出身地なので気にはしていた八戸ブックセンター。武雄市図書館型ではないということでひとまず安心しつつ、成り行きを見守ることにしていたのだった。
父の十三回忌ということで帰省している。イベントを済ませて実家に帰宅して、あれこれやっていたらテーブルの上に広報はちのへが。
文字が細かい目次を見たわけではなく、なんとなくパラパラめくって見ていたのだが、八戸ブックセンターの文字が目に飛び込んできた。
税金を使う事業にしては、なんかピンと来ない内容である。方針1~3と、施設紹介の内容のつながりを考えると、なんか薄っぺらい。「いやそれでもスペースの限られた広報誌だし」、と思いながら色々検索してみた。
八戸市のWebサイト。体系的に構成されている部分には「本のまち」「八戸ブックセンター」のページが見つけられない。検索を掛けてみる。
検索の冒頭部分のスクリーンショットはこんな感じ。
やはり通常の市の業務/事業のページは無いように見える。検索して探した「本のまち」ページにも存在しない。あと、「本のまち」ページは、画像ファイルの一部も存在しないようだ。
上の検索結果に並んでいるのは、記者会見かイベントのニュースリリース関係である。
2015年5月21日の記者会見内容を見てみる。
少し長くなるが引用してみる。
当施設は、これまで手に触れる機会が少なかった本に出会える場の創出という、本に関する新たな公共サービスを提供することで、市民の豊かな心を育み、本のある暮らしが当たり前となる、文化の薫り高いまちを目指すことを目的としているほか、当施設を中心市街地に開設することにより、来街者の増加、回遊性の向上を図り、中心市街地の活性化にもつなげることを目的としております。
当施設の概要につきまして、まず、方向性と致しましては、本を読む人を増やし、書く人を増やし、本でまちを盛り上げたいと考えております。
そのため、本を読む習慣がある人に対しては、新たな分野の本と出会う機会を創出し、また、本を読む習慣がない人に対しては、カフェの併設や魅力的な生活雑貨の販売と組み合わせる等、本と出会う場に誘う魅力的な空間を創出することによって、本を読む機会を創出してまいりたいと考えております。
具体的な機能につきましては、先に述べた方向性に基づき、提案型・編集型の陳列による本の閲覧スペースを提供するほか、購入希望者への販売、本を中心としたイベントの開催や市内民間書店の情報発信、書店と連携した企画、その他、本に関する公共サービスの提供を通し、本のまち八戸の拠点の一つとしての役割を担ってまいりたいと考えております。
また、ブックセンターの整備予定地につきましては、株式会社江陽閣様が建設予定の複合ビル2階の約90坪を市が借り上げることによって開設したいと考えております。
(中略)
今後の予定につきましては、27年度は現在の案をもとに、書店をはじめ多様な方々から意見を伺いながら、具体的な事業内容の検討を進めてまいります。
また、28年度の春には内装等の工事に着手し、平成28年の夏に供用を開始したいと考えております。
記者会見ページにリンクされているPDFはこちら 【資料】(仮称)八戸ブックセンターの施設概要(案)について [176KB PDF]
なお、このPDFにはグラフィカルな施設情報は全く存在しない。このPDFでは、アイディア(思い付きレベル)と場所ありきにしか見えない。
上記記者会見引用部分には、「28年度の春には内装等の工事に着手し、平成28年の夏に供用を開始したい」との記述がある。広報誌では「秋オープン予定」になっている。遅れるのは内的要因、外的要因など複数あるのだろが、「秋オープン予定」は市のサイトには存在しない。もちろん「本のまち」ページにも。どのくらい存在しないのかというと、各家庭に配布されているこの広報はちのへ4月号は、市のサイトにはまだアップされていない。もちろん上記の検索結果からも分かるように文字情報も存在しない。
八戸市 - 広報はちのへ平成28年3月号(2月20日発行) No.1291
ぐぐってみると、新聞記事はあった。
商業施設の1Fかよ。あそこは近年は行かない場所だから知らないけど、子供の頃は通り抜けに使っていた場所。三日町六日町のブロック(街区)のちょうど真ん中あたりなので、通り抜けしたい場所でもあった。新築のビルでも通り抜けできるとすると、書店ならともかく図書施設には不向き。あ、市営の書店なんだっけ?
