思いついちゃったので書いておく。昨日のエントリの続きである。
そして、件の紙。
次のように書かれている。
- この利用者情報は、配布された世帯のみでご使用ください。また、第三者に渡らないように取扱いなどには十分ご注意ください。
- 本紙は、セキュリティ確保のため、原則、再発行いたしません。
あちこちのポスティングされてた情報がTwitterで流れてくるが、当然ウチもw。
ポスティングされてた pic.twitter.com/0pqRaHB3jI
— shigeo_t (@shigeo_t) 2015, 9月 10
さらにはこんなツイートも( ゚Д゚)
国勢調査、マンションの郵便受けから盗める状態で突っ込まれてたけど、それをそのままよこのゴミ箱に捨てられているのを見て驚いている
— ねこになったつ (@tsu1100) 2015, 9月 13
平日日中に調査員が廻れば、そりゃ不在のお宅も多いだろう。でも封をしてない状態で集合ポストに入れちゃうのはまずい。今回はもうほとんど配り終っただろうから今さら是正を求めてもあまり意味がない。次回に向けて1方法として立案してみる。
まず調査員のオペレーションを想像してみる。今回は下記のような感じだろう。イレギュラーケースは後で。
- 「平成27年度国勢調査インターネット回答の利用案内」の封筒内にパンフと「平成27年国勢調査インターネット海洋の利用者情報」を封入(なんとなく手で封入しているように見える)。手で封入しているので手間となる封緘はしない。
- 調査員に割り当て分を仕分け。
- 調査員が担当地区各戸を廻り、「平成27年度国勢調査インターネット回答の利用案内」の封筒を配布する。
- インターネットで回答できない/していない世帯には、9/21以降「平成27年度国勢調査インターネット回答の利用案内」の代わりに手書き用の用紙を配布。
- 手書きの用紙を配布した世帯には後日回収に行き、用紙を回収。
「平成27年国勢調査インターネット海洋の利用者情報」には、下記の項目が印刷されている。
- (1)市町村コード
- (2)調査区番号
- (3)世帯番号
- (4)調査対象者ID
- (5)初期パスワード
ここで注目すべきは、(2)調査区番号、(3)世帯番号の3つである。ある時点で地域ごとの住宅を把握して各戸に(2)(3)を割り振るんだろう。
ということは今回の1億円のシステム(後述)を大きく改修することなく、次回はもっとセキュアにするためには次のような案が考えられる。次回は5年後平成32年と想定。
- (1)市町村コード(2)調査区番号(3)世帯番号毎に(4)(5)ではなく(4')調査対象者仮IDを割り振る。
- 「平成32年国勢調査インターネット海洋の利用者情報」は不要
- その代り、調査員が配布の際に使用する台帳はシール式に。
- シールには(1)~(4')を印字。あと、手書き用紙用の(1)~(3)の情報をQRコードにしたものを印字。
- 配布の際、インターネット回答者にはパンフに(4')を貼り付け。手書き回答者には手書き用紙にQRコードを貼り付け。
- ポスティングするなら、この時点で封をする。
これで、封をした封筒内にパンフに貼り付けされた仮IDという状態になる。単に封筒を盗んだだけだと仮IDしかない。仮IDは(1)市町村コード(2)調査区番号(3)世帯番号に紐づいているので、正しく(1)市町村コード(2)調査区番号(3)世帯番号に結び付く住所を入れないと初期ログインできない。ポスティングする前に封をするので、開けられていたら分かる。盗む時にきちんと住所把握しながら盗まないとログインできない。隣人の物など、正しい住所を知っているものを盗んだ時にはログインされてしまうが。
今年のやり方でも封入封緘機で封をしておけば、こんな騒ぎにならなかったんだろうが、多分調査員への仕分けなどのオペレーションが回らないという判断だったんだろう。
調査員を雇わず全部日本郵便などに配達を依頼するなら、今年の「国勢調査インターネット回答の利用案内」を封筒に入れ、封入封緘機で封をし、仕分けから配達までを日本郵便などに委託してしまえば、そもそもこんな問題は起きないわけだが。
一応総務省の肩を持つとすれば、今回はインターネット化の初回なので、インターネット回答率/手書き回答率が分からない。そこで今まで通り調査員を雇って、各戸を廻るという形態を採りたかったんだろう。
もう一つはイレギュラーなケース。(1)市町村コード(2)調査区番号(3)世帯番号を事前に割り振るということは、ある時点の情報を使っているわけで、その後に建った建屋には対応できていない。調査員が廻ればそういうところに気付くことができるが、単に配達を委託してしまえばそういう情報はフィードバックしにくい。よほど古い建屋情報を使わなければ統計的には無視できると思うけど。
というわけで、今年と同じ印刷物なら調査員制度はやめてきちんと封緘し、日本郵便などに配達を依頼。調査員制度を使うなら上に書いたシール式など、少しはセキュリティに気を使った方法にして欲しい。
あとおまけ。こんなツイートが目に留まった。
国勢調査のページのソース見たら全市町村のリストがそのまま書かれてておおうってなったけど、明らかにテスト用ぽい国勢県センサス市とかアデコ県アデコ市とか残ってて謎 pic.twitter.com/GAUBoADlst
— konoiz@CS-A-P (@konoiz) 2015, 9月 11
作りがダメダメである。やっつけ感すごい。そこでそういうやっつけ仕事はどこの仕事か調べてみた。平成 25 年度第2回総務省契約監視会の議事概要について(PDF)という資料のP5に、
一般競争入札・総合評価落札方式)
平成 27 年国勢調査のオンライン調査に向けたシステムの設計・開発等業務 一式契約相手方:富士通株式会社契約金額:104,790,000 円(落札率 36.77%)契約締結日:平成 25 年4月 22 日競争参加業者:3者
と書いてある。多分今回の国勢調査のシステム部分の担当と言うことで間違いないだろう。1億479万円って聞くと、画面数から言えばまあそんな感じかなとも思うけど、非機能要件まで考えると安いかも。だからといって入札額を決めたのは入札側であって、やっつけ仕事でよいという話にはならんのですけど。