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日本通信社長インタビューが自爆行為なのでブランディングについて書いてみる

4月1日からお仕事ありません(挨拶)。ヤバいですw。そんなわけで同い年3人で飲んだ後、帰って来てからさらに飲んでいました。二日酔いじゃなくて、寝て起きたのにまだ酔っていますw。酔っているので朝のお散歩~挨拶は回避しますです。

 

さて表題の件。ニュースリリース芸でおなじみの日本通信。あまりのクソさにユーザとしては脱北した、b-mobileというブランドのMVNO運営企業でもある。 

MVNOについては語る気は無いので先に書いておくが、MVNOは値段だけで選ぶのではなく、速度について(速い・遅い)の最新情報を複数参考にするように。MVNO側の設備に依存するので、MNO(網提供キャリア)の提供速度とはリンクしない。具体例で言えば、docomoなら数10Mbps出ているLTEのエリアで、同じLTEを使っているはずの掲題の企業が提供するMVNOでは数100kbpsということはよくある。

 

昨日はお仕事していて、書きたい突っ込みを先に書かれてしまったので、同じことを書くのは避け、ブランディングについてマジ突っ込みしておく。自爆ネタにマジレスかこわるいww。

なおこの先に書くことは、マーケティングが趣味である、オレがお気に入りの書籍群から得た知見である。「モノの本によると」っていう受け売りはカッコ悪いけどw。あと、10年前に作った資料から切り出して書いているので、まずいところを見つけたらちょこちょこアップデートする予定。

 

ブランドの特殊性

「ブランド」とは、パーセプション・チェンジ・ゴールを提供するためのコンテキスト(文脈)を提供するものである。パーセプション・チェンジ=認知の変化である。まだわかりにくいのでさらに噛み砕くと、認知(イメージ:いい、悪い、高い、安い、…)を変化させる無形の≪なにか≫である。

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ブランドの無形性

ブランドは何かと問われて有形のものを探すと、それが指し示す商品しかない。しかし、資産としてブランドを考えたとき、商品の価値に加えて、人々の心の中に蓄積されるブランドに関連した知識の価値がある。ブランド知識は無形であるが価値を与える重要な役割を持つ。これをブランドの無形性と呼ぶ。

ブランドの間接性

ブランドは、その価値を認める顧客が存在して初めて、ブランドの法的な所有者にとって価値が生じる。顧客に働きかけるという間接的な方法でしかブランド価値の増減に関与できない。これをブランドの間接性と呼ぶ。

ブランドの多層性

ブランドは商品の機能的なベネフィットをもたらすだけでなく、心地よい情緒を生み出したり、自己表現を演出したりすることができる。このように、質的に異なるベネフィットを多層的に持ちうるブランドの性質をブランドの多層性と呼ぶ。

ブランドの関係性

成功したブランドを使い、ラインを拡張したり商品カテゴリーの拡張を行うとき、ブランドは商品と商品の関係性を示す役割を果たす。この性質をブランドの関係性と呼ぶ。 

ブランド戦略シナリオ―コンテクスト・ブランディング

ブランド戦略シナリオ―コンテクスト・ブランディング

 

 ブランディングの三領域

企業(提供者側)と顧客がブランドを介してなんらかのコミュニケーションを取ることをブランド・コミュニケーションとすると、ブランドはパーソナリティとベネフィット、属性の3つの領域のやりとり(コミュニケーション)が発生する。

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図はブランディングの枠組みを図式化したものである。この枠組みはブランド・アイデンティティ、ブランド・イメージ、ブランド・コミュニケーションの3つで構成されており、これをコンテキスト・ブランディングの三領域と呼ぶ。
 まず、ブランドをこの三領域で構造的にとらえなければならない。ブランドは、企業のブランド・アイデンティティと顧客のブランド・イメージ、その2つを結ぶブランド・コミュニケーションの三領域にかかわっており、その関係性を把握できなければ、ブランドを取り扱うことはできない。
 次にブランディングの三領域それぞれについて構造化を行う。構造化では、ブランド知識の考え方をベースにする。知識は暗黙知形式知に分かれるが、暗黙知は心の比較的深層に、形式知は比較的表層にあると考える。
 ブランディングでは人間の心を、形式知にしやすい知識が蓄えられている表層部と、その奥底にあり、きわめて私的・経験的な知識が暗黙知として深層部に分けて考えている。そのため、ブランド・アイデンティティ、ブランド・イメージとも、心の深層部分までアプローチして構造化する。

ブランディングプロセスモデル

コンテキスト(文脈)を使ってのブランディングについて、プロセスモデルを図式化すると下図のようになる。f:id:shigeo-t:20150327071649p:plain

コンテキストの抽出

(A)探索対象:顧客/見込顧客営業/営業企画/商品企画など

(B)探索方法:ラダリング法や評価グリッド法などの構造化されたインタビュー技法

コンテキストの構造化

探索した知識を解釈し、意味付けを行いながら意味や連想のネットワークを作る。顧客側、金融機関側で異なるコンテキストが探索されているはずなので、整然と構造化することは意識しない。

