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てきとーに生きている奴の日記

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『「詳細な見積もり根拠を示せ」と要求するIT部門の無能と無用』の違和感

久々に釣られてみる。通して読んでみての違和感。

ITベンダの元「中の人」として、確かに何度か「詳細な見積根拠」を求められたことがある。お断りしたが。詳細ではない、各工程ごとや各機能ブロックごとといった単位での見積根拠までは提示したことはある。

 

違和感の理由は契約形態について述べられていないこと。つまり、営利企業であるITベンダは、当然契約形態に合わせて利益を乗せた額で提案をしている。「IT部門の無能と無用」に帰結したい文章なので、契約形態と見積根拠の提示の関係について及ばなかったのだろう。

http://3.bp.blogspot.com/-CblDFmVP1KA/VRE4tfjfI_I/AAAAAAAAsWk/-bsV3aEBNp4/s800/document_mitsumorisyo.png

 

コンペであるにしても、機能要件・非機能要件を充足し、受注した際の想定利益を考慮して見積額を作成する。その時、受注した際の「想定」利益にはいくつもの考えがある。例えば、初期構築プロジェクトを受注すると自動的にエンハンス工程も受注したことになるような大規模システムの場合、まずは初期構築プロジェクトを受注しなければ、後続はコンペ無しで他のITベンダに行ってしまう。そうなるとペネトレーションプライスを付ける(=利益0~マイナス)ということもありうる。ただし、あんまりやり過ぎると初期構築とエンハンス工程の見積が違い過ぎて揉めることになる。一方、一回こっきりの案件であればきちんと利益を乗せておかないと、充分な利益を得ることができない。利益という単語を使ったが、所属していた企業では厳密には粗利で見ていた。

 

また利益以外にもプロジェクト予備費を積む。個々の工程での予備費は当然だが、発注側がプロジェクトを丸投げするのであれば、当然受注側でプロジェクト全体の予備費をも確保しなければならず、その財源は受注額の中に含まなければやっていけない。プロジェクトの発注側で予備費を確保するからコストプラスフィー契約したいというなら話は別だが。

 

FFP(Fixed Firm Price)契約で発注しようとしているのに、CPIF(Cost Plus Incentive Fee)契約やCPFF(Cost Plus Fixed Fee)契約のような、実費償還契約の詳細な見積(/実算)を求められるのは契約形態に合わないという話である。上のほうで詳細な見積根拠について「お断りした」と書いたが、詳細な見積を求めるのであれば契約形態が違いますよというお断り方法である。

 

違和感を覚えた理由は以上の通り。そんじゃーね。

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