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Windows XPサポート終了に対して、Chromebook+VMware Horizon Viewを適用するなんて、お金が余っている会社じゃなきゃ無理がある

また雪ですね。しかも今度は平日。責任者出てこい(挨拶)。

 

それはさておき、昨日ニュースサイト複数に上がっていたニュース、書いた記者もきちんと理解せずに発表を元にそのまま書いたみたい。ぐぐってみた。

 

ChromebookでWindowsアプリ──GoogleとVMwareの提携で実現 - ITmedia ニュース

ChromebookでWindowsアプリ──GoogleとVMwareの提携で実現 - ITmedia エンタープライズ

Google とVMware が提携、Chromebook にWindowsアプリやデスクトップ環境を提供 - Engadget Japanese

Chrome OS機からWindowsアプリケーション/デスクトップに容易にアクセスできる環境をGoogleとVMwareが提供 | TechCrunch Japan

[CNET Japan] 「Chrome OS」で従来の「Windows」アプリが動作可能に--グーグルとVMwareが提携 - CNET Japanニュース - テック&サイエンス:朝日新聞デジタル

 

技術的には確かにChrome OS上でHorizon View Clietが動けば、Chrome OSからWindowsを操作できるだろう。しかしだ、「安全かつ低コストでWindows XPの4月のサポート終了に対処できる、とGoogleがアピール。」っていうのはウソだよね。安全というのはどうインプリメントするかなので措いておくが、低コストはウソ、4月に間に合うというのもウソ。そのまま記事書いちゃうんだなあ。そしてそれを鵜呑みにして期待しているブックマークコメントもあったりする。

 

まずITmediaChromebookでWindowsアプリ──GoogleとVMwareの提携で実現 - ITmedia ニュース を見てみよう。「ニュース」と「エンタープライズ」でURLは違うが記事の中身は一緒。一部引用する。

Googleは公式ブログで、「Windows XPのサポート終了が目前に迫る中、ChromebookでのDaaS環境を導入すれば、セキュリティの脆弱性やアプリケーションの互換性、新PC購入予算などの悩みは過去のものになる」と語った。 

 この1センテンスでさらっと色んな要素を書いているので、この文面を紐解いていく。Google Japan BlogにはこのChromebook関連記事は無かったので、本家を探したが見つからない。ということで海外発表のニュース(Google Chrome OS users can now access Windows apps and desktops via VMware | NDTV Gadgets)を見つけた。これによるとGoogle公式ブログではなく、Google Official Enterprise Blogにエントリ(Official Enterprise Blog: VMWare to Bring Traditional Windows Apps and Desktops to Chromebooks)がある。このエントリで当該部分を探す。

As the countdown to Windows XP end of life continues, deploying Chromebooks and taking advantage of a DaaS environment ensures that security vulnerabilities, application compatibility and migration budgets will be a thing of the past. 

うーん。英文でも同じようなことを言っているな。誤訳とかじゃないので心置きなく突っ込める。

 

まず、「ChromebookでのDaaS環境を導入すれば」。Chromebookはファットなクライアントを否定するところが出発点であり、bookという名称通りサーバではない。DaaS環境を構築できるインフラにはなりえず、DaaSは別途用意することになる。Chromebookがいくら安くても、数百、数千台単位の調達でなければ予算上のインパクトは大きく無い。

 

続いて、「セキュリティの脆弱性やアプリケーションの互換性、~などの悩みは過去のものになる」の部分。Chromebookも当然セキュリティの脆弱性がゼロとは言えないがそれはさておき、ここで指しているのはこれまで使っていたWindowsのことだろう。まともなエンジニアがChrome OSの脆弱性をゼロと言い切るはずが無いので。

どういう仕組みで「セキュリティの脆弱性やアプリケーションの互換性、~などの悩みは過去のものになる」と言えるのか。VMware Horizon ViewにはPC用Windows OSを仮想化ホスティングしてVDIを提供するだけ、セキュリティの脆弱性を無くすような機能は持っていない。 VMware vSphere上でWindows OSをゲストとして稼働させることで、ネットワーク的には守りやすくなり、セキュリティの脆弱性の脅威を軽減することはできる。アプリケーションの互換性についてはP2VしたWindows XPを動作させれば問題は無いわけだが、サポート終了したOSを4月以降も動かすのか?上記に書いたようにVMware vSphere上でWindows OSをゲストとして稼働させることで、ネットワーク的には守りやすいけど。

Windows XP上で使っていたクライアントアプリを何かの(例えばChrome OSの)クライアントアプリとしてポーティングするなら、今後も引き続きサポート切れとの闘い。サーバーサイドにサーバーサイド技術を使ってポーティングすることでようやくサポート切れ問題が軽減できる程度の話。サーバーサイドで動かすとしても、当然サーバーサイドで動くOSやミドルウェアのバージョンアップに追随する必要があるし、クライアントサイドもブラウザのバージョンが上がっていく。

いずれにせよ、「悩みは過去のものになる」は言い過ぎ。というかマーケティング用語過ぎる。ITベンダ的にはそこがこの先も商売のネタだろ。

 

もう一つ「新PC購入予算などの悩みは過去のものになる」。新PC購入予算のくだりは元の英文にはなさそう。「migration budgets will be a thing of the past. 」って書いてある部分が該当するとすると「移行予算」について書いた部分を「新PC購入予算」に意訳したんだろう。つまり、ファットPCを使うと必ず一定期間での更新(=買い換え)が発生するが、買い換えれば終わりではなくデータ・アプリ等の移行が発生する。Chromebookを使えば買い換えも移行も無いと。しかしだ、だったら多機能なChromebookよりもシンクライアント専用機のほうがさらに優位。Chromebookはそんなに長期間陳腐化しないのか?それはそれでChromebookに魅力が無いという話になる。