通り抜けできないとなると、あの三日町六日町のブロックはますます人が寄り付かなそう。直線なら大したことない距離でも、三日町から六日町方面、あるいはその逆で、ぐるっとブロック半回りということになる。それならどっかのショッピングモールに行くだろう。車で行けるし、八戸もそうだが、多くの地方都市もほとんど車社会だし。
そして記事によれば市が秋にずれ込むと発表したのに、市のサイトで当該情報が見当たらないというのはどういうことなんだ?仕事しろ、広報担当。ちょうど2か月前だぞ。仕事遅すぎだろ。
市のサイトには呆れたので、さらに色々ぐぐってみた。画像検索をしてみたのだが、こんなブログが。
サムネイルにも写り込んでいるが、なにやら 『本のまち八戸』プロジェクト及び「八戸ブックセンター(仮称)」に関する現時点での構想 なるドキュメント。最初から『』「」両方をタイトルに使っているので、タイトルを囲めないじゃないか。
八戸ブックセンター構想が、B&Bの内沼晋太郎さんの手で着々と進行中です。
やはり武雄市図書館型ではなさそうだが、酒を飲みながら本を読んだり選んだりできる書店ってことなのか?上にも書いたけど、地方都市のほとんどそして八戸も車社会だぞ。市が飲酒運転奨励ってことはないよな。
(裏)実現イメージ
本屋B&B → ?(八戸ブックセンター)
いいでしょう?
乞うご期待!!
よくねえよ。「なにこの礼賛ブログは」と思ってブログ主を見て鼻水が出た。
プロフィール - 小林 眞さん - まことの一日 - Yahoo!ブログ
八戸市長小林眞の一日です
おいおい、誰も注意しなかったのかよ。Yahoo!ブログって……。公的なものなら市のサイトの中にあるべきだし、私的なものならそれこそFacebookとかGoogle+とかだろ。あるいはきちんと独自ドメインを取るか、アメブロで有名人ブログにカテゴライズしてもらうとか。
そしてこの 『本のまち八戸』プロジェクト及び「八戸ブックセンター(仮称)」に関する現時点での構想 は、検索してもブツが出てこない。
『本のまち八戸』プロジェクト及び「八戸ブックセンター(仮称)」に関する - Google 検索
これって税金を使っている事業だよね?市のサイトに無くて、市長の私的なサイトでリークされているのみなのはおかしいだろ。市が(あるいは市長)が受領したら、そのままか、あるいは市職員がきちんと計画書レベルにリバイズして、市民や市議会に諮るべきものじゃないの?
こうやって情報を探してみると、なんかイヤな予感しかしない。下北沢は私鉄2線が乗り入れる電車移動の人の街。車で遊びに行きたい人が集まる場所ではない。平日は帰宅途中の人が行く街という感じ。そういう場所のコンセプトを持ってくるという発想はどうなんだろう。
結局、猪谷氏の下記インタビュー以上の公開情報は現状では存在しないようだ。
本屋B&Bって、なんかTVで見たかもというレベルなんでよくわかっていないが、国内を見れば下北沢以外でも成立する場所は多いだろう。しかし、それは車社会の地方都市ではないだろ。イベントだって物理的にも交通網的にも東京と離れている八戸では、下北沢と同じコスト(出演者のギャラや交通費)や頻度では開催できないわけだし。こうなると、ツタバ図書館と大差ない感じになりそうな気がする。
こういう意識高い系(笑)をやりたいなら、PFIかSIB(ソーシャルインパクトボンド)でやれっていう感じ。