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てきとーに生きている奴の日記

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制約が無くなることで使い方が変わる

リソース(資源)は一般的には有限である。利用者側は有限であることを前提に利用方法を決めていく。

また、リソース(資源)は一般的には一定の費用を支払って入手する。利用者側はそのリソース(資源)に対する費用の負担感を前提に利用方法を決めていく。

 

無制限、あるいは事実上無制限という状態になったらどうだろう。このような状態変化が起きることで、利用方法は大きく変わることがある。

 

容量無制限のOneDrive。手元のPCやスマホタブレットの容量は有限だが、クラウド側は追加費用なく無制限ということになるわけだ。Microsoft Officeをなんらかの形で使わざるを得ないなら、Office 365 Soloは候補の一つ。秋冬モデルのPCの多くにバンドルされるらしいので、これは使う人が多いかも。



これを見てあることを思い出した。

 

「写真」である。ここ10年くらいで、利用者側の意識が大きく変わったのではないだろうか。

 

元々は写真の撮影~焼き付け(プリント)は全てプロの仕事であった。一般の人はカメラを持っておらず、写真館に行くあるいはカメラマンを呼んで撮影してもらい、印画紙に焼き付けた写真を入手するという形態。

 

35mmフィルムが普及し、35mmフィルムカメラが普及することで、海外で見かける日本人観光客のイメージが、「首からカメラを下げた眼鏡のおっさん」だった時期もある。 

農協月へ行く (角川文庫 緑 305-14)

農協月へ行く (角川文庫 緑 305-14)

 

 

1980年代後半、写ルンですなどに代表されるレンズ付きフィルム、いわゆる使い捨てカメラができて、コンビニや観光地で売られることになる。これでさらに写真に対する敷居は下がった。カメラを持ち歩かなくても、必要になったらその時その場で買えばいい。

 

しかしこの時点でも、フィルム式の大きな制約からはまだ逃れられていない。プロが連写用に使っていたドラムを別にすると、市販のフィルムは最大でカートリッジ1本36枚撮りだし、フィルムはネガフィルム。実際に「写真」として成立させるためにはプリントも必要。フィルム現像~プリントは自前で全部やるハイアマチュアを除けば、写真店やその代理店に依頼するので、「写真」として手にするまでそれなりに時間が必要。

 

こういう制約があると、富豪的な使い方ができる一部の人を除けば、一枚一枚のコスト負担感も利用者に影響を与える。フィルムの費用、フィルム現像~プリントの費用など、写真撮影は時間と金の掛かる行為であった。

 

余談だが、実家には白黒写真の現像~焼き付けの設備がまだ残っている。今は倉庫内なので使えないが。父の趣味で買いそろえたもので、オレも小学生や高校生の時には、自分で写真を焼いていた。フィルムの現像についても機器や薬剤はあったのだが、ミスしたくないのでフィルム現像は一度も自分ではやらなかった。フィルムがダメだとリカバリできない。

父の形見もフィルムカメラCONTAX 139 QUARTZ+Planer T* F1.4/50。

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ところが2000年代に入ってから、デジタル化、特に携帯電話にカメラが付いたいわゆる「写メ」で大きく写真に対する感覚が変わった。

デジタル化の当初はメモリの容量があまり大きくなかったこともあり、フィルム時代と大きく変わりは無かった。その場で確認できる、その場で不要なものを消せるというのは見逃せない進化ではあったが。

 

ところがJ-フォンがJ-SH04を出し、他のキャリアもカメラ付きの携帯電話を出して追随することで、写真に対する感覚が変わったように思う。

レンズ付きフィルム普及時との大きな違いは被写体。レンズ付きフィルムでは基本的に観光やイベントなどの楽しさを撮るものであった。一方でカメラ付き携帯電話~現在のスマートフォンにつながる一連の流れは被写体を選ばなくなっている。特にメモ的な使い方は飛躍的に増加したのではないだろうか。

携帯電話/スマホならいつでも持っているし、すぐに撮ることもできる。さらにはそれをメールやソーシャルメディアで、その場にいない人間ともすぐに共有できる。

 

逆に考えると、携帯電話にカメラが付かなかったら、今ほどソーシャルメディア、特に短文系・写真系は流行らなかったのではないだろうか。 

ソーシャルシフト―これからの企業にとって一番大切なこと

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 一般には、私用の写真に対し1枚いくらというコスト負担感はすでにないはず。私用の場合、どうしてもプリントしたものしか受け取ってくれない人たちも減っている。メモリも飛躍的に大容量化したので、昔みたいにメモリが満杯だからもう撮れないなどということも無い。

 

オレなんか日に数千枚撮っていることもある。デジタル一眼で高速連写すればあっという間に数十枚から数百枚、それを何度か繰り返すと数千枚。たまに、「これフィルムならいくらなんだろう」と思うことがある。フィルムだとどうしても1枚いくらが頭にあるし、最大でも1本36枚なので切れ目も気になる。1枚1枚一撃必殺にならざるを得ない。ところが現在は、「失敗OKとりあえずシャッターを押しておけ」である。そうなると一撃必殺の頃には運任せだった写真も、色々可能になる。

 

今回Microsoftが、OneDrive無制限で先鞭をつけたクラウドストレージ無制限。これは何を生み出すのだろうか? 

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