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てきとーに生きている奴の日記

古いエントリのサムネイル画像がリンク切れになってたりするけど、チマチマ修正中


MERYにとどめを刺すねとらぼのインタビュー記事

概ね付いているブックマークコメントの通りなのだが、これはひどい


大きな企業の場合、このようにインタビューを受けるのであれば広報部門などの審査承認が必要だと思うんだが、この内容でOK出す企業が存在するとは思えないし、そーんなことはまるで関係なく勝手にインタビューに答えて、そのままねとらぼに書かれたんだろう。第三者委員会調査報告書を見ると、『基準日現在、ペロリ社は、財務・経理や人事・総務等の管理機能等のコーポレート機能はDeNAに委託している。』と書かれているので、DeNAのミスと言えよう。

いま自宅待機状態です、今日も起きたのは12時くらいですね。この間の第三者委員会の発表が出てから自宅待機ということになっていて、大体はすぐ休みに入れたんですけど、外部とのやりとりがある部署では、出てる人間もいるみたいです。

「社長退任のあいさつで皆泣いた」 WELQに端を発したキュレーション騒動、MERYから見た実情 (1/2) - ねとらぼ

 

おいおいシカトするなよ。

――コピペや画像の転載について、著作権者からクレームへの対応はあったんですか?

A: それはDeNAグループ全体としてやっちゃってるので、ペロリの手から離れてるんですが、やってますね。多分これはもともとシカトしてたと思うんですけど、「私のブログの画像ですよね」みたいな過去にクレームが来ていたものにも、ちゃんとコンタクトを取り直してあらゆる手段を含めて対応してますね。

「社長退任のあいさつで皆泣いた」 WELQに端を発したキュレーション騒動、MERYから見た実情 (1/2) - ねとらぼ

 

平たく言うと「ドロボー軍団の頭目が辞めるので手下は悔しくて泣きました」ということを言っているんだけど。退任の理由は、権力争いとか買収とかそういう話じゃないのよ、今回は。リーガル面無視のビジネスの指揮者だから退任なの。人望関係ないの。

――リリースが出た時の社内の雰囲気はどんな感じだったんですか?

A: いやーもう泣いてましたよ。13日に第三者委員会の発表があって、14日に綾太郎さんが全社員の前で最後に話をしていたんですけど「多分みんなの前で話をするのはこれが最後になります」っていう切り出し方から「こんなふうになって申し訳なかった」って話をするんですけど……途中ね、結構長い時間言葉に詰まって黙っちゃったんですよ、そうなると私なんかは泣いちゃいましたね、“本当にくやしいんだろうな”と思って。他の女の子も泣きながら聞いていて……今思い出しても泣きそうですもん。それぐらい人望のある人だったんです。

「社長退任のあいさつで皆泣いた」 WELQに端を発したキュレーション騒動、MERYから見た実情 (2/2) - ねとらぼ

 

DeNAもペロリも自宅待機に入らせる前に、「インタビュー・取材を受けるならDeNA広報を通せ」くらい言っておくべきだったな。それくらいこのインタビューはひどいww

 

 今回もコーポレートレピュテーションについて書くわけだが、過去のエントリはこちら。


もうここまでで答えは出ているようなものではあるが、第三者委員会調査報告書時点に戻る。

権利侵害記事は記事全体の1.9~5.6% 画像は74万件に問題

 第三者委員会は記事の著作権法上の問題を調査するために、DeNAが公開していた37万6671記事(2016年11月10日までに公開された記事)の中から、統計的観点から合理性の認められる数の記事をサンプルとして抽出。複製や翻案などを行った可能性のあるネット上の他記事を特定した上で両者を見比べたという。

 その結果、複製権・翻案権侵害の可能性がある記事の出現率の推計値は1.9~5.6%の範囲内で、可能性がないとはいえない記事の推計値は、0.5~3.0%の範囲内であったとのこと。

(中略)

 画像に関しては、2016年11月10日時点で公開されていた記事に挿入されていた画像、合計472万4571個を調査。個別に利用承諾を得ていた可能性があるもの含めて、正当な権限なく画像の複製を行ったもの、つまり複製権侵害の可能性がある画像は、74万7643個とされている。これらは公衆送信権侵害または表示権侵害となっている可能性も示唆された。

「『DeNAのDNA』を持ち合わせていない者たちによって始められた事業」 DeNA、キュレーションサイトについての第三者委員会調査報告書を公開 - ねとらぼ

タイトルでは画像のパーセンテージを示していないが約16%である。1記事1画像ということはないからだろうが、ちょっともやっとする差である。 

http://4.bp.blogspot.com/-ZN6rDl8oDoo/V3uV5-rDLdI/AAAAAAAA8H0/jXZv2AXeOGcYFuTfcohKr6ctvovdWFYtQCLcB/s800/business_copyright_laundering.png

