財務会計は苦手である。零細とは言え企業を経営していて、財務会計が苦手というのは、大きな欠点である。
富士そば会長のインタビューは面白かった。毎日蕎麦でもOKで、実際に朝食の90%以上は蕎麦。しかし残念ながら、富士そばは味が好みではないのであまり行ったことは無いのだが。インタビュー通りならとても良い企業である。
インタビュアーの言葉が気になった部分を引用する。
―大きい会社でも、内部留保でお金を貯め込むことが問題になっています。それについてはどう感じられますか?
丹 いや、これも内部留保なんだよ。みんなにお金をあげれば、やめずに働き続けてくれるでしょう。従業員は資産だから。
そもそも内部留保とは何か。冒頭に書いた通り財務会計は苦手なので、複数の財務会計の本を持っている。書棚を見たらいろんなバリエーションで5冊はあった。その中で索引がある本は2冊。
まずはこれ。索引を見てみる。
内部留保という単語は出てこない。
次はこの本。
やはり内部留保という単語は出てこない。
書籍でダメなら検索である。
ブログカードで読めるので引用しないが、『「社内留保」ともいう。』ということなので、上記2冊の索引を「社内留保」でも見たが、やはり無い。
索引の無い、一番多用していてボロボロのハンドブックにはあった。これ、人に貸したら帰ってこなくって、もう一度買い直した本である。
MBAアカウンティング速習ブック―「会社の数字」を科学的に徹底分析!
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鞄に突っ込んで持ち歩いたのでボロボロである。むかし客先で会計の話題が出るときなど、一夜漬けどころか電車移動中漬けで読んでいた。
76ページから77ページに内部留保率があった。
書き起こしてみる。まずは図の部分。
文章部分も引用する。
「内部留保率」は、創出された利益のうち何%が企業内部に蓄積されるかを示す指標で、内部留保を税引後当期純利益で割ることにより求められる。
配当や役員賞与が、いわば会社の外に流出するものであるのに対し、利益準備金(注5)や任意積立金(注6)、次期繰越利益(注7)が企業の内部に蓄積されるものである。
(注5)利益準備金:商法は、配当金と役員賞与の10%を利益準備金として、資本の4分の1に達するまで毎期積み立てることを義務づけている。(注6)任意積立金:利益準備金が商法によりその積み立てを義務づけられているのに対し、任意積立金は企業が自由意思により当期未処分利益の一部を積み立てるものである。任意積立金は、特定の目的のために積み立てる目的積立金と、特段使途を定めない別途積立金に分けられる。前者には、事業拡張積立金、配当平均積立金、中間配当積立金、減債積立金、偶発損失積立金などがある。(注7)次期繰越利益:当期未処分利益のうち、一部は役員賞与や配当金として社外に流出し、一部は利益準備金や任意積立金として社内に留保される。当期未処分利益からそれらを差し引いた残余が、次期繰越利益となる。
うーん。難しい。しかしこの文面を普通に読むと、自由に使えるお金は任意積立金のうち、別途積立金ぐらいだろう。「内部留保ガー」の人たちは、事業拡張や事業の維持を放棄して、内部留保を放出しろってことか?社会的・雇用的にも税収的にも、それは望まれないことだろう。
インタビュアーは『―大きい会社でも、内部留保でお金を貯め込むことが問題になっています。それについてはどう感じられますか?』と発言しているが、現金で会社内や銀行に積んであるとでも思っているのか?
と、ここで富士そばを運営するダイタングループの会計情報を見ようとしたが、上場していないためかIR情報が無い。内部留保云々のインタビューとその回答部分は、数字の裏付けが無かった。
徒労感を感じるので、分かりやすいやつを貼って終わりとする。「内部留保ガー」が沸いたら、コレを提示すればいいんじゃないかと思った。先にこれを見つけていたら、このエントリは書かなかったw。