某案件では監査委員から按分しろという勧告が出ている。
リリースはこちら。
本文はこちら。
暇空茜氏が端的にまとめた内容はこちら。
Colaboの不正会計疑惑について行った住民監査請求の結果全文です
— 暇空茜 (@himasoraakane) 2022年12月29日
ざっくりまとめ
2月28日までに
・遡って調べろ、不正があったら返金とかさせろ
・区分守らせろ
・こんなクソ報告書で通すな
・按分しろ
・他に流用すんな
・宿泊、給食費に上限つけろ
・ちゃんと指導しろ pic.twitter.com/lNW80SbO2G
今回はこの中で按分を取り上げる。オレ財務会計は苦手だけど(良くない)、管理会計は業務上やってたしコンサル商売にしてたこともある。ちょっと調べてみたけど、公認会計士は当然だが税理士も管理会計をやるようだ。なぜこんな惨状にww
なお、このエントリはしばしば脱線する。補足入れないと訳が分からない部分が多いためである。通常ありえない処理されてるし。
まず按分とは何か。
按分(あんぶん)は、「基準とする構成比率に応じて(同じ割合で)金額などを分割・配分すること」の意味で用いられる語。その計算方法は「総額を比率で割る」という単純なものだが、この比率の求め方(=何の要素に依拠して比率を算出するか)がややこしい場合がある。按分(あんぶん)は、「基準とする構成比率に応じて(同じ割合で)金額などを分割・配分すること」の意味で用いられる語。その計算方法は「総額を比率で割る」という単純なものだが、この比率の求め方(=何の要素に依拠して比率を算出するか)がややこしい場合がある。
なんで按分に着目したかというと、こんな領収書を出す一般社団法人(以下、社団)だからである。
この領収書で240万でるのすごくない? pic.twitter.com/LPyWvKbJy5
— 暇空茜 (@himasoraakane) 2022年12月13日
脱線するけど、なぜ社団って呼ぶか。一般財団法人は財団って呼ぶし今は亡き営団地下鉄も営団って呼ぶし今は亡き道路公団なんかも公団って呼ぶのに、なぜか社団は社団と呼ぶ事例が少ないのであえて(それだけか)。
画像でも貼っておく。
脱線するけど、給与貰ったことある人なら分かる話だが、特別徴収なら住民税が引かれるし、社会保険料なども引かれる。逆算すればピッタリにできなくはないが特別徴収の分、徴収対象月と非対象月で金額が変わる。そこまで毎回ピッタリに計算する能力がある社団なら、今回のような騒ぎにはなっていない。
もう一つ別の脱線をする。これ、毎月の領収書がなぜか1枚の紙に収まっている。給与現金払いしました、現金支払受けた側が領収書を出しますであれば1枚の紙に収まるはずがない。社団側が領収書を用意して捺印させたものなんだろう。黒塗りだから分からないけどそれも三文判とかなら証拠能力ある?そんな処理して公金使うなよ。というか、毎月発生する固定給なら振り込めよ。
などなどあり得ないものが提出されていたりするわけだが、これは按分の説明をするのに都合が良いので探してきた。
当該社団は自主事業、補助金事業、委託事業をやっている。つまり「按分しろ」という監査結果はごく当たり前の話で、掛かった経費や人件費はそれぞれに割り振って申請する必要がある。
今回の監査結果の結論冒頭はこうなっている。
1 令和5年2月28日までに、
(1)監査対象局は、本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を再調査
及び特定し、客観的に検証可能なものとすること。
そして按分の部分はこうなっている。
(3)人件費や報償費等の本事業の実施に必要な経費とそれ以外の経費について、
明確に区分することが困難な経費については、事前に按分の考え方や算定方法
を局が受託者に対して示すなど合理的な説明ができるようにすること。