 

DeNAがキュレーション事業に参入した経緯

 2011年6月25日にDeNA代表取締役社長兼ソーシャルメディア事業本部長に就任した守安功氏は、同社の柱としていたモバイルゲーム事業に続く収益の柱となる事業を模索していた。

(中略)

 DeNAが両社を買収するにあたり、弁護士を起用して法務デューディリジェンス(買収に当たって行う事業に関する法務リスクの調査)を行ったところ、双方の記事の文章について著作権侵害の可能性があることが発覚。また記事に使用している画像については「著作権侵害の事実がある」と指摘されていたことも明らかにした。

 これを受けてDeNAは「著作権の侵害状態を解消する措置を講じることを買収の条件」として、記事内の画像については、従来採用していたそサーバに画像データを保存して表示する方法(サーバ保存)から、ほかのウェブサイトの画像をリンクによって直接表示させる方法(直リンク方式)に変更させた。しかし記事の文章については、具体的な著作権侵害の事実が確認出来なかったとして、特に指示しなかったという。

 DeNAからの要望を受け、ペロリ社はそれまでに作成した記事の画像表示方法を直リンク方式に改めたものの、新規作成記事については、引き続きサーバ保存方式を取っていた。

「『DeNAのDNA』を持ち合わせていない者たちによって始められた事業」 DeNA、キュレーションサイトについての第三者委員会調査報告書を公開 - ねとらぼ

新規でパクリ記事を書いて、画像をパクリ画像をペロリ社サーバに保存というように読める。

 

事業のこれからについては、第三者委員会調査報告書を読むとMERYMERY以外で考える必要がありそうだ。まずはMERYで考えると、MERYだけ独立した運営で来ていたようだが、DeNAとしては全部まとめて管理する体制にしそうだ。

で、MERYMERY以外も含め、DeNAとしてのガバナンスを強める。

キュレーション事業を統括していた村田マリ氏は12日、執行役員や子会社の取締役を辞任する意向を示した。キュレーションメディアの一つである、女性向けファッション情報サイト「MERY」を運営する子会社「ペロリ」の中川綾太郎氏も、同日付で社長を辞任した。そのほか執行役員など25人を就業規則に基づいて処分するという。

 

DeNA全体のコーポレートレピュテーションとしては、きちんとした三者委員会調査報告書を出し、上記の処分をしたことで、一連のキュレーションメディアによるレピュテーションの悪化は、一定の歯止めとなるだろう。他のヤバそうな事業のことは知らないが。

コーポレート・レピュテーション

コーポレート・レピュテーション

 

 

ただ、各キュレーションメディアは、このままの再開は体制的にも名称的にも難しいだろう。何が必要かを考えてみる。

 

そもそもカテゴリーによっては、キュレーションでなんとかなるほど正確かつ自由にWeb上で読める情報があるわけではないところが問題である。医療・健康分野などは正に正確かつ自由にWeb上で読める情報が少ない。

そのようなわけで、キュレーションメディアで行けるカテゴリーと、キュレーションという手法を使わずに制作する必要があるカテゴリーに分かれる。

  • 名称変更/カテゴリー再編
  • 制作方法の変更
  • 監修者の設置
  • リーガル/コンプライアンス遵守強化とその明示

それぞれの項目が独立しているわけではなく、この4項目がそれぞれに関連する。

 

制作方法の変更は単にクラウドソーシングをやめて内製化するだけでなく、専門家に書いてもらう、ピアレビューを入れるなどが必要である。これはコストに大きく影響する。あるべき姿として考えた時、コスト面から事業継続を断念する可能性は大いにある。

 

また、リーガル/コンプライアンス遵守強化とその明示というのも難しい。著作物に関して他社・他者の権利を侵害していないということを全ての記事で明示するためには、方法論の問題もあるがコストの問題も発生する。DeNAの商売ということで疑いの目を持たれることは前提条件として考慮要である。

となると、キュレーションメディアはDeNA内部で仕組みや体制を整えた後、DeNAの名前を冠しない子会社化・別会社化するということはありうる。ただ、この手法はDeNAのレピュテーション的には危険である。バレると。

子会社化ではなくMBOによる独立ということなら問題はないが、大きく毀損したキュレーション事業をMBOしたいDeNAの中の人っているんだろうか。

こう考えると、キュレーションメディア事業を続ける意義はないという結論はありうる。

 

それにしても、「キュレーション」という、本来は何も問題のない集合知の一形式が大きく毀損したことについて、DeNAだけでなく今もパクりを続けている他サイトも反省すべき時ではないだろうか。

キュレーション  「現代アート」をつくったキュレーターたち

キュレーション 「現代アート」をつくったキュレーターたち

 

 

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