日本交通が「うちじゃないよ~」と流した後、
一部テレビ番組で、他社タクシーのドライブレコーダー映像が公開されいました。日本交通では『車内カメラ運用基準』を定め、管理責任者のもと厳重に管理し、法令に基づく場合等を除き外部への映像提供は行っておりません。安全・安心にご利用いただけるタクシーサービスの提供に引き続き努めます。
— 日本交通株式会社 (@Nihonkotsu_Taxi) 2016年11月30日
株式会社チェッカーキャブがTV各局で放送されたことについてお詫び文が出た。
早めのお詫びだったのだが、分かっているはずなのに、漏えい元を公表しなかったのはミスだな。
チェッカーキャブは本当に愚かだなぁと思うのは、日本交通の無罪宣言に先を越された上に「加盟の一社」とぼかしたことで今は加盟全社クロになってるのを放置してることだよなぁ
— ユリア・クソリプニツカヤ (@teracy) 2016年11月30日
どのような漏えい経路なのかはっきりさせないと、チェッカーキャブやばいよ。あのカラーリングのタクシーを避ける乗客もいるかもしれない。
チェッカーキャブについては後で。
チェッカーキャブは加盟社が多くて、厳密な特定は難しそうだな https://t.co/1rpZCkq0yU
— 🐶 (@shigeo_t) 2016年11月30日
- 作者: チャールズ・J.フォンブラン,セス・B.M.ファンリール,Charles J. Fombrun,Cees B.M.Van Riel,花堂靖仁,電通レピュテーションプロジェクトチーム
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
それぞれポイントを引用する。
日本交通では『車内カメラ運用基準』を定め、管理責任者のもと厳重に管理し、法令に基づく場合等を除き外部への映像提供は行っておりません。
映像の活用は、法令又は条例の規定に基づく場合を除くほか、事故・トラブル等の確認及び事故分析、原因究明、ヒヤリハット情報の収集 、安全運行に資するための研修教材の作成及び安全運転教育への活用 、ドライブレコーダー導入車両による安全運転指導の実施などへの活用にとどめ、記録映像は運行 管理統括部長などの管理者が厳重に管理することとしております。
また外部への映像提供にあたっては、刑事訴訟法の規定に基づく捜査機機関からの文書による照会に応じて提供する場合、ならびに事故やトラブルの状況及び原因を明らかにするために、その当事者、保険会社、捜査機関に提供する場合のみとしております。
各ニュースでは「ドラレコ映像報道」が多い。
同社によれば、加盟会社の車両に設置しているドライブレコーダーでは、防犯や事故、安全運行などのために車内外の映像を記録しているが、加盟企業より一部メディアへ映像が提供されたという。
チェッカーキャブの車両設備がサイトに掲載されている。
ああ、確かに「ドライブレコーダー」じゃなくて「車内防犯カメラ」だよねえ。でも、チェッカーキャブのお詫び文も報道も「ドラレコ」「ドライブレコーダー」なので、特に書き分ける必要が無い場合は「ドラレコ」「ドライブレコーダー」のままにしておく。
Lookeast 2つのカメラで前方と車内を360°撮影 デュアルレンズドライブレコーダー LE-DCR02 LE-DCR02
- 出版社/メーカー: ルックイースト
- メディア: Automotive
- この商品を含むブログを見る
あと、こうやって車内設備を見ると、知ってる人なら「大型防犯ガラス」でチェッカー特定余裕だったかも。 都内でタクシーに乗るとき、日本交通、km、個人が多かったから気づかなかった。
そしてこのチェッカーキャブの「車内防犯カメラ」の説明文にも、
ちなみに、特に何もトラブルが無ければ撮影された映像を見ることはありません。
とある。タクシー強盗等の犯罪行為ならともかく、タクシーを移動に使用しただけの宮崎重明容疑者の映像が、TV局のニュース番組や情報バラエティー番組に使用されるのはおかしい。それに犯罪行為であれば、提供先は下記の通り。
また外部への映像提供にあたっては、刑事訴訟法の規定に基づく捜査機機関からの文書による照会に応じて提供する場合、ならびに事故やトラブルの状況及び原因を明らかにするために、その当事者、保険会社、捜査機関に提供する場合のみとしております。
「右側ドアから降りたい」って言ったのは犯罪か?
どういう経緯でTV局が車内映像を使用できるようになったのか、少し疑問だった。普通に考えると、タクシー会社側からのリーク・持ち込みは社内規定やコンプライアンス的に考えにくい。
タクシー運転手から「持ち込まれ」たというより、タクシー降りた現場で、大量のカメラマンやらレポーターやらが直接運転手に群がって「クレクレ」言ってコピーさせたんじゃないかな。映像見た感じからして。https://t.co/3DhKDTTlgN
— Hiromitsu Takagi (@HiromitsuTakagi) 2016年11月30日
真相は分からないが、この推理は納得感がある。持ち込みなら一社の可能性があるけど、現場で「クレクレ」なら各社とも入手可能。一列に並んで待ったんだろうか?