シンクライアント専用機の場合、今回の発表以前にVMware Horizon Viewのサポートはできている。例えばDELL Wyzeとか(仕様)。このページに書いているようにAPIが一切公開されないシンクライアント専用OSのほうが、一般にAPIが公開されているOSよりもセキュア。しかも単機能なので攻めどころも少ない。ようやく今回Horizon ViewサポートとなったChrome OSよりも多くの面で優位。

 

そしてChromebookでWindowsアプリ──GoogleとVMwareの提携で実現 - ITmedia ニュース の記事冒頭には「VMwareのDaaS(仮想デスクトップのクラウドサービス)「VMware Horizon View」がChrome OSに対応した。まずは企業向けのオンプレミスサービスとしてVMwareとその提携プロバイダーが提供する。」とある。あっさり書いているが、この部分でも「低コスト」「Windows XPの4月のサポート終了に対処できる」はウソであることがわかる。

 

上にも書いた通りChromebook上にWindows動作環境ができるわけではなく、DaaSを作るといっている。そのDaaSのある場所はオンプレミス、つまり企業内(あるいは当該企業が借りているデータセンタ内)。そこにVMware Horizon Viewが接続する先のDaaSがある。DaaSにはvSphere Enteprise Plus for Desktopが必要なわけだが、これの構築はそんなに短期間でいくものではない(VMware Horizon View 製品概要【ネットワールド】)。

物理サーバの調達に1ヶ月内外、並行してシステム設計するとしても、調達完了後にインプリメントするので1~2週間。Windows 8か7導入ならクローニングで増やせるけど、Windows XPP2Vするならそれなりに時間が掛かる。テスト期間とかを考えると最短2か月は見ておきたい。今日2/14に発注しても4/9には間に合わない。1.5か月に詰めてギリギリ。もちろんChromebookの調達は疎通までに間に合う前提。

そう考えていくと、すでにHorizon View利用企業で接続先のvSphere Enteprise Plus for Desktopが稼働済で物理サーバに追加リソース不要なくらいの余裕あり、最悪でもvSphereが動いていて物理サーバに追加リソース不要なくらいの余裕ありでないとスケジュールが厳しい。物理的にリソース追加が必要だと調達期間が足りない可能性がある。

P2V実施例 

【Windows XPサポート終了対策】Windows XPマシンの仮想化

【Windows XPサポート終了対策】Windows XPマシンの仮想化 その2

 

 なおChrome OS機からWindowsアプリケーション/デスクトップに容易にアクセスできる環境をGoogleとVMwareが提供 | TechCrunch Japan に詳しく書かれているので参照頂きたい。ちょっと長めに引用してみる。

またGoogleによると、VMwareのHorizonはChromebookのために最適化されているDaaSであり、“顧客はあちこちのデスクトップ環境をクラウドサービスとして一点集中型で管理できる”。これまでこのサービスは、VMWareのパートナー企業が有料会員制のクラウドやハイブリッド展開で使っているだけだった。

VMwareによると、ユーザはこのサービスを利用して自分たちのWindowsアプリケーションやデータやデスクトップに、Chromebook上のWebアプリケーションカタログからアクセスできる。近いうちにChromebookユーザ(とそのITアドミン)は、このサービスをChrome Web Storeからインストールすることもできる。 

 

 こうやって見てみると、GoogleVMwareバズワードまみれだな。現実味が薄い。技術的にはウソは無い(と思う)が、タイ米じゃないや大枚をはたく必要がある。今のところどの企業でも簡単に実現できる方法じゃないし、Windows XPサポート終了対策にはスケジュール的に間に合わない。

こういう選択をするのであれば、シンクライアント専用機ではなくてわざわざChromebookを選ぶ理由が薄い。今回のWindows XPサポート終了をきっかけとした場合、買い替えを前提として長期間のコストで見れば、

 ■シンクライアント専用機 < Chromebook < PC

である。Chromebookは安いので購入費用だけで見てもPCを下回るが、購入後のことを考えればハードウェア故障以外に問題が出ないシンクライアント専用機には勝てない。

vSphere Enteprise Plus for Desktopを動かすことについては、コスト計算が難しいが、基本的には物理サーバ当たりのゲストOS数が多くないと高くつく。つまり、購入する物理サーバの総スペックと総導入費用とゲストOS数のバランスを綿密に算出して運用するもの。Windows ServerとHyper-Vなら他の機能と同居させてもいいが、vSphere だと仮想化専用なので、余ったリソースを使う時にはそれ用のWindowsLinuxの導入が必要。vSphere Enteprise Plus for Desktopの場合ゲストOS10台・100台単位のライセンスなので、そこもうまくやらないと無駄金になる。例えば11台使いたい時は20台分のライセンスが必要。9台分のライセンス費用がムダ。

 

長くなったがまとめると、題名通り「Windows XPサポート終了に対して、Chromebook+VMware Horizon Viewを適用するなんて、お金が余っている会社じゃなきゃ無理がある」。お金とvSphereの物理リソースに余裕がある企業のみどうぞ。

■2014/03/08 17:30追記

ChromeOSが来るぞーッ! 東芝のChromebook、4月から国内開始の噂。 : ギズモード・ジャパン

4月のいつ発売かは分からないけど、Chromebookは国内発売されるそうです。普通に考えれば4月9日には間に合いませんな。お金とvSphereの物理リソースに余裕がある会社なら正式発売前に検証機入手可能だとしても、正式利用する台数を調達したい日程は3/末でしょ。こっちからもウソが崩れたw。

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