コンテキストの推敲

「顧客から見て、抱えている問題を解決できるか」
を判断基準に持って推敲する。有益なコンテキストをつなげ、有害なコンテキストを積極的に排除する。

コンテキストの内部共有

ブランディングの「戦略シナリオ≒推敲されたコンテキスト」を社内(提供者側)関係者に十分共有する。また、社外関係者(企業の総務部門や広告会社・メディアなど)に対しては協力する興味やインセンティブを与え、戦略シナリオを明確にしておく。

今回の例で言えば、社内関係者は日本通信株式会社だけでなく、ブランド提供者のVAIO株式会社までが社内関係者ということになる。

コンテキストの刺激

実際にプロモーションを行う。企業の総務部門からのプロモーションだけでなく、メール/Webサイトなど徐々にオプト・インを得ながら利用メディアを増やす。

コンテキストの共創

 実際のブランドの提供を通じて得た、新たなコンテキストをコンテキストのバージョンアップとして加えていく。提供企業側は計画的にコンテキストを作ることではなく、共創の場に参加し、コンテキストの自己組織化を促進する。

コンテキストの管理

 顧客の購買行動やブランドに対する態度などを定期的に測定する。コンテキストを管理する際には、必要に応じて再びコンテキストの探索に戻り、同様のステップを繰り返す。
 新たなサイクルをスタートさせるかどうかを判断するためには、どのコンテキストがどのように活性化したのかを確認する必要がある。具体的には、購買行動との関連性についての調査・検証(どのコンテキストが効いたのか、どの顧客層を動かしたのか)、個別コミュニケーションとの関連性の調査・検証(コンテキストがどのコミュニケーションによって形成されたのか)などである。

ブランディングの基本 

リアルの世界では「マーケティング競争はブランド競争(ブランドによる支配)」である。 ネットでは「全てがブランド、ブランドが全て」である。そういう意味では、東洋経済のこの日本通信社長インタビューは、ブランド破壊工作と言える。

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ブランドとは

ブランドは社名でも商品名でもない

たとえば、インテル・インサイドのキャンペーンによってインテルの何が変わったかというと、1つは「インテル、入ってる」というスローガンが、ジングルと共に人々の記憶の中に刷り込まれた。さらに、コンピューターに付いているインテルのシンボルマークとロゴも覚えられた。要するに、消費者の頭の中にインテルというブランドの世界が広がった。消費者が知っていたのは、いままでは「インテル」というネームだけだったのに対し、それがブランド要素と呼んでいるブランドネームやロゴ、スローガン、ジングルなどを消費者に伝えることによって、強いブランドカンパニーとしてイメージを浸透させた。

その一方で、インテルと同じような優良企業で、社名やマークは知っていても、それがブランドのバリューを伝えてくれていない企業がある。優良企業とブランドカンパニーの大きな違いは、当該ブランドのバリューを伝えてくれるブランド要素である。名前を聞いただけで、パッケージやスローガンと共に、ブランドのバリューを伝えてくれるものでなければならない。

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エッセンシャル戦略的ブランド・マネジメント第4版

エッセンシャル戦略的ブランド・マネジメント第4版

 

 ブランド構築のフレームワーク

ブランド構築に近道はない

大事な点は、ブランド構築に近道はない。逆に言えば、近道をしようとすると強固なブランドは作れない。一時的に作れたとしても、インターネットブランドのように短期間になくなってしまう。では、本当に強いブランドをどう作るか。

  (1)要素に注目

  (2)積み上げ型のフレームワークを十分生かす

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まず、ピラミッドの一番下、「セイリエンス」というのはブランドに対する深くて広い認知のこと。深さというのは何かというと、再認・再生のことである。再認とは、ブランド要素を挙げて認知できること。再生とは、「洗剤と言えば」というように商品カテゴリーなどを示してブランド名が出てくることを言う。一般には、簡単に再生されるブランドは、再認しか行われないブランドより深いブランド認知を得ていると言われている。ただ、スナック菓子のように店頭で選べる状況にある商品は再認率が重要だし、逆に理解が必要な商品は再生率の方が重要になる。

広い認知というのは、ブランド要素が思い出される購買状況や使用状況の広がりのこと。たとえば、スープは日本でもアメリカでも、以前は夕食時の食べ物であった。そうすると、どうしてもブランドを使うシチュエーションが広がっていかない。そこで日本ではクノールが、「朝も昼も」というキャンペーンを実施した。 

見逃してくれよ! (MEG-CD)

見逃してくれよ! (MEG-CD)

 

特定のシチュエーションの夕食だけではなくて、より幅広いシチュエーションでクノールが出てくる。それが認知の広さという意味。強いブランドであるための必要条件としては、ブランドが認知され、なおかつさまざまなシチュエーションでそれが認知される。それが最低限の条件である。

ブランド認知・ブランド理解

そのブランドが顧客に対して一体どんな意味があるのか、それを顧客がきちんと理解しているか、というミーニングが次の段階になる。これは「パフォーマンス」と「イメージ」に分かれている。たとえば、時計だったら、正確に時を刻んで狂わないというパフォーマンスがあり、その一方で、嗜好性の高い商品であるためイメージも大事になる。

