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地方にITエンジニアは必要か?(その2)

血圧を抑える薬のせいで、たまにフラっとする。数字みるとたまに低血圧だし(挨拶)。まあ、うまくいかないもんだ。

 

 

地方にITエンジニアは必要か?(長くなったのでその1)の続き。

     地方にITエンジニアは必要か?(その3)

     地方にITエンジニアは必要か?(その4)

 

まずはその1のまとめ。

 

地方からITエンジニアがいなくなる|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン に対する考察。

  1. 日本企業のIT投資は、SIerを必要とする投資のほとんどは大企業だよ
  2. 発注者である大企業の多くは大都市圏、さらに言えば首都圏が多いよ
  3. 受託するSIerは発注者に合わせて要員を配置しているよ
  4. 日本企業の場合、発注側でIT開発のプロジェクトマネジメントできる企業は少ないよ
  5. #4の理由からIT開発のプロジェクトマネジメントもSIerが受託することが多いよ
  6. 中小の開発会社は開発プロジェクトのファイナンスができないよ
  7. #4~6の理由で独立系の地方開発会社というのは難しいよ

上にもまとめたように、SI案件に従事するITエンジニアは地方に少ない。しかし、その1では書き漏れているが、SIerは案件さえあれば、顧客の開発拠点に要員を送り込む。最悪出張ベースであっても要員をかき集めて。出張ベースではDOLのレポートのような「地方からITエンジニアがいなくなる」の危惧には全く対応できないけど。送り込まれた要員は送り込まれた案件に専従するわけだし。

 

というわけで、確かにSI案件に従事するITエンジニアは地方に少ない。でも、ITエンジニアは別にSI要員ばかりではない。色々な業態があるが代表的なものからいくと、まずパッケージベンダ。

 

パッケージベンダの場合は、大企業になると首都圏に本社を置いていたりするが、中小企業向けの業種・業務に特化したパッケージを作っているベンダの場合、地方に本拠地を置いているベンダも少なくない。ただ、なんでそういう地方を拠点に頑張っているベンダ(その業種・業務ではシェア上位だったりする)の存在が目立たないのか?

下図は昔講演向けに書いた図である。パッと見て分かりにくいので、前から直したいとは思っているが、とりあえずきちんと説明を書くので見てもらいたい。

f:id:shigeo-t:20140110162740p:plain

 まずソフトウェアを垂直型と水平型に分類する。

垂直型ソフトウェアの定義は、業種や業務に特化したソフトウェア。例えば、工場の生産管理であるとか、ガス会社の検針システムであるとか、特定の業種や業務に特化している。特化の度合いも、専門的なものから汎用的なものまで存在する。図中にも書き込んでいるように汎用性を高くしているものは、ある程度業種・業務をまたいで利用することが可能。一方、専門的なものは流用は難しい。

水平型ソフトウェアの定義は業種・業務に寄らず利用可能。図中にもあるようなソフトウェアの多くは、特定の業種・業務用のものは少ない。一応、特定の業種・業務用のものが存在するERPCRM/SFAなどは垂直型ソフトウェアに近い側に書いている。

 

で、なぜ地方で頑張っているパッケージベンダがあり、その業種・業務の中ではシェア上位だったりするのに、「地方からITエンジニアがいなくなる」とか書かれてしまうのか。上の図にもあるように、一般に知られるパッケージベンダってほとんどが水平型ソフトウェアをメインとしている。みんなが使う物だから知名度がある。一方図の上のほうにある垂直型ソフトウェアはその業界内でしか知名度が無い。長野県の水道工事に特化したCADとか、みんな知らないでしょ。

でも、そういうパッケージベンダはわざわざ首都圏に出てくる必要もない。今まで通り地方でやっていて、きっちりシェアを確保していける。業界や業務知識が必要だから参入障壁もとても高い。大パッケージベンダ様がシェアを奪おうとしても、対抗できるパッケージを作るのも難しいかもしれない。大パッケージベンダ様の方がITの部分では技術力が高いかもしれないが、顧客となる企業側が求める仕様通りに機能を作り込むのは業界や業務知識だから。

 

じゃあ、その業種・業務向けのパッケージベンダが自ら日本全国に拠点を持っているかというと、多くの場合そんなこともない。業種・業務向けのパッケージベンダの中でも大手は拠点持っていたりはするけど。では、拠点が無いのにパッケージが売れるのは何故か?

実は、そういうモノを売ることが得意な販社が存在する。SIer系販社と複合機メーカー系販社である。地場の大手文房具屋とかもここに含まれる。

特に複合機メーカー系販社はこういう専門性が高いパッケージに力を入れていると思う。”思う”って書いたのは、あまりSIer系販社とは付き合わなかったのと、SIer系なので親会社や系列のパッケージも売らなければいけないからという2つの理由からの推論。一方、複合機メーカー系はそういう縛りが少ない上に、複合機や消耗品だけじゃなく、クロスセル・アップセルをするための商品が欲しい。そういうわけで、自前で販売網を持てないパッケージベンダと、売り物が欲しい複合機メーカー系販社のWin-Win

当然、こういう販社の中にもITエンジニアはいる。パッケージの適用について全てをパッケージベンダに丸投げするよりも、基本的な部分だけでも販社側で対応すればその分売り上がる。販社は基本的にその地方ごとに存在し、人間関係も含めて密着しているからこそきめ細かく案件を獲得できている。ただ、目立つ仕事では無いので、こういう産業構造を知らないSIer上りには、「地方からITエンジニアがいなくなる」みたいな話になる。あ、オレもSIer上りか。

 

あと、地方にITエンジニアがいる業態としてはサービスプロバイダ。例えば石狩データセンター|さくらインターネットとか、レンタルサーバー・クラウドサービスの「使えるねっと」|創業11年とか。サービスの開発や運用はそのデータセンタがある地方でやっていることが多い。これまた目立つ仕事では無いし、大人数でもないので「地方からITエンジニアがいなくなる」みたいな話になるのは仕方ない。

 

実際問題、データセンタでさえ首都圏集中というか、モノによっては大手町集中だもんな。IX(インターネットエクスチェンジ - Wikipedia)の集中のせいもあるけど。SGP(Social Game Provider)は文化的にTOKIOのほうがエンジニアやデザイナを集めやすいからTOKIO集中だし。

 

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そういうわけで、長くなったので一旦おしまい、まだ続く。 

地方にITエンジニアは必要か?(長くなったのでその1)

地方にITエンジニアは必要か?(その3)

地方にITエンジニアは必要か?(その4)

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