Japan Connected-free Wi-Fiって
何度もRTで見掛けるこのツイート。今見たらFavがちょうど1,024だった。
フリーWiFiに接続するのにアプリダウンロードとかネットで事前登録とかアホだろ? pic.twitter.com/2dToBeotbS
— 41 VIPPER (@tetsuokobayashi) 2015, 7月 22
どうやら総務省と国土交通省観光庁の発注案件らしい。観光庁のほうはリリース文がある。
総務省のほうはリリース文が見つからない。2014年11月に総務省|地方のポテンシャルを引き出すテレワークやWi-Fi等の活用に関する研究会|地方のポテンシャルを引き出すテレワークやWi-Fi等の活用に関する研究会 Wi-Fi整備推進WG(第1回)配付資料のなかで「Wi-Fi整備についての現状と課題 - 総務省」(PDF)が出されている。一部引用する(赤枠はオレ)。2.5億円ですってよ、奥様。
彼らが「1回登録手続きを済ませれば」を利便性だと考えていることはわかる。逆にハードルだと思うけどね。といったわけで、もう少し調べてみた。
PCでJapan Connected-free Wi-Fiを検索した結果、NTTBP(エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社)のページに辿り着いた。
このページはPCでもきちんと表示できるが、Japan Connected-free Wi-FiとしてはWindowsやMacはとりあえずサポート外のようだ。Windows PCやMacからの使用方法の説明は全く無く、アプリダウンロードはApp StoreとGoogle Playのみ。まあ、訪日外国人旅行者向けということなら、PCやMac利用者はメインではないだろう。
スマートフォン利用者は、ツイートにあるように、「あ、フリーWi-Fiあるのね」→「じゃあつないでみるか」→「アプリダウンロード!?」でフリーズしそう。3G/LTEでがっつりアプリダウンロード&事前登録しないと使えないフリーWi-Fiとか、おかしいと思わなかったんだろうか。
アプリダウンロード&インストール
ここで終わるとなんなのでiPad Airにアプリをインストールしてみた。アプリは無料である。よかった。なお、スクリーンショットが40枚近い。先に書いておくと大問題は利用規約である。
起動してみる。
「コンテンツ取得中」が長いw
利用登録が必要。理由はわかるけど(後述)、訪日外国人旅行者は2度目のフリーズだろうな。Facebookでログインしちゃうと何を登録するのか分からないので、[利用登録する]をタップする。
利用登録はメールアドレス、名前、性別、年代である。
性別は未回答も設定できる。
年代なんて聞いてどうするんだろうな。「訪日外国人旅行者でWi-Fiを使うのは○○歳代が多い」とか、わりとどうでもいいような気がするんだが。それに日本在住者も使うしな。
利用規約
問題の利用規約である。とにかく多い。アプリやサイトは11か国語対応のようだがこの利用規約を11か国語用意できているとは思えない。アプリのロケールに従うようなので言語設定はできない。
Japan Connected-free Wi-Fi 利用規約
まずはJapan Connected-free Wi-Fiの利用規約。がっつり「訪日旅行客等のフリーWi-Fi利用促進及び利便性向上」って書いてある。
事前登録をさせている理由はこの第7条禁止事項のためだろう。
事前登録の問題については、以前FREESPOTに対して書いている。まさか訪日旅行客向けのJapan Connected-free Wi-Fiでも同じ問題にぶつかるとは。
インターネット接続利用規約
NTTBP版
NTTBP版ってなんだよってこの時点で思ったが、このあと他の規約も出てくる。
禁止事項はこっちのほうでよくないか?
DoSpot版
DoSpotってなんだよって思った。
NTTメディアサプライというNTT系の会社が運営しているようだ。
禁止事項はこっちが一番多い?だったら最大公約数的にこれに統一すればいいんじゃね?
