この日経新聞の『格安スマホ、競争透明に 通信速度の開示要請へ 総務省、大手と比べやすく』を読んで違和感を感じた。
格安スマホの通信速度は事業者が使っている設備や借りている帯域によって変わる。民間調査によると、格安スマホ10社の通信速度は速いところと遅いところで10倍以上の開きがある。
利用者の間では格安スマホに換えると、通信速度がどのくらい遅くなるのかわからないとの不安があり、乗り換えを阻む要因になっている。
ドコモなど大手3社はすでに総務省の要請を受けて全国1500カ所で通信速度を測定し、ホームページで公表している。総務省は格安スマホの業者にも、ほぼ同じ測定基準で通信速度を公表するよう求める。測定場所の数は減らす方針だ。
通信速度がはっきりわかれば、現在600社以上ある格安スマホ事業者のサービスの質を比べやすくなる。大手から良質な格安スマホ事業者に移りやすくなるうえ、格安スマホどうしの競争が激しくなれば、サービスの質が低い事業者の淘汰につながる。
SIMフリースマホなら、MVNOじゃなくキャリアでも使えるじゃん。キャリアの使っているバンドと、スマホがサポートしているバンドが合えばだけど。
「格安」の構成要素が端末なのか回線なのかというと、回線が安いというところがミソだと思うんだが。MVNOでiPhoneみたいに高価な端末を使ってもいいわけだし。どうも「格安スマホ」という表記には違和感がある。
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そして本題。速度問題である。
ドコモなど大手3社はすでに総務省の要請を受けて全国1500カ所で通信速度を測定し、ホームページで公表している。総務省は格安スマホの業者にも、ほぼ同じ測定基準で通信速度を公表するよう求める。測定場所の数は減らす方針だ。
ところで、キャリア各社のホームページを見たが速度は載っていない。各社の速度計測結果のページはこちら。いい加減、「ホームページ」の誤用はやめるべきだと思うが。
それぞれ見ていただければわかるが、都道府県単位で見ると、docomo10都府県、au10都道府県10都市、ソフトバンク11都道府県である。
総務省からの指定はこのようなものらしい。
測定地点を総務省が指定しなかったせいで、各キャリアが任意で決めた場所の計測結果である。そのせいで単純に比較できる地点が少ない。
ソフトバンクは千葉県、愛知県、京都府~滋賀県、福岡県と複数の市町村にまたがっている場所がある。『全国10都市から300メッシュ(1メッシュ:500m四方)×5地点=計1500地点』をやって、都合の良い地点を抜き出したら、複数府県・市町にまたがったということだろう。土地勘のない清須市・尾張旭市を見てみたら名古屋市に隣接してた。
キャリアの計測地点は総務省の指定では1,500。
ドコモなど大手3社はすでに総務省の要請を受けて全国1500カ所で通信速度を測定し、ホームページで公表している。総務省は格安スマホの業者にも、ほぼ同じ測定基準で通信速度を公表するよう求める。測定場所の数は減らす方針だ。
MVNOの運営企業は大企業が多いので、測定地点が少なければ測定そのものは可能だろう。
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ただ、MVNO─MNOの仕組みから言うと、あまり意味のある測定方法とは言えない。
図を再掲する。
基地局とMNOの間で計測するのは、利用者にとっては一見分かりやすい。しかし、遅くなる要因は図のようにMNO─MVNO間、MVNO~インターネットに抜ける接続である。ここにどれだけの利用者を詰め込むかで速度が変わってくる。MVNOがMNOよりも安い利用料を設定できる理由でもあるし。逆に、測定地点での計測結果が速かったり遅かったりしても、それはキャリア(MNO)側の事情かもしれない。
また、MNOとなっているキャリアの測定地点は、そもそも単純比較できない異なる地点である。ここでMVNOにまた任意の場所で計測させて意味があるのか?
MVNOの設備増強・回線増強は、利用者の増減に合わせてリニアに行うわけではなく、どうしてもタイムラグが発生する。
というわけで、MVNOに公開を迫るべきなのは地点計測結果ではなく、MNOとの接続回線帯域、インターネットへの接続帯域と利用者数(契約者数)ではなかろうか。 これならほぼリアルタイムな数字を出せるはずである。