『イオン vs マイナスイオン』という言葉が思い浮かんだが、面白いストーリーは考え付かない。残念(挨拶)。
データセンターの原価計算について〜「クラウド」の別側面として - 急がば回れ、選ぶなら近道 を読んでいて2つの誤用に気付いたので。オレとは意見が違う。
今日のところは違う意見を書くための時間が取れない。ということで今回は指摘のみ。いずれの誤用も多分推敲不足じゃなくて勘違いの誤用だろう。
2つ目のほうは大した誤用でもない、というか多分にオレと意見が違う面が反映されてて誤用とも言い切れないのだが。
1つ目のほうは結構見掛ける誤用。このエントリのタイトルにも書いたように『サービサー』。上記ブログから該当部分を引用する。太字・下線はオレ。
さて、いろいろやっていて思うところがあるので、現時点での考え方をまとめておきます。機微な部分はNDAになるので書きませんし、以下は自分の「個人的な」意見であり、特定のサービサーの話をしているわけではありません。基本的にInteropで公にしゃべった話のまとめです。
(中略)
実は日本のDCはほとんどの場合、後者に近いのが現状です。要するに「いくら儲かっているだっけ?」が正確に把握できていない。いや、勿論簡単などんぶり勘定無敵のエクセルワークシートはありますが、それ以上のものはほとんどないでしょう。これは、サービサーの当事者に問題があるだけではなく、背景にある制度会計にも問題があります。この種のCostingを問題にしている人は中には多数いるとは思いますが、まず打つ手がないはずです。
(中略)
非常にシンプルです。結果として、やるべきことはラックの稼働率・坪効率の向上になります。あとは、できればラック単価・坪単価の値上げのための「付加価値戦略」の追加です。(尚、コストでは勝負にならないので、人手をかけた高サービス、ってな言い方をサービサーが言いますが、これは根本の投資回収ビジネスが変わっていない以上、付け焼き刃の後追い施策でしかないです。Costingを見ればすぐにわかる話です。)
”サービサー クラウド - Google 検索”や”サービサー ホスティング - Google 検索”などで検索すると、結構オフィシャルな講演のスライドやインタビュー記事などもヒットする。でも完全に誤用。
検索結果でも正しい使い方の『サービサー』がヒットしているが、『サービサー』とは債権回収業や債権回収会社を指す言葉。法律もあり法務省も法務省:債権回収会社(サービサー)制度 −債権管理回収業に関する特別措置法−というページを作っているくらい、IT業界以外では『サービサー』は債権回収業ということで定着している。
ではサービス提供者をどう呼ぶかだが、ごくベタだが『サービス・プロバイダ』が一般的。あるいは『サービス・ベンダ』。ドリンクを提供する機械のことをドリンカー(drinker)って呼ばないじゃん。それじゃ酒飲みってことになっちゃう。それと同じで、元の単語にerを付ければいいってもんじゃない。
データセンターの原価計算について〜「クラウド」の別側面として - 急がば回れ、選ぶなら近道を読んでてなんで急に債権回収の話に入るのかと思ったら、別にそんなこともなくて単に誤用だった。一瞬、クラウドの利用料を債権譲渡して云々かと思ったんだが、そんな面倒な話ではなかった。 引用した部分を債権回収業あるいは債権回収会社という正しい意味で読むと、前後の文意と言葉がかみ合わず意味が通じない。
明確に誤用なので、じんわりと指摘していったほうがいいと思う。
2つ目は『土建屋』。建設業には28業種あるのだが、28業種に分かれているという事は業務が明確に異なるから(建設業 - Wikipedia)。土建屋というときには、土木工事業や建築工事業を主たる事業としていることになる。
で、問題の『土建屋』なのだが、これも該当箇所を引用する。太字・下線はオレ。
そして実は現状の日本のDCビジネスが根本的にクラウドになっていない理由もここにあります。要するにですね。発想が土建屋です。徹頭徹尾。特にマネージメント層に顕著に見えます。個々のお客さんにサービス要素と様々コストスキームの組み合わせを適用して、収益なり利益を稼ぐ、というのはサービス・ビジネスの基本です。「とりあえず投資して、頭数で割ればいい」ってのはですね。サービス・ビジネスではないです。この辺から切り替えていかないと厳しい。逆にここが切り替わるといろいろと打つ手が出てくる。上記の環境や手段の話は、この文化の問題に比べれば、大きな問題ではないですね。
(中略)
なんとなく感じるのは、・・・日本のDCビジネスを仕切っている「土建屋気質」そのものが問題のように感じます。日本勢は打つべき手が打てていない。その根っこの部分は、文化的なものを感じます。どんなビジネスモデルにもその裏側には、表には出ない、しかしはっきりとしたコストモデルがあります。現状の日本のDCビジネスのコストモデルが、旧態依然とした土建屋的なものであれば、クラウド的なサービスを取り繕ったところで、それは限界があるでしょう。手を打つべきは、仮想化やコンテナといった表面的な技術ではなく、根っこにある「基本的なビジョン」にあるような気がします。
一般に土建業のビジネスモデルは請負。データセンタ事業は請負ではない。元々請負ではない事業体の気質が、なんか請負っぽいという主張ならまあありかなと思う。しかし述べている内容はそうでもない。そもそもの従来のデータセンタ事業者(ハウジング・ホスティング)は、エリアでいくら、ラックでいくら、サーバ1台いくらみたいな貸借のビジネスモデルなので、どちらかというとオフィスビルなどを貸すタイプの不動産事業に近い。
一方、土建屋は土木工事業や建築工事業であり、発注者の提供する土地に対して土木建築工事する事業。土木建築技術と労働力を請負で提供するわけで、従来型のデータセンタ事業とは大きく異なる。
上の抜粋部分からは、従来型のデータセンタ事業から脱却できないクラウド事業者を揶揄する意味で「土建屋気質」「土建屋的」と書いているようにも読めるが、それならそれで土建屋をバカにしている。土建屋さんがいないと道路や橋はできないんだぞ。
ということでまずは誤用の指摘ということで。