銀行がAPIを公開してくれれば、スクレイピングで操作する必要がなくなる。
ブログカードで見える文にもあるように「銀行や信用金庫に対して、オープンAPI公開の努力義務を課す。」とある。
家計簿ソフトや会計ソフトなどでは、今まで口座情報取得のためのAPIが揃っておらず、APIが足りない場合はスクレイピングやCSV等のダウンロードファイルを使用することで口座情報連携を行ってきた。
また、複数の金融機関にまたがる口座情報を一括操作・一括表示できるアカウントアグリゲーションも口座情報連携を行っている。
口座情報のダウンロードファイル形式はそんなに変更が入ることはない。一方、スクレイピングの場合サイト構成が変わったりページレイアウトが変わったりするとスクレイピングアプリケーション側も対応する必要があり、対応完了まで機能が使えないということも発生しうる。
実践 Webスクレイピング&クローリング-オープンデータ時代の収集・整形テクニック
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金融商品として見た場合、普通預金・当座預金などは極めて枯れた商品であり、変更の頻度は下記の通りであり、APIが利用可能となることで無駄な追随作業が減る。
- API < サイト構成・画面レイアウトなど人が見た時にわかる変更点
ところで、記事冒頭にもあるように信金も対象のようだ。でも、根拠法が異なる。
区分 信用金庫 信用組合 銀行 根拠法 信用金庫法 中小企業等協同組合法
協同組合による金融事業に関する法律(協金法)銀行法 設立目的 国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資する 組合員の相互扶助を目的とし、組合員の経済的地位の向上を図る 国民大衆のために金融の円滑を図る 組織 会員の出資による協同組織の非営利法人 組合員の出資による協同組織の非営利法人 株式会社組織の営利法人 会員(組合員)資格 (地区内において)
住所または居所を有する者
事業所を有する者
勤労に従事する者
事業所を有する者の役員
<事業者の場合>
従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者(地区内において)
住所または居所を有する者
事業を行う小規模の事業者
勤労に従事する者
事業を行う小規模の事業者の役員
<事業者の場合>
従業員300人以下または資本金3億円以下の事業者(卸売業は100人または1億円、小売業は50人または5千万円、サービス業は100人または5千万円)なし 業務範囲
(預金・貸出金)預金は制限なし
融資は原則として会員を対象とするが、制限つきで会員外貸出もできる(卒業生金融あり)預金は原則として組合員を対象とするが、総預金額の20%まで員外預金が認められる
融資は原則として組合員を対象とするが、制限つきで組合員でないものに貸出ができる(卒業生金融なし)制限なし
銀行法を改正して信用金庫が対象になるというのはちょっとわからない。弊社のメインバンクは向かいの信金なので非常に気になる。検索を掛けても信用金庫法の改正は報道されていない。そこで金融庁の法案を探したら、信用金庫法も一緒に法案提出されていた。
第193回国会 銀行法等の一部を改正する法律案(平成29年3月3日提出) 新旧対照表(PDF:3,341KB)の117枚目(116ページ)からが信用金庫法であり、その前に記載されている銀行法と同様の電子決済における改正が盛り込まれている。
信用金庫だけでなく、銀行法以外の根拠法によって運営されている銀行と同じような他の業務を行う金融機関も同時に改正されている。JAバンクとかJFバンクとか信用組合とか労金とか農林中金とか商工中金とか。
というわけで、今回は日経BPだけではないが、またまた少なくともこのITPro/日経FinTechが雑だったということが判明してしまった。「改正銀行法等」と「等」の一文字を追加するだけで正確だったんだが。
日経新聞本紙では「テロ等準備罪」を「共謀罪」と表記している記事が多く、それに比べれば5文字差と1文字差など小さい話かもしれないが。