光ステーション版
ここからは光ステーション版。この光ステーションも知らなかった。禁止事項の数はDoSpotよりも1個少ない。
すごいことが書いてある。
Japan Connected-free Wi-Fiは訪日旅行客向けだよね。技適(技術基準適合証明)が必要って、どうなの?訪日旅行客が技適通過の端末を持っているとでも思っているのか?多分ほとんど持ってないだろ。ローミングで使っている端末はほぼ全滅、空港などでレンタルしたスマホじゃないとセーフにならないはず。ということはこのJapan Connected-free Wi-Fiは光ステーションでの接続はできないってことになる。なぜ光ステーションは参加した?
思わずツイートしてしまった。
技適キタ━ヽ( ゚∀゚)ノ┌┛)`Д゚)・;'━!! 観光庁の仕事すげえ。海外から来る観光客が持ってきた端末が技適通っている確率を知りたいww。 https://t.co/QaV9WnVFsm pic.twitter.com/PZVzfKkN1y
— shigeo_t (@shigeo_t) 2015, 7月 23
ファミリーマートのWi-Fi無料インターネット接続サービス利用規約
以下、長いけど読む元気が起きないので貼っておくだけにする。
NTTデータ版
読み込むのは光ステーション版で力尽きた。他のWi-Fiスポットも参加しているはずだが、個別に全部利用規約を掲載するというわけでもなかった。だったら、規約を複数(ほとんどNTT系)ならべるんじゃなくJapan Connected-free Wi-Fi版を作っておけって話。あと長すぎる。まじめにスクロールした奴は少なそう。
使ってみよう …使いにくい(´ー`)
利用規約を読んだし、このiPad Airは技適通過した端末だし、利用登録をして使ってみることにする。[登録]をタップする。
これはどういう意味なんだ?なぞである。
うちは近隣のお店のWi-Fiがガンガン入るのだが、Japan Connected-free Wi-Fi系は無いようだ。docomoとかSBの奴はガンガンなんだけどな。この状態ではSSIDアイコンをタップしてもHelpアイコンをタップしてもヘルプ画面に行く。
え?アプリの意味ないじゃんwwww鼻水でたw。iOSの設定でSSID選択ww。
家の近くにもJapan Connected-free Wi-Fiのスポットがあるらしい。マップは単にマップで、スポットのマークをタップしてもそのスポットの情報が出るだけ。無いよりはマシという程度で、ナビしてくれるとかそういうものではない。
他の機能も開いてみたが特にアプリだからWi-Fiが使いやすくなるという部分は無い。
とにかく疲れた。
まとめ
前にも出来栄えが残念なのはきちんと設計できないヤツが作るから『なぜ日本のWi-Fiは使えないのか。原爆ドーム近くで拾ったWi-Fiが残念だった』 - いろいろやってみるにっきで書いた通り、禁止事項に書かれているような行為でWi-Fiスポット提供者に法的リスクが及ばないようにしたいということだろう。しかし、メールアドレスを登録したからといっても、不法行為者を特定できるのか?Japan Connected-free Wi-Fiの登録プロセスはFREESPOTよりも簡易で、メールアドレスを書けば登録できる。登録したメールアドレスに確認メールが来るわけでもない。ニセアドレス、捨てアドレスでも登録できそう。前にも書いた通り、
あまり意味の無い認証プロセスの複雑さであって、得られる結果は単なる気休め程度である。サラリーマン的な意思決定プロセスだとよくあるパターン。
だろう。
FREESPOTとの差異は複数のフリーWi-Fiをラッピングしているところ。これで一気に数を稼げる。今のインバウンド消費対応ならこういう手しかないかも。iOS版しか見ていないけどアプリの出来栄えはどうかと思うし、技適が必要なら訪日旅行客向けにはならないわけだが。しかし2020年の東京オリンピック向けてということなら別の手もあるんじゃないだろうか。
あと、利用規約は統一版を作るべきだろう。NTT系だけでも4社出てくるのはどう考えても仕事していない。