今まで漫然と出していた申請・報告では許されない。全部出してしかも按分しなければならない。なんで最強弁護団は勝利宣言したのかよく分からない。多分今回は監査対象局である福祉保健局から当該社団に対して「人件費は6:3:1にして」みたいに勝手に決められるんじゃないかと予想している。だってこんな領収書出す社団がA業務は〇時間、B業務には△時間みたいな管理してるわけないじゃん。監査の対象は福祉保健局なので、2月末までに体裁を整えるのが最優先、当該社団に公金を多少返還させて終わらせたいはず。
あ、脱線するけど今回の件では「公金」「公費」という表現が多く使われるようになった。未だ「税金」って言ってる奴らもいるけど今回を機に使う側のお金は「公金」になるといいと思ってる。
ようやく按分そのものの話に入る。このような事業の特性上、人件費は確実に按分の対象となるし、経費も按分の対象となるものがある。
まずなぜ事業の特性上という話になるのかなのだが、分かりやすい例を出す。
自社のオフィスや工場だけで受託した事業とは別の業務に従事している従業員と、客先で働いたりしている従業員がいる場合、前者の人件費は完全に受託事業とは別である。製品価格などには人件費は転嫁されているけど按分とは関係ない。
後者は客先で従事している時間と自社の業務をやっている時間がそれぞれ発生する。前者は按分の対象外である。後者はその従事時間で分けることになるが、例えば単なる担当者と管理者では従事時間比率が異なる。勤怠などの管理業務は自社側、現地作業の管理は受託した業務である。
正しい数字を抑えたいのであればABC(Activity based costing)を使うことになるが、全業務のActivityカウントしてを積めば正確な比率を出せる。しかしそのABCを実施するコストは膨大である。なので、モデルケースのみでABCを1~数回やり、あとはそのモデルに合わせて算出する。それが、
(3)人件費や報償費等の本事業の実施に必要な経費とそれ以外の経費について、
明確に区分することが困難な経費については、事前に按分の考え方や算定方法
を局が受託者に対して示すなど合理的な説明ができるようにすること。
の中の「事前に按分の考え方や算定方法」である。ここに「局が受託者に対して示すなど」と書かれているように、当該社団にはできないと思ってる、監査委員も。あるいは、委託の仕様書に最初から書いてあるべきである。仕様書に明記されている場合は、実態がどうであれ委託する側が勝手に決めた数値で良ければ受託する形態なので、いやなら受託しなければよい。
当該社団の場合、バックオフィスなどはほとんどなく動いているので、事業の特性上ほぼ全ての人件費は按分対象となるだろうという話である。当然、代表やなにかの役職者と担当者では委託事業や補助金事業への寄与率は異なるはずなのだが、そこはあまり大人数でもないので外形でざっくり按分するような気がする。
引用はしないが税理士などの按分についても指摘されている。まあ、普通に考えて税理士は当該社団を運営するために必要であり、そもそも100%公金に頼るのはおかしい。公金で賄えるのは事業規模で按分だろう。それにしても税理士いたはずなのに(以下省略)。
当該社団の決算はNPO会計のプロの公認会計士がやったという話で、公告出したその日にTwitterアカウントを消したという話だけど、こうもグズグズだと中では色々あったんだろうな。出金はしたけど、領収書無いとか。それにしても税理士いたはずなのに(以下省略)。
次に経費の按分について。例えば当該社団は複数の車両を持っているという話だが、自主事業で車両を使う場合、委託事業で使う場合、補助金事業で使う場合がきれいに分かれていても区分はきちんとアクティビティ単位で把握していないと難しいが、一つの移動で複数の業務に従事する場合もあるのでさらに厄介である。ただ、人件費に連動する経費であれば、人件費に連動させてしまうという手もある。
物品の購入などでも按分は発生しうるが、今まではなんでもかんでも積んでいたものから除外されるものもありそうだ。つまり、「按分とかめんどくせえ、それぐらい自前でやれ」もありうると思っている。というか、普通は仕様書に対象・非対象が明記されているものだが。まあ、全部の領収書が揃っているならもう少し細かい話もできるが、2月末まで時間無いし。
どういう結果になるのかは分からないけど、按分頑張ってね。