その次の段階がパフォーマンスやイメージに対する顧客のレスポンスで、これは「ジャッジメント」と「フィーリング」に分かれる。ブランドに対する消費者の理性的な判断がジャッジメント、エモーショナルな、感情的なレスポンスがフィーリング。その両方が強いことがブランドには大事になる。

最終的には、顧客とのリレーションシップを築くこと。「レゾナンス」、顧客とブランドが同調しているという意味である。ブランドとの心理的な結びつきの強さが大きなポイントになる。ハーレーダビッドソンやマッキントッシュのユーザーには、信奉者と呼ぶべき顧客が存在している。
つまり、ブランド構築には、こういうステップを1つ1つ積み上げていくことが必要である。逆に言うと、このフレームワークは診断にも使える。自社のブランドは≪パフォーマンスはいいがイメージが不十分≫だとわかれば、そこを改善していけばいいことがわかる。
大切なのは、こういう考え方で1つ1つ積み上げていかないと、ブランドはできないということである。

ブランドストレッチ

今回の日本通信株式会社とVAIO株式会社のアライアンスの話は、PCのブランドである「VAIO」をスマートフォンに適用した例である。このようにある分野のブランドを、別の分野に適用することは、ブランドストレッチの一例である。

ブランドを掲示することは、提供内容に関して顧客と契約を結ぶことである。ブランドの構成要素は「広告」「パブリック・リレーションズ(PR)」「スポンサーシップ」「イベント」「社会貢献活動」「会員制組織」…などが組合せによって総合的に構築されていくものである。 

 社長のインタビューから引用してみよう。太字「──~」はインタビュアー側である。

――製品にVAIOブランドであること以外の特徴がない。何をアピールして販売していくのか。販売戦略が見えにくい。

日本では最近、誰もやらない戦略だからだろう。つまり、ブランディングスマートフォンを提供するということだ。ブランド戦略をよく知らない方からすれば、「何をバカなことをやっているんだ」と思われてしまったかもしれない。スマホはすでにコモディティ化した製品で、もはや差別化はできない。技術者は何とか絞りだそうとするが、少し付加価値があるだけではユーザーは評価しないし、おカネも払ってくれない。コモディティを売るためにはマーケティングしかない。

(中略)

われわれも、今回の戦略が正しいかどうかはわからない。だが、第1ステップとして、VAIOのブランドにどれだけの力があるかということを試してみたいと考えている。

おいおいいくら自前のb-mobileブランドに大したブランドエクイティが無いからと言っても、よその会社のブランドで試すなよ。この少しの引用だけでも突っ込みどころは多数あるが、ほかの人たちも突っ込んでいるので、ブランディングについて述べていく。

ブランドストレッチとは、成功したブランドを拡張するものである。f:id:shigeo-t:20150327081316p:plain

異業種に同一ブランド名を用いるという例は難しすぎて、日本だとWiLLくらいしか著名な例はない(WiLL - Wikipedia)。覚えていない人が多い大失敗だったけど。まだWiLL ViやWiLL VS、WiLL CYPHAのどれかは年1くらいで見るので、失敗例の車を買っちゃう残念な人も未だ現存する。

今回のVAIOフォン、立ち位置的には「ブランド拡張」と「異業種に同一ブランド名を用いる」パターンの合わせ技だろう。WiLLの例は共同で同一ブランドを立ち上げたのだが、VAIOフォンの場合はブランド貸し。そもそもVAIOが「成功したブランド」と言えるのかどうかは怪しいところだが。VAIO株式会社がVAIOフォンを出すのであれば、まだブランド拡張なので難易度的には成功事例も多いパターン。機体がアレではVAIOっぽくは無いのでちょっと成功は難しいと思うが。VAIO株式会社がディレクションしていたら、PC(VAIO Z新機種)の頑張り具合からみても、ああいうやっつけ仕事は無かったのではないか。

今回の日本通信とのアライアンスでは、こういうインタビューが出てくるところを見ても、日本通信側がイニシアティブを持っているのであろう。VAIOブランドを貸す・売るにしても、安さを売りとするMVNOの端末としては持って行きどころがおかしい。しかも安さだけが売りの日本通信にしては高いし。

あと、日本通信の社長はご存じないようだが、コモディティ化したスマートフォンでも、ブランディングして売っている事例はすでにこの日本に存在するよ。ソフトバンクモバイルとかdocomoとかauとかで。

VAIO株式会社はどうするべきか

逃げて~。

全力で日本通信から逃げたほうがいい。今回は高い勉強代が付いたが、稚拙なブランドの切り売りは本業を毀損する。SONYからバイアウトで切り出されたPC事業で食っていかなければいけないVAIO株式会社としては、企業の存続に関わる大問題である。ブランドストレッチをするとしても、全てを自前ではできないと思うが、組むならもう少しまともな相手と組まなくてはいけない。第2弾は全力で阻止するべき。

VAIO株式会社側はファンドから送り込まれた経営者が主導だったんだろうか?イクジットできねーぞ、こんな大失敗やらかしてたら。

 

そんじゃーね。