいいし。もちろん教科書通りの部分もあるんだけど。

 

やらなかったことは、「自分のコピーを作る」。人それぞれ得意不得意はあるし、物事の捉え方、考え方が違う。よく自分のコピーを作りたがる人が多いし、そのような教え方「オレのやっている通りにやりゃいいんだよ」式の説明しかできない人は多いけど、それはある意味教えることについてのコストが低そうで、実際にはなかなか自分のコピーなんてできないわけで、逆にコスト高ではないか。相手に合わせたほうが双方ストレスが少ない。

 

そうやってどんどん教えて、後輩や部下の人ができるようになった結果、面白い仕事が廻ってくるようになった。過去エントリの時の上司の時のこと。上司からすれば、自分の部下にある分野の経験者がいない場合、オレに振ればなんとかしてくれる。今までやらせていた分野はオレの部下に引き継ぎできるので、すぐに振りやすい。

 

また後年の別の上司は、ある程度の制約だけでオレを野放しにすることにした。その結果、オレはよそから声が掛かると、短期的な損得は抜きにホイホイついていく。そして案件を仕立ててくる。声が掛かるのは、「あいつなら何か知ってるかも」「あいつならできるかも」という噂。実際にやったことがあるかどうかは関係ない。最初はタダで動いて、顧客から受注したところで仕事の分担を引っ張る形なので、オレに声を掛けた側の負担も少ない。いや、顧客と会話して本当に欲しいものを聞き出し、提案内容をまとめて提案書を作り、プレゼンまでやってくれるんだから負担どころの話ではない。ウソくさい。

そんなわけで「ほんとにタダで動いてくれるの?」と何度も聞く懐疑的な人はいたけど、何度も同じこと聞くなよめんどくせえ。そうやってオレが自由に動くための費用は、別途確保しているんだよ、オレは(正確には上司が)。

あとは、特定の専門分野について、オレにもちょっと難しかったり時間が足りないときは、できる人に教わったり、連れてきたりしてなんとか仕立てる。

 

教えることで置かれる状況が変わるんだから、どんどん教えるべきというのがオレの答え。多分、3年以上同じメンツで同じ仕事しかしない職場だと、教えたくない人もいるだろうなというのも想像がつくが、そういう業務じゃなければ教えることが生存戦略として正しいだろう。

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