問題はどのような法令に違反しているのかである。プライバシー権だとすると少し難しい。
2)有名人はプライバシー権侵害が否定される傾向
有名人がある店舗や場所に居た,という情報がSNSを通して拡散することがあります。
この場合は,『適法』となる基準(上記『2(2)』)のうち,『本人の承諾』や『正当な理由−不利益の程度』が重要となります。<有名人の『目撃情報拡散』×プライバシー権>
あ 本人の承諾
有名人なので,一般人の目に触れる場所に居る以上,多くの人が興味を持つことは『想定内』である
い 不利益の程度
多くの人が『所在』に興味を持つのは『想定内』である
↓う 判断の方向性
『適法』という判断になりやすい
以上はあくまでも『傾向』であり,個別的判断で結論は決まります。
<有名人の『目撃情報拡散』が違法なプライバシー権侵害となる例>
あ 影響度が特に大きい場合
例;投稿者のフォロワーが膨大→拡散により実際に多くの人が店に見に来た(野次馬)
い 投稿者が店舗・施設の従業員である場合
店舗関係者が顧客の来店を公表することは『想定外』
今回のケースだと一番下のケースだろう。タクシー車内の様子が公開されることは想定外である。
今回のケースの難しいところは、個人情報保護法に該当するのか微妙なところ。「個人情報保護法」に該当すれば成文化されている上、プライバシー情報よりも広い概念。
(2)個人情報保護法の対象=『個人情報』
個人情報保護法の対象とされる情報は『個人情報』です。
個人情報保護法において定義されています。
これは『プライバシー情報』よりも『広い』概念です。<『個人情報』の定義>
あ 基準
『生存する個人に関する情報』
『特定の個人を識別できるもの』い 典型例
氏名・生年月日など
う 注意;『プライバシー情報』との違い
『私生活上の情報』以外も含まれる
『公知の情報』も含まれる
※個人情報保護法2条1項
流しのタクシーを拾う場合名乗って乗るわけではないので、個人情報保護法の対象かどうか微妙。でも、有名人で降りるときにああいう騒ぎになれば、運転手が乗せた時には知らない人だったとしても、降ろした後は個人情報を知ってしまっていることにはなりそうだ。そのうえで車内映像をリークするのはやはり個人情報保護法が適用できるのかもしれない。
いずれにせよ、ASKA容疑者「ギフハブという組織にARで監視されている」……逮捕直前の会話を「ミヤネ屋」が公開 (1/6) - ITmedia ニュースは、現実が追随したとも言える。
いや、そういう話じゃなく、宮崎容疑者側からの申し立てによって、公開差し止めや損害賠償請求は可能かもしれない。
当事者としてはあと2者ある。タクシー会社・当該タクシーの運転手、TV局である。
まずタクシー会社・タクシーの運転手から。先にも書いたように、社内規定では通常公開しない情報である。会社側の映像管理者、あるいはアクセスできる担当者がTV局各社に持ち込んだのであれば、会社がその管理者やアクセス可能な担当者を情報漏えいで訴追ということになるだろう。運転手が現場でクレクレに対応した場合も同様だろう。営業秘密に該当するという判断なら不正競争防止法が該当しそう。タクシー会社対漏えい者という関係性では、不正競争防止法と懲戒のセットという形だろう。
規定上、会社ぐるみは考えにくいが、会社ぐるみだとすると、どうなるんだろう。
いずれにせよ、宮崎容疑者側とタクシー会社間は、個人情報保護法ということになりそう。
TV局と宮崎容疑者側はやはり個人情報保護法だと思う。入手について脅迫・恐喝していないのであれば、TV局とタクシー会社・タクシー運転手間は何も無さそう。
でも、他人の犯罪を報道するんだから、自分の犯罪もきちんと報道すべきだよね。
チェッカーキャブがごめんなさいしたんだから、動画を使った各局もASKAに使った放送時間と同じくらいは検証番組やらないとおかしいよね。
— 🐶 (@shigeo_t) 2016年11月30日
ガチで検証番組あるいは検証コーナー数10分だったら、マジで見る。上に想定を書いたが、どのような法令に違反したのかプロの判断を知りたい。エモーショナルなコメントを言うコメンテーターは不要。専門や見方が異なる法曹関係者や情報セキュリティの専門家が多角的に検証したものを希望。
で、今日の番組表。そういう気配は今のところない。多分、こういう騒ぎになっていても、自分たちが犯罪行為をしたなんて露ほどにも思っていないんだろう。
ここからはデータ。チェッカーキャブはタクシー無線グループなのだが、加盟社は現在54社。
Wikipediaには特色が書かれている。
多くの無線グループが協同組合として構築されるのと異なり、東京トヨペットや加盟各社などが株主の株式会社として機能する[1]。
また東京地区のタクシー組合として最大規模を誇る東京無線協同組合との大きな相違点として、チェッカー無線以外の無線グループとの二重加盟、および自社無線の運用を認めていること[3]・無線車を保有していない事業者が存在する[4]ことが挙げられる。
チェッカーキャブ、日本交通とも、それぞれ現在の保有台数をサイトに公表していないのでWikipediaの情報になるが、チェッカーキャブは約4,600台、日本交通は約4,000台。日本交通デカいわ。
トミカリミテッドヴィンテージ ネオ 1/43 LV-N43-13b 日産セドリックタクシー 日本交通
- 出版社/メーカー: トミーテック
- 発売日: 2017/02/28
- メディア: おもちゃ&ホビー
- この商品を含むブログを見る